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ブラックな職場の、ブラックな聖女による、ブラックな日記  作者: サモト


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P15 無敵の人

1月17日


 今日は大聖女様の巡回があった。


 その際、大聖女様は自分と仲の良かった双子の聖女の話をなさった。

 慈愛と献身に満ち、誰より聖女らしい二人だった――らしい。


 でも、二人とも大聖女にはなれなかった。

 黒い聖母の呪いを受け、療養所送りになったからだ。


 大聖女様はルーリエに、


「あなたが呪いを受けずに済んで、本当に良かった」


 と言っていたけれど。


 あの方はたぶん、討伐の真相に気づいている。


 巡回の後、廊下で呼び止められた。


 大聖女様の目はまっすぐ、私の聖衣の下にある神脈石を捕らえていた。

 あの方の目は見えない。

 その分、見えないものが見える。

 だから私本人よりも早く、神力の濁りに気付いた。

 濃い灰色になっている石が見えていらっしゃるのだろう。


 私は大聖女様に「どうしたらそんなに広い心でいられるのか」を聞いてみた。


 大聖女様の目が見えないのは、聖女時代に貧民街を慰問し、暴徒に襲われたせいだ。

 でも、大聖女様は彼らを許し、変わらず貧民街を慰問しつづけた。

 今もそうだ。

 その尽きることない献身と慈愛は、どこから来るのか。


「受け入れているだけですよ。人はみな、愚かなのだと」


 こともなげなセリフ。


「だから、ミリア。すべてを許してあげなさい」


 大聖女様は、私の身に起こった一切を知っているようだった。

 そっと、優しく私の手を握った。


 なるほど。


 ……気に入らない。

 人はみな愚かと認めるなら、それを悟った者はなんなんだ? 神か?


 すべてを受け入れ優しく微笑んで。

 女神と崇められる大聖女様。

 すべてを許せるのは、あなたがもう同じ人間ではないから。

 なら、あなたに私の何が分かるというのだ。


 そうやって許すくらいなら、私は愚かでいい。

 憎んで憎んで、一番救いようのない馬鹿になりたい。


 人を呪わば穴二つ?

 もう穴に落ちているなら、いまさら何を怖がることがあるだろう。


 取り返しのつかない大穴だ。

 大聖女様が巡回中にした話で分かった。


 なぜ療養所から誰も帰ってこないのか。

 私の倒した2体の黒い聖母はどこから来たのか。


 おかげで石はもうほとんど真っ黒。

 今度の神脈石の検査では確実に引っかかる。


 誰が許すか。

 二度と這い上がれない穴底にいるのなら、人の不幸と言う名の蜜を味わってやる。

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