8 次のチェックポイントへ
「失敗……」
「彼を仲間に引き入れられなかっただろう? ただ、まだチェックポイントは二つあるから、そっちでがんばってほしい。結果次第で、君に新たな力を授けるかどうか、その内容をどうするかを決めるからね。わくわく」
「……絶対楽しんでますよね」
「もちろん。子孫と遊ぶのは楽しいね♪」
……完全に遊ばれている。
ともあれ、俺たちは次のチェックポイントに向った。
今回もジルが変身した竜に乗せてもらっている。
「なんなのよ、あいつ! 信じられない! 今は英霊たちで一致団結するときでしょう! っていうか、強いんなら、ガンガン前に出て戦えばいいのに。このあたしほどじゃないにしても、強いんだから。このあたしほどじゃないにしても」
メーヴェはずっと怒っている。
「ふふ、主の力なら全英霊に強制して命令することも可能でしょ? さっきのルーファスも無理やり従えてしまえばよかったんじゃない?」
ぼそりと言ったのは暗い雰囲気を持つ半裸の美少女――『千の呪殺ミルリ』だ。
「なんなら、あたしが【呪怨操作(ルビ:じゅおんそうさ)】の呪いをかけて主の操り人形みたいにしてあげるけど?」
「いや、それはいくらなんでも」
「じゃあ、主に従わないとジワジワと精神的肉体的苦痛が生じて、やがては死に至る【真綿(ルビ:まわた)の苦痛】の呪いを――」
「さっきから物騒すぎない!?」
俺は思わずツッコミ交じりに叫んだ。
「……っていうか、いつから背後にいたんだ」
「ひ・み・つ? うふふふ」
「可愛いっぽく言ってるつもりかもしれないけど、怖いからな。いきなり背後に立つなよ……」
俺はジト目になりつつ、
「確かに【全自動・英霊召喚】の術式で強制的に命令することはできる。正確には『命令に従わない英霊に苦痛を与える』術式だ。けど、それを使うつもりはない」
俺はミルリを見つめた。
「俺は英霊たちに『力を借りたい』んだ。一方的に使役したいわけじゃないし、もしそうしたとしても、英霊は最大の力を発揮できないと思う」
そう、俺のスタンスは初めて【全自動・英霊召喚】を身に付けたときから変わらない。
「俺の命令じゃなく自分の意志で動いてこそ、英霊は最大の力を発揮できるはず。だから今回も、あくまでも『説得』という方向性は崩さない」
「ま、主らしいよね」
メーヴェが苦笑した。
「優しいというか、お人よしというか……そういうところ、好きだぞ?」
「な、なんだよ、そんなふうに言われると、ちょっと照れるな」
俺は苦笑を返す。
――その後も俺たちはまっすぐに空を進んだ:
ルーファスがいた場所からは一転して、岩山や砂漠といった場所が続いた。
ときどき砂漠から巨大なワーム型のモンスターが出てきて襲い掛かってきたが、
「がうっ」
ジルが軽く吠えると怖がって去っていった。さすがは竜だけあって、他のモンスターへのにらみが効くらしい。
さらに進むと、前方に円形の巨大な闘技場が見えてきた。
闘技場の壁には垂れ幕がかかっていて『第二チェックポイント』とある。
「あれが次の目的地だ」
ジル竜から降り、闘技場に入ると、そこには十数人の英霊がいた。どうやら剣の試合をしているようだ。
俺たちのいる場所は観客席にあたるらしかった。
向かい側の観客席には数十人の英霊がいて、彼らの戦いを見つめている。
「今日こそお前を倒し、Sランク英霊の称号を手に入れる!」
「二言はないだろうな、ジュリエッタ! お前に勝てば『Sランク』の称号を譲ると!」
「絶対に、倒す!」
「そろいもそろって――威勢がいいねぇ」
十人ほどの英霊に囲まれているのは、先ほど『ジュリエッタ』と呼ばれた一人の美女だ。
赤く長い髪をたなびかせた凛々しい顔立ち。 二メートル近い長身に露出が多いビキニアーマー型の鎧をまとっている。
両手には、それぞれ巨大な剣を携えていた。二刀流なんだろうけど、あんな重そうな大剣を片手で一本ずつ扱えるんだろうか。
「強い――」
ゴルがつぶやいた。
「あの十人、全員がかなりの使い手だぜ。見たところAランクだが、Sに近いAってところだ」
じゃあ、囲まれている方の女英霊に勝ち目はないのか、それとも――。
「おおおおおっ!」
剣士たちが突進する。
彼女――ジュリエッタは微動だにしなかった。
次の瞬間、無数の閃光が走る。
「がはっ……」
「ぐあっ……」
一瞬――だった。
十人の剣士はいずれもその場に倒れ伏す。
「やっぱりジュリエッタは強い!」
「最高だ!」
「お姉さま、素敵!」
観客席から一斉に歓声が上がった。
「なんだと……!? あの一瞬で357回もの剣閃を――」
息をのんだのはゴルだ。
「大剣二本をそれぞれ片手で扱う技量もすさまじいけど、何よりも……とんでもない斬撃スピードだよ、あの女」
レオンがうなる。
「剣速だけなら僕より上だ」
正直、俺の目には何も見えなかった。たぶん、あの閃光は彼女が振るった剣の軌跡だったんだろう。
……というか、レオンやゴルはあれを目で捉えられるんだな。
やっぱり、すごい――。
【読んでくださった方へのお願い】
面白かった、続きが読みたい、と感じた方はブックマークや評価で応援いただけると嬉しいです……!
評価の10ポイントはとても大きいのでぜひお願いします……!
評価の入れ方は、ページ下部にある『ポイントを入れて作者を応援しましょう!』のところにある
☆☆☆☆☆をポチっと押すことで
★★★★★になり評価されます!
未評価の方もお気軽に、ぜひよろしくお願いします~!






