3 魔界の動向を探る
「巨大な力を持つ者たちが集まっている、というのは……人間界への侵攻準備をしている、ということか?」
「いえ、彼らがいるのは、おそらく魔界の最深部なので……あまり詳しいことは、最終解放の『真実の瞳』でも突き止められません」
と、グレイス。
「ですが、もしも人間界への侵攻を早期に実行しようとしているなら、もう少し『戦意』が見えるはず……それが見えないので、すぐに侵攻が始まるのは考えにくいですね」
「戦意……?」
「具体的な動きは見えませんが、彼らの感情の高ぶりだけなら、なんとか察知できます」
グレイスが説明した。
「魔獣の出現頻度は特に変わりませんし、先日の『赤の魔王』の出現をのぞけば、魔族の大規模侵攻の兆候はまだ現れていない、と言っていいと思います」
「なるほど……」
グレイスの説明にうなずく俺。
「じゃあ、人間界側への魔族や魔獣の侵攻については引き続き監視を頼む。それから迎撃が必要になったら、俺への報告を」
「承知しました」
「魔界の魔族の動向についても、可能な範囲で監視を頼む。さっきの最終解放はどれくらいの頻度で使えるんだ?」
「残念ながら数日に一度が限度ですね……」
告げるグレイス。
やはり、相当に消耗するんだろう。
今も彼女の顔色は蒼白だ。
「負担をかけて悪いな……」
「いえ、これが私の役目ですし、私にしかできないことです」
グレイスが俺を見つめる。
もちろん、目隠しの布越しなのだが、その視線は今までよりも温かく感じた。
「感謝する」
俺は彼女に一礼した。
「少しでも妙な動きがあったら、すぐ俺に知らせてくれ」
「承知しました」
「ふん。来るなら早く来い。僕の聖剣で片っ端から叩き斬ってやる」
突然、俺たちの会話に割って入る声が聞こえた。
この声は――『極光の聖騎士レオン』だ。
かつて『青の魔王』を討ったという最強クラスの英霊である。
「爽やかな顔の割に、随分と好戦的ですね」
と、グレイス。
レオンはこの場に実体化していないが、彼女の『万里眼』をもってすれば、その姿を見ることなど造作もないのだろう。
「……私は主のように穏やかな方のほうが好み」
ぽつりと付け足した。
「グレイス?」
「も、申し訳ありません……つい本音が」
「本音?」
「はわわわわわ」
急に慌て始めるグレイス。
一体、どうしたんだ……?






