18 限界の先の終局1
英霊たちの波状攻撃が続いた。
レオンの剣が、ゴルの大斧が、さらに他の英霊たちの槍や棍、鎌などが――。
衝撃波を伴い、魔王と魔竜に叩きつけられる。
一撃一撃のタイミングや方向を少しずつズラし、相手に防御や回避をさせづらくしての連携攻撃――。
「くっ……!」
さすがの『赤の魔王』も軽々とはさばけないようだ。
それでも魔剣を振るい、魔竜の防御力も利用しながら、彼らの攻撃に立ち向かう。
「崩せない――」
魔王と魔竜の立ち回りは、まさしく鉄壁。
ダメージらしいダメージすら中々与えられない。
「うわぁぁぁっ……!」
「ぐあぁぁぁっ……!」
逆に反撃の魔剣や魔法を受けて、英霊たちが何体か消し飛ばされた。
完全に消滅したわけではなく、ダメージが大きすぎて、一時的に具現化する力をなくしただけだ。
とはいえ、この戦いの間にふたたび具現化することは不可能だった。
霊体として力がある程度自然回復するまで、再度の具現化はできない――。
「踏ん張れ、みんな……!」
俺は檄を飛ばした。
「まだまだ!」
「負けるかよ!」
レオンやゴルが叫ぶ。
「応!」
他の英霊たちも呼応した。
近接戦闘を間断なく仕掛け、さらに遠距離からは魔術師チームが魔法攻撃を連打で放つ。
魔王と魔竜もさすがの戦いぶりを見せ、英霊チームと魔王タッグの戦いはいつ果てるともなく続いた。
「ぐっ……!?」
そんな戦いから三十分ほどが経過したころ、俺の全身から急に力が抜け始めた。
「な、なんだ、これは――」
まさか。
俺は奥歯を噛みしめた。
大量の英霊を召喚し、彼らに全力攻撃を続けさせている。
それによる俺の魔力消費が、ついに限界を迎えたのか――。
「たった三十分で……くっ……!」
いくらなんでも早すぎる。
自分の魔力の少なさに歯噛みした。
「もう少し持ってくれ、俺の……魔力……!」
ふらつく体を支えながら、俺はなおも魔力を振り絞る。
視界が揺れる。
だけど、英霊たちはもっと消耗しているんだ。
限界まで体力や魔力を使い、魂をかけて魔王や魔竜と戦っている。
ならば、その主たる俺が倒れるわけにはいかない。
「みんな、あと一息だ! 死力を尽くせ!」
命令しかできないことが歯がゆく感じる。
「俺には魔王や魔竜と直接戦えるほどの力はない。お前たち英霊の力には遠く及ばない……!」
叫びながら、口から血がこぼれた。
底をつきかけた魔力を無理やり振り絞っているせいで、体に反動が出ているのか。
構わない。
この体が壊れようと、まだまだ英霊たちに魔力を送り続けてやる。
「だが、俺の魔力でお前たちの現界を支え続けることはできる。戦い続けろ……俺はそんなお前たちを支える。この命が尽きようとも――!」
そう、俺にできるのは支えることだけ。
たとえ、命が燃え尽きようとも――それを全うするだけだ。






