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ブラックな職場の、ブラックな聖女による、ブラックな日記  作者: サモト


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P4 『献身と慈愛』の示し時

12月5日


 毎年恒例の『黒い聖母討伐隊』の編成が始まった。


 私は聖女になってから毎年メンバー入りしている。

 不良聖女なので、戦場へ行って悔い改めてこい、ということだ。


 戦地での生活は、神殿で箱入り育ちの聖女たちにはそりゃあ辛い。

 砦は衛生環境も寝具も最低限。寒いし、うるさいし、虫もいる。


 けど、私はむしろ神殿より快適だ。

 口うるさい聖女長の監視がないので、けっこう自由にできる。

 ふはははは! 肉だ酒だ! エルドに差し入れ頼むぜ!


 ――という本音は全力で隠している。

 浮かれた顔を見せたら、罰の意味がないと悟られてしまう。

 ため息をつきながら「またですか……」と嫌そうな顔をしておいた。


 今日は頬の内側が痛い。ゆるむ頬を押さえるのが大変だった。



 今年も同期のラナが一緒だった。

 「献身と慈愛を示すために」なんて謙虚ぶって立候補していたが、私は知っている。

 あいつは戦地に行くと、男の裸(筋肉)が見放題だから志願しているのだ。痴女め。



 あとは、聖女になって3年以下の若い子が3人。

 彼女たちは純粋に『献身と慈愛のため』に手を挙げていた。


 ……あー、吐き気がする。

 何が「今こそ献身と慈愛を示す時」だよ。

 しかも若い子を狙っていうの、本当にいやらしい。


 奉仕精神とやる気と根性があるやつから真っ先に倒れて行くのが、この仕事だ。

 残っているベテランは、彼女らとは逆の連中だ。

 だから聖女長も声をかけない。


 何も知らない若い子たちは、神殿に植えつけられた教えを疑うことなく信じて、まっすぐ手を挙げる。


 みんな、何も思わないのだ。


「献身と慈愛なんて、人を都合よくこき使う便利ワードじゃね?」


 なんて、私みたいにひねたことは考えない。


 10歳で神殿入りした私と違い、みんなは6歳から神殿で育っている。

 神殿の教えが世界のすべてという環境で育ったから、疑うという発想すらないのだろう。


 私も、そうだったら


 ……寝よう。

 考えても無駄だ。

 明日から、いない間の仕事の引き継ぎやら調整やらで忙しくなる。

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