4 集団戦1
「討ち漏らし、といっても僕と戦えば、その魔族は最低でも瀕死の重傷だ。トドメを刺すのは楽勝のはず。いくら二線級でもそれくらいの仕事はできるだろう?」
「貴様……」
「いちいち言うことが偉そうなのよ」
英霊たちは不満の表情だった。
「レオン、もう少し言い方に気を配ってくれ」
「ここは戦場だよ? 言い回しに気を配る必要なんてあるかな」
俺がたしなめると、レオンはムッとした顔でにらんできた。
「僕らは仲良しごっこをやってるわけじゃないんだ」
「だが、あえてチームワークを乱す言動を取る必要もないはずだ」
言い返す俺。
「お前は強い。その強さでもって、魔族を倒し、他の英霊たちをカバーし、任務を完遂する――並の英霊ならともかく、お前ほどの騎士なら、すべてを成し遂げられるんじゃないか?」
「……ふん」
レオンの口元にかすかな笑みが浮かんだ。
プライドを心地よく刺激されたんだろう。
「いいだろう。君たち全員に証明してやるよ。僕の強さと、英霊としての格を――」
お、上手くノッてくれたようだ。
「ああ、頼もしいよ、レオン」
「任せてくれよ、主」
……というか、意外とノセやすいな、こいつ。
「我が名は『極光の聖騎士レオン』!」
虹色に輝く聖剣『聖神の剣』を抜いて朗々と叫ぶレオン。
「魔族ども、我が剣を受けよ――」
朗々と叫び、突進する。
異常なまでの超速移動によって、レオンの姿が十数個に分裂した。
残像だ。
彼だけが操れるという対魔族用特殊白兵戦闘術『帝煌』。
『赤の魔王』ラギリム戦でも目にしたが、やはりすさまじい動きである。
「な、なんだ、この動きは――」
「人間ごときの動きに、この俺が反応できないだと……!?」
「遅いよ」
十数個の残像で幻惑しつつ、彼らの背後に回りこんだレオンが聖剣を振るった。
輝く刃で魔族三体の首をまとめて刎ね飛ばす。
「はははははは! やっぱり、このレオンが最強だ! お前たちなんて敵じゃないね!」
「レオン!」
笑う聖騎士に俺は警告の声を発した。
「後ろだ!」
レオンの影が盛り上がり、そこから魔族が出現する。
どうやら影の中を移動する術を使えるようだ。
「何……!?」
油断していたのか、反応が遅れるレオン。
人型をした魔族は巨大な爪を彼に向かって振り下ろし――、
「くらえ、【旋風竜閃】!」
そのとき、空中から突っこんできたシルエットが槍を繰り出した。
青い竜に乗った三十代くらいの騎士で、自身の甲冑も青一色。
まさしく青ずくめの竜騎士だ。
Aランクの英霊、『青の竜騎士ゼルス』だった。






