5 変転
「ありがとう、レミナ。君のおかげで、英霊と円滑に接することができた」
「そ、そんな……私は何もしてません」
俺が礼を言うと、レミナは顔を赤くして両手を振った。
「そんなことはない。薬草の調理でバーバラの魔力は大きく上がった。あれだけたくさん食べてくれたのは、たぶん美味しく調理してくれたからだろう。君の手柄だよ」
俺が言うと、レミナは顔を赤らめた。
「私は、別に……」
「1000体の英霊がいる以上、俺の仕事はまず英霊たちにいかに気持ちよく仕事をしてもらうか、だと思ってる。さっきの調理はすごく助かったよ」
「フレイ様のお役に立てたなら、嬉しいです」
「ああ、感謝している」
俺が笑うと、レミナはますます顔を赤くした。
「やっぱり、レミナがいてくれてよかったよ」
「そんな……ありがとうございます」
レミナがはにかんだ笑顔になった。
「私も……フレイ様のお役に立てたなら嬉しいです」
「初めて会ったときから、ずっと助けてもらってるよ。これからも色々と力を貸してほしい」
俺はレミナに微笑みかけた。
「頼りにしている」
「っ……! 全力を尽くします」
レミナが俺をまっすぐに見つめた。
「あなたのために――」
ざしゅっ……!
突然――肉を貫く嫌な音が響いた。
目の前に鮮血があふれた。
「か……は……っ……」
苦鳴が聞こえる。
なんだ……!?
一体、何が起こった……!?
どうして――。
俺は目の前で起きた出来事に理解が追い付かない。
どさり。
レミナの体が、糸が切れた人形のように倒れる。
「レミナ――!」
俺は絶叫した。
「【聖神甲盾】!」
直後に呪言が響き、前方で赤い輝きが弾けた。
「これは――!?」
周囲一帯が燃えている。
レミナを撃った呪文に加え、追撃で火炎系の魔法が放たれたらしい。
それが俺を直撃する寸前、防御魔法で守ってくれたのだ。
――全自動で召喚された英霊が。
「ご無事ですか、主」
声をかけてきたのは赤い髪を三つ編みにした、二十代半ばくらいの美女。
最高峰の僧侶系魔法を操る『紅の聖女スカーレット』だった。
さっき自動召喚されたのも、防御魔法を使ったのも当然彼女だ。
「俺は大丈夫だ。ありがとう。でもレミナが――」
「主以外の人間を自動で守るには、術式の仕組み上、どうしてもワンテンポ遅れます……間に合いませんでした」
スカーレットが沈痛な表情だ。






