7 主と英霊1
「主を勇気づけるための行動待機……か。要は俺を励まそうとしてる、ってことだよな」
その心遣いは本当にありがたい。
「まず礼を言わせてくれ。みんな、ありがとう」
俺は空中に向かって頭を下げた。
「ただ……ここに全員を呼ぶとさすがに狭すぎる。音声のみの通話で少し話したい。いいかな?」
『英霊たちは了承しています』
アナウンスが聞こえた。
「じゃあ、俺の周辺に『光球』を浮かべてくれ」
指示する。
同時に、俺の周りに無数の光の玉が浮かび上がった。
玉の中にはそれぞれ英霊が魂の状態で入っている。
剣や魔法などの能力は限定的にしか使えないが、通話するのに支障はない。
この状態を俺は単純に『光球』と呼んでいた。
いわば、通話モードである。
「そうだね。確かに主は魔術師としては凡庸だ」
光球から『至高の魔術師』メーヴェの声が聞こえた。
「英霊ランクで言えば、CかDか……まあ、あたしたち1000人の中には入れないね」
と、鼻を鳴らす。
「あいかわらず気が強いな」
まあ、メーヴェに素直で従順な態度を取られたら、それはそれで違和感がすごいけど。
「そんな言い方はないでしょう。確かに主の魔法能力は、我ら英霊レベルではありません。ただ、凡庸でもありませんよ」
反論したのは『漆黒の魔術師』ハーヴェルだった。
「この時代の基準なら――おそらく上の下くらいでしょう。いえ、中の上かもしれませんが……」
なんか、微妙にフォローになってないような気もするぞ。
いや、『上の下』でも『中の上』でも平均よりは上だけれど。
英霊を1000体も従えている魔術師としては、もうちょっとこう……と思うところはある。
実際、俺だって自分自身を鍛える努力はしてきたんだ。
英霊レベルになってやる、なんて志してたときもある。
けど、やがて現実を知った。
仮に俺が百万年修行したとしても、英霊には遠く及ばないだろう。
彼らは――やっぱり根本的な『何か』が違うんだ。
「ただ、だからといって諦めたり投げ出したりしたわけじゃない」
俺は無数の光球を見回した。
「お前たちを使役する――それは俺にしかできないことだ。俺がまず目指すのはいかに上手く、効率よく、最適化して、お前たちを使いこなすか、ってことだよ」
「主……」
光球の中でハーヴェルが微笑んでいるのが見えた。
「英霊に頼るんじゃない。英霊を使いこなす。その境地を、俺は目指していく。そのためには引き続き協力してもらいたい」
俺は彼らに深々と頭を下げた。






