5 レミナとのひと時
その後も、俺は各仕事に対して、自動的に選出された英霊たちに指示を出し、一通りの作業を終えた。
まあ、指示を出すのがメインだから、それ自体はたいして疲れないんだけど――。
呼び出した英霊たちが、さっきみたいにケンカすることもあるし、逆に雑談タイムに突入して時間を取られることもある。
……気が付けば、とっくに夜だった。
「よし、今日はとりあえず終わりにするか」
空には満月が浮かんでいる。
「お疲れ様です、フレイ様」
執務室がノックされ、レミナが入ってきた。
「レミナ。まだ残っていたのか?」
「フレイ様にばかり負担はかけられませんから。英霊を必要とするような仕事を肩代わりするのは難しいですけど、事務仕事なら私だってできます」
「ん、もしかして、そこの書類は全部レミナがやってくれたのか?」
かなりの量があったはずだけど……。
「はい。少しでもフレイ様の仕事が減れば、と」
「少しどころか……」
俺は驚いた。
「俺が普通にやれば数日はかかるぞ。助かったよ」
事務仕事も、そういった作業が得意な英霊に任せてはいるが、さすがに王国の仕事のすべてを把握するには、もう少し時間がかかる。
だから手を付けていない書類もあるわけだが――。
それらをレミナがほとんど片付けてくれていたとは。
「お役に立てたのであれば、光栄です」
レミナが微笑む。
「よろしければ、お茶でも淹れましょうか?」
「ああ、頼む。帰宅前に軽くティータイムだ」
――というわけで、俺たちは一緒に紅茶を飲んでいた。
「ふう、美味いな」
気持ちが、落ち着く。
「ありがとうございます。実は抽出手順に魔法の術式を加えた私のオリジナルなんです」
と、レミナ。
「へえ、レミナブレンドってところか」
「ふふ、そうですね」
微笑むレミナ。
癒やされる笑顔だ、と思った。
彼女といると、とにかく心が安らぐ。
「おかげで人心地つけたよ」
「フレイ様、お忙しそうでしたからね」
レミナがため息をついた。
「もっと私もお手伝いがしたいです」
「いや、俺は英霊たちに指示を出してるだけだし、大して忙しいわけじゃないんだ。それに――レミナには十分すぎるくらいに助けてもらってるよ」
「いえ、まだまだです」
「自分に厳しいんだな、レミナは」
俺は苦笑いをした。
「むしろ俺の方が君に頼りすぎかな、って反省してるんだが」
「そ、そんな……」
レミナがはにかんだ笑みを浮かべる。
「少しでもお力になれているなら嬉しいです……もっと、貴方の力になりたいです……」
「ありがとう、レミナ」
「いちゃつくのも結構だけど、緊急事態には備えておいてよね」
突然、空中から声が響く。
現れたのはメーヴェだった。
「主のそんなニヤけた顔、初めて見たよ」
「な、何を言ってる」
思わず動揺してしまった。
いや、あんまり動揺するとレミナに変に思われるか。
「あわわわわわわわわわわわ」
「レミナ……?」
俺の比じゃないくらい動揺していた。
本当こういう話題に弱いんだな……。
――というか、どうしてメーヴェはいきなり現れたんだ?






