9 襲来
――というわけで、おやつタイムである。
「ん。おいしい」
レミナが幸せそうに菓子を食べている。
スポンジケーキ風のお菓子だ。
「ほんと、おいしい~! あ、フレイくん、それはあたしが目を付けた奴だからね」
キキは俺の斜め前にあるマドレーヌを見つめていた。
その眼光がさっきより数倍鋭い。
「分かったよ。好きなだけ食ってくれ。ボルテックもな」
俺は苦笑交じりに言った。
「俺は菓子や紅茶より酒がいいかな。がはは」
「さすがにそれは勤務時間外にしてくれ」
豪快に笑うボルテックに、俺はまた苦笑した。
それから、菓子を一つ食べてみる。
「――美味い!」
口の中でふんわりと蕩けるような甘さだ。
体中に心地よい浮遊感が訪れ、まさしく天国にいるかのような至高の味わい――。
さすがはクラスSの英霊が作る菓子だけはある。
「も、もう一つ……」
「ふふ、やっぱりフレイ様も虜になりましたね」
レミナがくすりと笑う。
「こんなに美味しいとは思わなくてさ」
「私も。今までの人生で一番美味しいお菓子だと思います」
「だな。こいつはうめえ」
「あ、それはあたしが目をつけてたやつー」
「こっちにも同じのがあるだろ」
「ほんとだ。じゃあ、そっちは食べていいよー」
「おう」
そんな感じで、俺たちはしばらくの間お菓子タイムを楽しんだ。
もぐもぐ……。
ほどなくして全部のお菓子を食べ終わる。
「休憩はそろそろいいだろう。さっきの続きを話そう。キキ、君から提案は――」
俺がたずねようとした、そのときだった。
窓の外に、閃光が弾ける。
「なんだ――!?」
『【全自動・英霊召喚】が発動しました。結果を表示しますか?』
目を凝らすと、いつの間にか空中に四つの人影がある。
自動召喚された英霊たちだ。
「ああ、頼む!」
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自動召喚種別:迎撃
召喚英霊 :『至高の魔術師メーヴェ』 クラスS
『漆黒の魔術師ハーヴェル』 クラスS
『破砕騎士ゴル』 クラスS
『紅の聖女スカーレット』 クラスA
英霊種別 :攻撃型、防御型
英霊等級 :S、A
自動行動結果:敵襲に際し、臨戦態勢で待機
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『英霊たちが指示を求めています』
アナウンスが響く。
『敵は異空間の向こうにいる、とのこと』
「敵? 異空間?」
俺は窓の外の景色を見回した。
さっき閃光が弾けた辺りを見るが、特に異変は見当たらない。
――いや。
肉眼で見るのではなく、魔力を探知してみる。
「――なるほど」
ほんのかすかにだが、空間が歪んでいる場所がある。
その向こう側に異空間が広がっている――?
『指示をどうぞ。こちらから打って出るのか、あるいは待機か、あるいは――』






