1 ゲーテラは難題に苦労し続ける《追放者SIDE》
3章スタートです! 今回は追放者サイド、次回はまた主人公サイドに戻ります。
SIDE ゲーテラ
「まずい……このままでは私の立場が……くそっ、くそぉぉっ……!」
キラル王国の内務大臣ゲーテラは追いつめられていた。
事件の発端は、南部地方の森に魔獣が現れたことだ。
それを討伐しようと魔法戦団を差し向けたものの、五度にわたって敗北。
今までは切れ者として王の信任が厚かったゲーテラも、今回の敗戦続きでかなり信用を落としていた。
しかも、今までは――そう、あの忌々しいフレイ・リディアが去るまでは、魔獣対策など特別なことをしなくても問題はなかった。
もともと大部分の魔獣は結界に阻まれ、キラルまで入って来られない。
たまに侵入してきたものも、どうやらフレイが手早く処理していたようなのだ。
当の本人が国外追放となったため、もはや確認することはできないが。
「くそっ、この私が――内務大臣ゲーテラともあろうものが、魔獣退治ごときに手こずるだと……!」
と、
「た、大変です、ゲーテラ様!」
執務室に入ってきたのは筆頭宮廷魔術師のジューガだった。
「報告によりますと、その……っ」
彼は顔を真っ青にして、ゼイゼイと息をつく。
「どうした、落ち着け」
言いながら、ゲーテラは嫌な予感を覚えていた。
「……また、敗走したのか?」
今回で六度目である。
五度の敗北を喫し、王にも強く叱責された直後だった。
これ以上はまずい、と六度目の魔法戦団派遣は今までの三倍の人員を投入した。
これでは他の任務が回らなくなる、と戦団側は難色を示したものの、ゲーテラは強引に押し切ったのだ。
おかげで戦団の上層部との間には、少なからず溝ができてしまったかもしれないが――。
まあ、そんなものはアフターフォローでどうにでもできる自信があった。
ゲーテラは今まで、そうやって宮廷内の権力闘争を勝ち抜いてきたのだ。
だが、そうまでして派遣した戦力でさえ敗北したとなると、いよいよ本格的にまずい。
「くそっ、魔獣の一匹や二匹にどこまで時間をかける気だ……無能どもが……!」
「そ、それが、違うのです、ゲーテラ様……」
ジューガが恐る恐るといった感じで告げる。
「違う? 何がだ?」
「魔獣討伐については、現在優勢に進めているということです」
「おお! それなら朗報ではないか!」
「ですが」
喜びに叫ぶゲーテラに、ジューガが悲痛な表情で言った。
「新手が現れたそうで」
「新手……?」
「ま、魔王の腹心を名乗る魔族が、数十体の魔獣を率いて王国に侵攻を開始した、と」
「なんだと――!?」
難題が片付かないうちに、さらなる難題の到来だった。






