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ブラックな職場の、ブラックな聖女による、ブラックな日記  作者: サモト


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17/21

P17 一次目標達成

1月27日


 黒い聖母を討伐した功績で、ルーリエが大聖女候補の一人に選ばれた。


 ……危なっっっ!


 あの黒い聖母、やっぱりそれ級のヤツだったのか。

 大聖女候補なんて、今より堅苦しくて面倒な役職はゴメンだ。

 あのアホ指揮官の手柄になったのはムカつくけど、手柄を手放した判断自体は、ある意味正解だった。


 まあ、私の神力はもう濁っている。

 仮に真相が明るみに出たところで、候補にはなれない。

 個人的に逃げ切った感があって気持ちいい。ざまあみろ。


 ラナが、あからさまに面白くなさそうな顔をしていた。

 真相を報告しようとしたので、魔法で一時的にしゃべれなくした。

 背中を蹴られた。痛え。


 だって、このまま黙っていた方が見ものだ。

 ルーリエが大聖女になるための厳しい修行に耐えられるのか気になるし。

 大聖女は終身職で、生涯未婚。エルドの扱いを、どうするつもりなのかも気になる。


 後者は、すぐに答えが出た。

 しかも、かなりひどい形で。


 ラナと同じく義憤に駆られたらしい人物が、ルーリエとエルドの関係を聖女長に訴えた。

 詰問されたルーリエは、驚いたように両手を振って否定した。


「違います。そんな仲じゃありません」


 さらに詰められれば、息をするのと同じ自然さで被害者を装った。


「むしろ、しつこく通われて困っていたんです。

 エルドさんにはミリアさんがいるのに……」


 よくもまあ、ここまで悪気なく人にすべてを押し付けられるな、と感心した。


 書いていて思ったけど、ルーリエのあの素早い回避行動。

 危機から逃げる動物のようだった。

 責められる→嫌われる→怖いから逃げよう

 あの無責任さは、そういう保身を突き詰めた結果なのかもしれない。


「大聖女は神の花嫁。候補者として、その覚悟はありますね?」


 聖女長からそう問われると、ルーリエはすぐに「はい!」とうなずいた。

 相手の望むようにする→相手に好かれる→自分の安全が増す

 人の望む答えばかり返すのも、そういう我が身のかわいさのためなのかもしれない。


 あるのは、献身と慈愛でなく、保身と自愛か。

 あからさまに悪人には見えないのでタチが悪いな。


 その日の午後。

 またエルドがルーリエの元を訪れていた。


 ラナに教えられ、こっそり様子を見に行くと、ちょうど別れを告げられているところだった。


「大聖女候補に選ばれたんです。

 大変だとは思いますけど……期待に応えられるよう、頑張ってみます。

 エルドさんも、頑張ってくださいね」


 エルドは祝福の言葉を口にしていたが、急な話だ。

 すぐには事態を呑み込めず、


「辛いことがあったら、いつでも呼んでよ。話、聞くからさ」


 と食い下がった。


 さっさと帰ればよかったものを、かわいそうに。

 その時、ルーリエの護衛騎士たちが挨拶にやって来た。


 大聖女候補には常に護衛がつく。

 しかも、見目も家柄も申し分ない騎士ばかりが。


 ルーリエの関心は、すぐにそっちへ移った。

 エルドの方なんて、もう一度も見なかった。


 そしてだれもエルドに同情しなかった。

 自業自得と、白い目だ。


 今日は出がらし茶でも酒のようにうまい。

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