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ブラックな職場の、ブラックな聖女による、ブラックな日記  作者: サモト


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20/21

P20 案件クロージング

3月30日


 エルドとルーリエに、思うままにやり返したら、

 妙にすっきりして、しばらく日記帳を開くことがなかった。


 日々、こまごま腹立つことはあったけど、

 以前みたいに胸の奥に澱のように溜まることがなかった。

 まあいいや、と流せてしまった。


 明日は神脈石の検査の日。

 怖い。


 療養所は、どんなところだろう。

 案外、心穏やかに過ごせる場所だったりするんだろうか。

 そうだといい。



 あれから、エルドと一度だけ会った。

 解決金の受け渡しで、だ。

 約束通り、昇進も辞退したといっていた。


「そのせいで、僻地に飛ばされることになったよ」


 昇進を辞退する=報告書捏造を拒否。

 それを快く思わなかったあの指揮官に、反逆分子扱いされたということらしい。


「正直者は馬鹿を見るだけだ」


 エルドは吐き捨てるように言っていた。


 でもさ、エルド。

 もし、あの時、私と一緒に捏造を拒否してくれていたら。

 左遷されても、私は喜んでエルドについていった。

 ご両親も、きっとあなたを誇りに思っただろう。

 それではダメだったの?



 いまだに、ルーリエが大聖女候補を辞退したという話は聞かない。


 先日、式典で見かけた彼女は、晴れやかに笑っていた。

 でも、目は虚ろだった。

 私と目が合った瞬間、そのときだけ、感情が宿った。


 ――どうして私が、こんな目に。


 そう言いたげな、恨みのこもった目。

 何がここまで自分を追い込んでいるのか。

 その原因を、彼女はいまだに悟っていないらしい。


 ……笑い方。

 黒い聖母に似てたな。

 ひょっとしたら、神力の濁りが原因で、彼女は大聖女候補から外されるのかもしれない。


 療養所で待ってるよ。

 歓迎会くらいは開いてあげる。


 仲良くはしないけどね。

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