11 ガーベラ王国にて2《ガーベラ王国SIDE》
「断りもなく私の臣を殺した報いとして、お前たちの内の二人を断罪した」
王は残った魔族を見下ろして言った。
「お前一人を残したのは魔界への報告役としてだ。が、態度いかんによっては、ここで断罪する」
ちらりと青年に視線を向ける。
彼は血まみれの剣を手に、小さくうなずいた。
魔族が少しでもおかしな動きをすれば斬る――。
そんな気迫をにじませながら。
「ぐっ……!」
魔族は恐怖に表情を歪め、その場に立ち尽くしていた。
青年勇者の実力は圧倒的だ。
いかに魔族たちが『青の魔王』の将とはいえ、敵ではない。
それを、この魔族も悟っているのだろう。
「ま、待て、殺さないでくれ……」
青ざめた顔で命乞いをする魔族。
「あまり人間を舐めないことだ」
王が傲然と言い放った。
「そちらの主に――『青の魔王』殿に伝えるがよい。我らは同盟を結んでいる――あくまでも対等な関係だとな」
「ぐっ……人間と我らが魔王様が対等だと……」
「お前はただ伝えればよい。この場で首と胴を分かたれたいのであれば、話は別だが」
王がかたわらの青年に視線で合図を送る。
青年は無言で剣を構えた。
さらにその側には魔術師の少女や聖騎士、剣士、僧侶が並ぶ。
「わ、分かった! 伝える! 必ず『青の魔王』様に伝える! だから、そいつを引っこめてくれ!」
「うむ。約束したぞ」
「あ、ああ……」
「さすがは伝説の魔王と戦った『勇者パーティ』だな。しかもその力は生前よりもはるかに増しておる」
王がほくそ笑んだ。
「我が秘術のおかげで、な」
「今なら、かつて死闘を演じた魔王――ガルヴェラとて苦も無く打ち倒せるでしょう」
女魔術師が言った。
青年勇者は無言で剣を鞘に納める。
「頼もしいことだ。後は魔獣サイフォスをも手駒に加え、我が布陣を盤石にしたいところだ……」
王がつぶやいた。
「過去を超越した勇者と最強の伝説魔獣――その両翼がそろったとき、私はこの世界すべてを統べる覇王となる――」
哄笑が、謁見の間に響き渡った。






