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4 主と英霊たち

「この間の『赤の魔王』との戦いでは、みっともない姿も見せてしまった……僕は自分を恥じているんだ」


 レオンが言った。

 プライドの高い彼らしい台詞だ。


「もっと強くなって――誰よりも強くなって、誰よりも魔族を殺したい。それが僕の望みだ。生前も、死んで霊体になった今も、それは変わらない」

「はっ。魔族を殺したいって願いなら、同意するぜ」


 今度は『破砕騎士ゴル』だった。


「君のことは噂で聞いたぞ。復讐心で魔族と戦っている、と。悪いが、僕は使命感で戦っている。君とは違うんだ」


 使命感で魔族への殺意をむき出しにするのがレオンなら、大切な者たちを殺された憎しみで魔族を滅ぼそうとするのがゴルだ。


「同列に語られるのは不愉快だ。自重してもらおうか」

「年下のくせに偉そうじゃねーか」

「僕が生きていたのは月光歴600年代だぞ。君は確か1200年代の英霊だろう? 僕の方がはるかに年上だ」

「生きていた時代で比べるんじゃねーよ。どう見ても、お前の方がガキじゃねーか」

「外見だけで判断するとは浅はかな」

「お、ケンカを売ってると解釈していいんだな?」

「他に解釈の仕様があるのか?」

「おもしれえ」

「いつでも受けて立つぞ」


 一触即発といった感じだった。

 もし二人が実体化していたら、とっくに辺り一帯が粉々になっていたかもしれない。


 二人とも気が強いからな……。


「そこまでそこまで」


 俺は額を抑えつつ、言った。


「二人とも闘志にあふれているのは分かるが、ケンカはなしだ。英霊には、それぞれにそれぞれの背景があり、戦う理由がある。無条件に賛同しろなんて言わないけど、全否定してぶつかるのはナシだ。合わないならスルーすることも覚えてくれ」

「スルー……ね」

「まあお前に言われちゃしょうがねえか。顔を立ててやるぜ」


 二人はふんと鼻を鳴らしつつ、俺を尊重してくれたようだ。


「……ありがとう、二人とも。戦いのときは頼りにしているからな」

「頼りにしてる……か。当然だよ」

「いくらでも頼ってくれていいぜ、主。ははは」


 レオンもゴルも一気に機嫌が直ったらしい。

 素直というかなんというか……。


「大変ですね、主」


 グレイスが微笑んだ。


「まあ、慣れてるからな。こういうの」


 俺は笑みを返す。


「子どものころから、英霊たちのことは見てきた。父上の側で。そのころは俺に【全自動・英霊召喚】のスキルはなかったから、父上の元に集まる英霊たちのことを覗き見る程度だったけど……」


 お前たちはみんな、子どものころからの慣れ親しんだ幼馴染みたいなものなんだ。


 願わくば――みんなで仲良く過ごしていきたいものだ。

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