12 対魔王用英霊チーム
「メーヴェ、ハーヴェル、お前たちには魔王と戦ってもらいたい」
俺は二人に言った。
「ふん、お前と組んで強敵と戦う、というのは初めてだ。正直、胸が躍る」
メーヴェが笑った。
「私は、戦いを楽しむ余裕はありません。ただ全力を尽くすのみ」
生真面目に答えるハーヴェル。
「それからもう一人加える」
俺は二人に言った。
「『極光の聖騎士レオン』を召喚してくれ」
俺は空に向かって呼びかける。
前方に光球が現れ、弾けた。
まばゆい光とともにスラリとした人影が現れる。
「『極光の聖騎士レオン』、推参。僕に助力を頼むなんて、なかなかお目が高いね、我が主」
現れた英霊――『極光の聖騎士レオン』が言った。
勝ち気そうな十七歳の少年が笑った。
黒髪に凛々しい顔立ちの美少年だった。
身に着けた騎士鎧は虹色である。
「お前とこの二人で、あの魔族――『赤の魔王ラギリム』を倒すんだ。上手く連携してくれ」
俺はレオンに言った。
「赤の魔王? あいつか」
レオンがふんと鼻を鳴らした、
「ま、僕一人でも十分だけどね。違う時代で、僕は『青の魔王』を討伐してるんだ」
レオンは自信にあふれていた。
「魔王によって強さなんてバラバラだ。自慢にはならないね」
メーヴェは険しい表情だ。
「前衛は僕がやる。二人とも足を引っ張るなよ」
レオンがその彼女を見て、また鼻を鳴らした。
どうにも傲慢な感じだ。
雰囲気からして、確かに強そうだが――謙虚なタイプではないんだろう。
まあ、英霊の大半は己の力に絶対の自信を持っているし、ハーヴェルみたいに謙虚で控えめというタイプはかなり少ないが……。
「『足を引っ張るな』だって? このあたしに大層な口をきいてくれるじゃないか」
メーヴェが反発した。
「口の利き方に気をつけな、小僧」
「僕が一番強い。だから僕が指示を出した。文句があるか」
「一番強いだって?」
「見て分からない?」
「分からないねぇ」
レオンとメーヴェが視線の火花を散らした。
うーん、最初から反りが合ってないな……。
「私たちの連携が重要になります。スタンドプレーは推奨できません」
ハーヴェルもたしなめるような態度。
「もう一回言うぞ。僕がこの中で一番強い」
レオンが二人をにらんだ。
「だから、僕を中心に陣形を組め、って言ってるんだよ」
今までほとんど召喚される機会がなかったから、知らなかったが――レオンってこんなキャラなのか。
メーヴェ以上に気位が高そうだ。
「まあ、ぶつかり合うのは仕方がないが、連携だけはしっかり頼む。相手は強いぞ」
俺は三人の気持ちを引き締めた。
「……まあ、主がそう言うなら」
いちおう俺は『すべての英霊を統べる』権限を持っているため、さすがのレオンもおとなしくなってくれたようだ。
といっても、それは表面上だけで、内心では納得が言っていないかもしれない。
彼らの戦いぶりを、俺自身がしっかり監視して、コントロールする必要があるかもしれない。
「『全自動・英霊召喚』はお前たちを選んだんだ。この三人のチームなら『赤の魔王』にも勝てる。頼んだぞ」
俺は彼ら三人に告げた。
さあ、後は彼らに託そう――。






