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10 開戦1

「【邪神の爆炎(ザルクフレア)】!」

「【螺光黒牙弾(ディルファング)】」


 先制攻撃は二人のエース魔術師による攻撃呪文だった。

 メーヴェの炎とハーヴェルの光弾、二種の呪文が『赤の魔王』に叩きこまれる。


 どごごごおぉぉぉぉ……っ……ううう……んっ!


 大爆発が起こった。

 衝撃や爆風は何人かの英霊が防御壁を作って、抑えこむ。


 その爆心地――『赤の魔王』がいた地点で、


「なかなかの攻撃だ。こいつを呼ばなければ、この俺といえども大きなダメージを受けていたぞ」


 笑い声が聞こえた。


 爆炎が晴れ、巨大なシルエットが現れる。


 竜。

 全長100メートル以上はある、巨大な赤竜である。


「俺の専用乗騎『紅の覇竜』。魔法耐性を持つ十三層の鱗で全身を覆っている。お前たちの魔法は効かんぞ」


 赤い竜の頭上に飛び乗り、ラギリムが言った。


「魔法が効かない竜が盾代わりか? なら、直接攻撃で仕留めるだけだぜ」


 進み出たのは『破砕騎士ゴル』だった。


「魔族はすべて俺の敵だ。その親玉である魔王が出てきたってんなら――俺が殺す! ぶっ殺す!」


 怒りの咆哮だった。


 以前にも、魔族への怒りをあらわにし、俺の命令すら聞かなかったことがあったな……。

 そのときはハーヴェルが彼を封じてくれたが。


「今は、お前を止める理由はない。頼むぞ、ゴル」

「その言葉を待ってたぜ、主!」


 ゴルが大斧を振りかぶる。


「【光輪(こうりん)の斧】!」


 投げつけた斧は空中で回転しながら、巨大な光輪と化した。

 光の軌跡を残しながら、魔王に向かっていく。


「魔法が効かなくとも、直接攻撃なら通じる? ふん、舐められたものだ」


 がきん。


 魔王はいとも簡単に、その光輪を受け止める。

 ――素手で。


「なっ……!?」

「魔術師としてではなく、剣士としての腕前なら大したことはない――とでも思ったか。うつけどもが!」


 吠えるラギリム。


「魔法でも剣でも――俺は最強だ」


 ゴルの膂力は全英霊でトップクラスだっていうのに――。


 その一撃を涼しい顏で受け止めるとは。

 とんでもないパワーである。


「剣でも最強だと!」

「図に乗るなよ、魔王!」


 周囲から五人ほどの戦士が突進する。


 いずれも剣や槍などを持った、近接攻撃を得意とする英霊たち。

 全員がその時代で最強の剣士、戦士として称えられた者たちだ。


「はああああああああああっ!」


 雄たけびとともに彼らの剣が、槍が、斧が――叩きつけられる。


 その、寸前、


「【烈風魔王刃(れっぷうまおうじん)】」


 暴風が吹き荒れた。


 いや、あれは魔王が振るった剣による剣圧だ。

 それが、竜巻のごとき風を生み出したのだった。


「うあっ!?」

「ぎゃあっ!?」


 刃に切り裂かれ、風に吹き飛ばされ、五人の英霊はいずれも倒れた。


 ヴ……ヴヴ…………バシュッ………………。


 その姿が薄れ、やがて消えてしまう。


 ダメージが大きすぎて、この世界に具現化できなくなったのだ。


 死んだわけではないが、しばらくは召喚できないだろう……。

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