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5 レミナの見送り

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「お待ちください、フレイ様!」


 出発しようとしたところで、執務室にレミナが駆け込んできた。


「お取込み中に申し訳ありません」

「いや、君にはあらかじめ伝達してから行くつもりだった。ちょうどよかったよ」


 俺はレミナに微笑んだ。

 一方の彼女は暗い顔で、


「……また、戦いに行くのですね」

「ああ。相手が相手だけに『全自動』で対応ってわけにはいかない。俺自身が現場で確認しながら指揮を取らないとな」

「……どうして、フレイ様ばかり……こんな危険なことを……」

「レミナ?」


 彼女は細い肩を震わせていた。


「前回は魔王と戦って……今回は伝説の魔獣に絡んだ戦いなんでしょう? フレイ様や英霊たちのお力は存じてますが、それでも……」


 言って、彼女は唇を噛みしめた。


「心配をかけてすまない、レミナ」


 俺は彼女の肩にぽんと手を置いた。


「……いえ、出立前に水を差してしまってすみません」


 顔を上げたレミナは――涙目だった。


 思った以上に、心配させてしまっているな……。

 罪悪感を覚えてしまう。


「大丈夫だ。俺には最強の1000体の英霊がついている。それに忘れたのか? 俺と英霊たちはこの間、『赤の魔王』を打ち倒したんだぞ。今回戦うのは、それよりずっと格下の魔族たちだ」


 実際には1000体の英霊を同時に全部使うことなどできないし、最強の英霊を片っ端から投入した魔王との戦いに比べ、今回はそこまで無茶ができない。

 条件としてはかなり違う。


 が、それを言えば、レミナをますます心配させてしまうだろう。

 俺は彼女の不安を取り払うために、あえて自信ありげに宣言してみせた。


「そうそう、あたしがいるんだからね」

「ふん。僕がいる限り、魔族が何匹来ようが敵じゃない」

「俺様に任せておけ」

「あ、あたしがいるからには……あ、やっぱり自信が……ない、かも……」


 メーヴェが、レオンが、ゴルが、そしてブレイザーが言った。

 ……最後、ブレイザーの台詞だけは、かえって不安がらせそうだが。


 ともあれ、俺は彼女に微笑みかけた。


「すぐに片づけて帰ってくる。魔獣サイフォスが復活すれば、世界そのものが危機に陥るからな」

「どうか、ご武運を」


 言って、レミナが俺に抱き着いてきた。


「レミナ……?」

「必ず、帰ってきてくださいね」


 レミナのか細い両肩はまだ震えたままだった。

 不安そうな顔で俺を見つめている。


 そんなレミナの想いを落ち着けたくて、俺はそっと彼女を抱きしめた。


「……ああ、約束するよ。戻ってくる、と」


 君の元に。


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