2 俺の日常2
俺は土木工事や魔道具作成を得意とする英霊を呼び出し、インフラについて監督させることにした。
一通り指示を出し、それから今度は『万里眼のグレイス』を召喚した。
自動で仕事をしてもらうのではなく、彼女にはいくつか聞きたいことがあったのだ。
「お呼びですか、主よ」
異空間からグレイスが出現する。
アイスブルーの髪を腰まで伸ばした、三十歳前後の美女だ。
両目を覆うように黒い布の目隠しを付けている。
こうして視覚を封じることで、すべてを見通す『真実の瞳』を発現する――それがグレイスの力だった。
「お前を呼び出したのは、魔族の動向を調べるためだ」
奴らが大規模侵攻を企てている――というのは、あまり大っぴらにはできない情報だ。
俺も先日の戦いが終わってすぐに王に報告したけど、他にこのことを明かしたのはレミナ、ボルテック、キキの三人だけである。
「ここから魔界まで、どの程度なら見通せる? まずは、できるだけリスクを侵さずに有用な情報を手に入れたい」
俺はグレイスに言った。
「魔族の中でも魔王や側近クラスの魔族の動きを知りたい」
「魔界の様子を探るには私の力を全開にする必要があります」
と、グレイス。
黒い布の目隠し越しに、俺を見据える視線を感じた。
その布を外した姿は、俺も見たことがない。
盲目なのか、それとも視力を有しているのか。
それすら分からない。
ただ、彼女にとって両目の視力は大した問題ではない。
彼女は『第三の瞳』によってすべてを見るのだ。
「そして、それでも限界があります。現状で見ることができる情報をお伝えしましょう」
「ああ、頼む」
「では――魔眼スキル『真実の瞳』、最終解放」
白い額に、目の形をした紋様が浮かび上がった。
その紋様が黄金の輝きを放つ。
「探知――完了。巨大な力を持つ者たちが……集まっています。その中心に、さらに巨大な力を持つ者が――」
グレイスは途切れ途切れに告げる。
額から汗が滴っていた。
『真実の瞳』に、それだけ大きな魔力を消費しているんだろう。
巨大な力と、さらに巨大な力――。
いったい、なんだ?
以前、元魔王ガルヴェラから聞いた話に、そんな内容があったような……。






