7 それぞれの道
「ガルヴェラの手の者――?」
ああ、彼女が自分の配下を送ると言っていたな。
結果的に、俺たちの戦いはその前に終わってしまった後だったが。
「私はナルガと申します、フレイ様」
青年魔族が地面に降り立ち、俺に向かって頭を下げた。
「すでに戦いが終わった後だったとは……完全に遅れてしまいました。面目ない」
「……いや、援軍に来てくれたことに感謝する。ガルヴェラにもよろしく伝えておいてくれ」
「遅れておいてなんですが……私にできることは?」
「後は戦後処理だけだ。俺の方で対応する」
「承知いたしました」
ナルガはもう一度礼をして、背を向けた。
「では、私は報告のためにガルヴェラ様の元に戻ります」
言って、かすかに微笑む。
「あなたのような強者がいてくれれば、主も心強いかと存じます。何しろ……主は多くの魔族に狙われておりますゆえ」
「……そうか」
ナルガは来た早々に去っていった。
俺はカイルに視線を移す。
まだ呆然とした顔だ。
英霊たちの戦いぶりによほど驚いたんだろう。
カイルたちに英霊のことは教えてなかったし、当然こういった戦闘場面を見られたこともなかったはずだからな。
「カイル、俺たちは帰ることにする。お前はお前で自分の職務を果たしてくれ」
「もう行ってしまうのですか……?」
カイルはすがるような目を向けた。
「フレイさんの活躍、お見事でした……やはり、あなたこそキラルになくてはならない人材です」
「残念だけど、俺はもう国外追放された身だよ」
「その裁定は間違っています! これから俺がジューガ様やゲーテラ閣下に掛け合って……いえ、なんなら国王に――」
「やめろ。お前は有望な魔術師だ。俺なんかのために、将来のキャリアを犠牲にしかねない行動は慎んでくれ」
「そんな! 俺は自分のキャリアなんてどうでもいい! それよりもフレイさんが理不尽な扱いを受けたままなのが、嫌なんです!」
カイルは今にも泣きそうな顔だ。
こいつは……俺が国外追放されるときも、こういう顔をして惜しんでくれたよな。
「今でも後悔しています。あの日、どうしてフレイさんを引き留められなかったのか、と……」
「……そうか。悪かったな、気を遣わせて」
俺はカイルの肩にポンと手を置いた。
「俺にはもう仕える国があるんだ。だから、そこでがんばる。お前はお前の国でがんばるんだ」
「フレイさん……」
カイルはうつむき、それからゆっくりと顔を上げた。
その顔から、すでに迷いや恐れなどの感情は消えている。
あるのは、強い意思を示す凛々しい表情のみ。
「分かりました。俺もやれるだけのことをやってみます……!」






