2 封印の地へ
「どうやら遠隔視を妨害するような術を施しているようです」
と、グレイス。
「私のスキルでも完全に見通すことはできませんでした。かなり高レベルの術者がいる模様」
「なるほど……そこまでして隠したいものがある、という可能性が高いな」
俺はうなった。
「よし、俺が現場に向かう。グレイスは報告ご苦労だった。戻ってくれ」
「お役に立てたなら何よりです」
「ああ、すごくな」
「嬉しい。ちゅ」
と、投げキスをしてから姿を消すグレイス。
「……ふふ、随分と好かれているんですね、フレイ様」
レミナがこっちを見てほほ笑んだ。
「グレイスはもともとあんな感じの態度だな」
「もともと……つまり、以前からずっとそういう態度なんですね……なるほど……」
「レミナ?」
なんか顔が引きつっているような気がするけど……?
「どうかしたのか」
「……いえ、なんでも……」
言いながら、彼女の顔はやっぱり引きつっていた。
ちょっと不機嫌そうにも見える。
どうしたんだろう……?
疑問に思うものの、今は封印場所の調査が先決だ。
「グレイスの『目』で完全に状況を把握できない以上、現場に行って直接確認するしかない。俺が封印場所の調査に向かう」
レミナに告げる俺。
「あの、私は――」
「危険を伴う可能性がある。君はここに残ってくれ」
「……分かりました。お気をつけて、フレイ様」
「ああ、行ってくる」
心配そうなレミナににっこり笑って、俺は執務室を後にした。
――移動は例によって『暁の竜人ジル』だ。
「ご利用どうも~。今日はどこに行くのかなっ?」
あいかわらず朗らかで元気なジルだった。
「ああ、今回の移動先は――」
俺は彼女に封印場所を伝える。
さっそく竜に変身したジルに乗って、俺はその場所にやって来た。
周囲を岩に囲まれた場所である。
人や動物の気配はなく、殺風景なところだった。
その中心部に数人のシルエットが見える。
いや、『人』じゃないようだ。
「あいつらは――」
魔族。
雰囲気からして、七体全員がそうだろう。
しかも高位とまではいかないが、おそらくは全員が中級だ。
その中に一人、黒いローブを着た魔族が気になった。
いや、魔族というより――、
「あれは……ガーベラ王国の紋章……!?」
あの召喚術士だけは魔族じゃなく人間のようだ。
「あいつを捕らえるんだ」
俺は空中に向かって告げた。
ヴ……ンッ!
大気が揺らぎ、異空間からいくつものシルエットが出現する。
俺の周囲に十体の英霊が並んだ。
例によって自動的に召喚された、魔族迎撃用のメンバーだ。
だが、そのメンバーを見て、俺は驚きに目を開いた。
『極光の聖騎士レオン』
『獣操者ガドローア』
『青の竜騎士ゼルス』
『黒き影忍フーマ』
『豪刃ブレイザー』
『火炎導師ゴーガ』
『魔剣砲シュトルフ』
『氷輪の結界士ザナトベード』
『双爆ファービィ』
『幻惑の魔眼リット』
「これは――!?」
メーヴェやハーヴェル、スカーレットにゴルなど、主力となる英霊がいない。
「どういうことだ……!?」






