3 魔獣迎撃戦
日間総合表紙入り! なろうでは初めて2作連続で総合表紙入りできました。ただただ感謝です……!
「現場まで移動したい。頼めるか」
俺は空中に向かって呼びかける。
『移動に最適な英霊を判別、召喚します』
アナウンスが響いた。
直後、俺の前方に召喚魔法陣が出現した。
そこから小柄なシルエットが飛び出してくる。
「暁の竜人ジル、ただいま参上~!」
テンションが高い女の子だった。
「ジル……竜に変身できるスキル持ちだったな」
「いえーす! 二人を乗せていけばいいのかなっ?」
「ああ、俺と彼女だ。頼む」
「じゃあ、広い場所まで移動しよ~! ここだと建物壊れちゃうからね!」
俺はレミナとともに中庭に出た。
ボルテックとキキには待機してもらった。
万が一の危険も考えてレミナにも待機してほしかったのだが、彼女は頑として聞かなかった。
『自分は元筆頭宮廷魔術師です。見届ける責任があると思います』と強く主張したのだ。
……まあ、彼女を特に気を付けて守れば、危険はないだろう。
そう判断して、レミナの同行を許可した。
で、次は移動だ。
「いいぞ。始めてくれ、ジル」
「へんしーん!」
ジルが両手を振り回して変身のポーズを取る。
「竜人ってああいうポーズを取って竜に変身するんですね」
と、レミナ。
「いや、あれは彼女の趣味だ。普通の竜人はあんなことをしなくても変身できる」
「そ、そうですか……」
俺たちに目の前でジルの全身から雷光がほとばしった。
炸裂する光。
その輝きが晴れると、全長十メートルほどの竜が出現していた。
竜体となったジルである。
「さ、二人とも乗って乗って~!」
ジルが言った。
──というわけで、俺はレミナとともに竜に乗って魔獣災害の現場までやって来た。
まずは西部の第九街区だ。
「あれは──グレートボアだな」
その名の通り巨大な猪の姿をしたモンスター。
口から火を吐き、また鉄板をも貫く突進力を持っている。
「近距離、遠距離ともに強力な攻撃手段を持つ厄介な魔獣です。私や他の宮廷魔術師の戦闘レベルでは手が出せなくて……」
「分かった。英霊を使って排除する」
レミナの言葉にうなずく俺。
「敵モンスターはグレートボア。周囲に可能な限り被害を与えない戦法で倒したい」
俺は空中に向かって呼びかけた。
『では、最適な英霊を選出、召喚します』
声が響き、前方に召喚魔法陣が浮かび上がる。
そこから現れたのは黒いローブに肩当てや手甲、足甲を装備した魔術師の青年だった。
「お前か、ハーヴェル」
「はい、マスター。『漆黒の魔術師』ハーヴェル、お召しにより参上いたしました」
恭しく一礼するハーヴェル。
彼は闇属性の魔法を得意とする攻撃タイプの魔術師だ。
英霊としてのクラスは最上位のS。
また、攻撃能力もすべての英霊の中でトップクラスだった。
そして、特筆すべきは魔力コントロール能力の高さだ。
通常、魔法の呪文というのは攻撃力が高ければ高いほど、コントロールが難しくなる。
ピンポイントに何かを破壊するのは不可能で、広範囲にその破壊をまき散らす。
だが、ハーヴェルは違う。
最上級の攻撃呪文でさえ、完璧にコントロールし、目標だけを正確に破壊する。
周囲への被害は限りなくゼロに近いレベルまで抑えてしまう。
奇跡のような呪文制御能力と攻撃精度――。
それがハーヴェルの真骨頂である。






