4 カイル、悪事の調査を始める《追放者SIDE》
その日、キラル王国の宮廷魔術師カイルは国王と謁見してた。
「これは――」
カイルが差し出した資料を見て、王が驚きの声を上げる。
「私が独自に調べたものです、王よ」
カイルが言った。
宮廷魔術師時代のフレイの業務成績が改竄されている――。
そう疑って、ひそかに調べていた。
結果は予想通りだった。
いや、予想以上にひどかった。
これを真に受ければ、フレイがとんでもない無能だと信じてしまうだろう。
実際、王もそう判断して、フレイを宮廷魔術師の職から解き、さらに重大な職務怠慢か職務放棄ということで、国外追放を命じたようだ。
すべては、この改竄行為が原因だった。
そして、それを為した者は間違いなく――。
(あいつら、絶対に許さない)
カイルは内心で怒りの炎を燃やしていた。
「この件、本格的に追求したいと考えております。どうかご許可を」
「うむ。これが真実なら、彼らは余に偽りの報告をしたということ。また、先に追放したフレイ・リディアに対する処分も不当ということになる。早急にさらなる調査を進め、余に報告せよ」
「はっ」
「これで王の許可を得た。すべてを明らかにして、絶対にあいつらを糾弾してやる……!」
「もしかして、フレイさんの話?」
話しかけてきたのは、一人の女魔術師だった。
年齢は二十歳そこそこで、クールな美貌。
この若さで魔法戦団の副団長を務めるターニャだ。
「ああ。まだ詳しくは言えないけど、あの人のためにできることをするよ」
「……帰って来るかな、フレイさん」
ターニャが言った。
「もう一度……会いたいな」
ぽつりとつぶやく。
魔法戦団は宮廷魔術師の指揮下にある。
特にフレイは対魔獣対策の仕事についていたため、魔法戦団と接する機会は多かっただろう。
ターニャもフレイとは少なからず親交があったようだ。
あるいは――それ以上の感情も。
「まずは真実を明るみにする」
「あたしにできることがあれば協力するね」
「ああ。フレイ先輩……帰ってくるといいな」
カイルが力強く言った。
そして、カイルの調査が始まった。
だが、成績改竄の証拠はそうそう出てこなかった。
(当たり前か。奴らだって馬鹿じゃない。証拠はとっくに隠滅しているはず)
成績が本来の数字や結果と違うことは明らかだ。
ただ、その作成を内務大臣や筆頭宮廷魔術師が指示したという証拠はなかった。
成績を作成した者たちを追及しても、否定するのみ。
脅しても、あるいは懐柔しようとしても無駄だった。
おそらく――彼らから、大臣たちに調査のことは伝わっているだろう。
彼らの妨害が始まるのも、すぐだ。
その前に――必ず証拠をつかまなければならない。






