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ブラックな職場の、ブラックな聖女による、ブラックな日記  作者: サモト


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18/21

P18 効果が最大化する瞬間を狙うこと

2月2日


 今日はまた、結婚式の打ち合わせ。

 エルドは何食わぬ顔で式の話を進めようとしたが、私がストップをかけた。


「この結婚を取りやめたい」


 びっくりしているご両親に、私はエルドの浮気を訴えた。

 エルドは、最初こそ否定していた。

 けど、私がみんなから提供された数々の証言を出すと、黙った。


 ご両親は目を見開き、息を呑んでいた。

 お二人とも、本当に良くできた方だ。

 いきなりエルドに怒鳴ったりはしなかった。


「よくないことをしたね。なぜ?」


 そう静かに問い質した。


「誰かに必要とされたくて」→「ミリアさんは君をいらないといったのかい?」

「ミリアは自分一人でもやっていけるから」→「強い人なら、裏切ってもいいと?」

「ルーリエがかわいそうで」→「弱っている人を助けるのと、婚約者を裏切るのは別の話」


 私の言いたいことは、すべてご両親が言ってくれた。

 ハタで見ていて思ったけど、頭ごなしに怒鳴られるより辛いな、コレ。


 エルドに非があることを確認すると、

 ご両親は挙式中止に伴う費用と、

 婚約の契約違反に対して解決金を支払うと申し出てくれた。


 私はうなずき、もう一つ要求した。


「彼は私の功績で昇進しました。それも辞退してください」


 指揮官が手柄欲しさに、報告書を捏造したこと。

 私がそれを拒否すると、エルドは自分の立場を守るため、指揮官に加担したこと。

 そして、私の説得に成功すれば、自分が昇進できることを隠していたこと。


 詳細を説明すると、ご両親は唖然としていた。

 お互い目を合わせて、それからエルドを見た。

 失望と呆れ、わずかな哀れみ。


 エルドは恥ずかしさで顔を真っ赤にしていた。

 胸のすく思いだった。

 これでこいつは、幸運にも手に入れた良い養い親の、期待と信頼を完全に失ったのだ。


 私も、こんな親が欲しかった。

 エルドとの結婚でそれが叶うと夢見た。

 でも、全部ご破算だ。

 おまえ一人手に入れたままなんて、そんなの許せない。


 よほど恥辱に耐えられなかったのだろう。

 ご両親から、この件に関する費用はきちんと自分で支払うように言われると、


「……親なら、子供の味方をしてくれるものじゃないのか」


 エルドは余計なことを言った。

 義理の親子間では禁忌ともいえる言葉だ。

 家の中はしん、と静まり返った。


「君にはもう、自分で生きて行けるだけの力を与えたはずだよ」


 ご両親の声は震えていた。

 私への謝罪と見送りを済ませる間、エルドの顔を一度も見なかった。


 エルドは親の愛をも失ったのだ。

 正直、ドス黒い喜びで胸がいっぱいだ。


 エルド。

 お互い一人さみしく死のうね。

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