5 カイルの決意《追放者SIDE》
追放者サイドです。次回は主人公サイドに戻ります。
「フレイ……だと? その名には覚えがある。確か成績が他の宮廷魔術師に比べて著しく低く、職を解いた上で国外追放処分にしたのだったな。違うか、ジューガ?」
確認を兼ねた問いかけは、ジューガに向けられた。
「お、仰せのとおりでございます」
ジューガがうなずく。
「その者の成績は相当に悪く、宮廷魔術師としては能力不足だと判断したのだが……その者が高位魔族と魔獣をことごとく打ち倒したと申すか、カイル」
「仰せのとおりでございます」
カイルは胸を張って告げた。
「ふむ……その者については、ジューガが内務大臣ゲーテラと連名で追放要請をしてきたな」
「は、ははあ」
王にジロリとにらまれ、ジューガは深々と頭を下げた。
「本当にこのフレイは無能であったのか? 余に対する報告内容を含め、後ほどお前とゲーテラから話を聞きたい。よいな?」
「お、仰せのままに……」
ジューガの声は震えていた。
王との謁見を終えるなり、ジューガがつかみかかってきた。
「どういうつもりだ、貴様!」
胸倉をつかまれながら、カイルは平然とジューガをにらみ返す。
「私は真実を述べたまでですが?」
「貴様ぁっ……! 俺のメンツをつぶしたいのか? ええっ?」
ジューガがすごむが、カイルは一歩も退かない。
「……ちっ」
逆にジューガの方が気圧され、視線を逸らした。
「私は気になることがありますので、これで失礼してよろしいですか?」
と、カイル。
「気になること?」
「対魔獣結界ですよ。ここしばらく、我が国は連続で魔獣の脅威にさらされています。キラル全土を覆う結界を一度調べておいた方がよいかと」
先に現れた魔獣は結局暴れるだけ暴れて、異界に帰っていった。
魔法戦団が何度も出撃したが倒せず、対処に当たった内務大臣のゲーテラや宮廷魔術師筆頭のジューガのメンツは丸つぶれである。
「……ふん。ならば、対魔獣関連の業務はお前がやれ」
ジューガが言った。
「お前は追放されたフレイを慕っていたようだからな。尊敬する先輩の業務を引き継げるんだ。嬉しいだろう? 正式な命令は王の承認をいただいてからだが、まあ、王も反対はなさるまい」
つまり、事実上、キラルの魔獣対策はカイルに委ねられるということだ。
もちろん――成果を上げられない場合は相応の責任を取らされるはず。
「……承知いたしました。慎んで拝命いたします」
カイルは一礼した。
「なんだ、怖くないのか?」
「怖い? あらゆる『魔』から国を守るのは、私たち宮廷魔術師にとって大きな使命でしょう」
カイルは胸を張って言った。
「その使命を、私はフレイ先輩から教わりました。私もその思いと誇りを胸に、宮廷魔術師としての職を全うする所存」
「……ふん、やってみろ」
「無論です。やり遂げてみせますよ」
不敵に言って、カイルは背を向けた。






