20 ひとときの、かけがえのない時間を
アーシア王城――。
「我が国の、そして世界の危機を救ってくれた――お前こそまさに英雄と呼ぶにふさわしい」
俺は謁見の間で王から直々に賞賛の言葉をもらった。
左右に並ぶ大臣たちから拍手と歓声が沸き起こる。
「もったいないお言葉です、王よ」
俺は恭しく一礼した。
『赤の魔王』との決戦から一週間。
今日は正式な褒賞の日だ。
勲章や臨時の給金など、さまざまな褒美をもらうことになった。
謁見を終え、俺はレミナたちと話していた。
「いやー、さすがは大将だな」
「ほんと、世界を救った、なんてスケールが違うねっ」
ボルテックとキキが笑う。
「まあ、救ったのは俺じゃなくて英霊たちだけどな」
俺は苦笑交じりに返す。
「いえ、それを使役しているのはフレイ様です。世界を救ったのは――まぎれもなくフレイ様の偉業です」
レミナが俺を見つめた。
「ありがとう、レミナ。君にそう言ってもらえると、勇気づけられるな」
「私でよければ、いつでも勇気づけてみせます――」
彼女はまっすぐに俺を見つめる。
……ちょっと見つめすぎじゃないか?
しかも間近で見ると、やっぱりレミナは美しい。
俺は思わず照れてしまった。
視線が泳ぎ、頬が熱くなる。
「あ、すみません……見すぎですよね……」
レミナはハッとした顔になり、視線を逸らした。
向こうも恥ずかしそうな顔をしている。
気まずいような、甘酸っぱいような、妙な空気が流れた。
と、
「うわー、もう隠す気もない、って感じでラブラブ光線出ちゃってるねー」
キキが肩をすくめた。
「らぶらぶ……なんだって?」
「なんでもない。フレイのどんかーん」
キキがからかう。
「なんだよ、鈍感って」
俺は首をかしげた。
「レミナも大変だねー」
「ううん、いいんです。私、がんばってアピールしますから」
「おお、恋する乙女は強いねー」
「ふん、大将も隅に置けねーな」
キキとボルテックが笑っている。
レミナは恥ずかしそうにはにかんでいた。
いつも通りの和気あいあいとした光景――。
それも魔王を倒すことができたからだ。
「――いや、まだだ」
『こんなものは手始めにすぎんのだぞ』
『俺の他にも魔王は次々に現れ、人間界全土に侵攻する。とおからず、ここは「人間界」ではなく「第二の魔界」となるであろう――』
ラギリムの言葉を思い返す。
これから先、魔族の本格侵攻が行われるんだろうか。
人間と魔族の戦乱が始まるんだろうか。
だとしても――俺は戦うだけだ。
英霊たちとともに。
このかけがえのない仲間や日々を守るために。
これにて第一部完結です! ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
第二部は二週間後の5月30日(日)12時から投稿開始予定です。
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