P13 年明けから不穏
1月4日
年末年始は休みを自主的に返納。
休みを取りたい同僚に変わって連勤し、献身してみた。
でも、神脈石の色に変わりはない。むしろ濁った気すらする。
本当にどうしたらいいか分からない。
※
新年早々、意外なことがあった。
ラナが定例会議で「ラベルにメッセージを書くことを禁止したい」と言い出したのだ。
理由は「ラベルの説明書きを読めなくしてしまう人がいるから」だった。
本人も、結構おもしろがってやっていたので驚いた。
説明書きを読めなくする一人だったくらいだ。
会議の後、そのことをからかったら、本当の理由を聞かされた。
「ルーリエにかかっていた若い聖騎士二人がね。
ラベルメッセージが原因で、殴り合いになったのよ」
なんでも『好きです』と書かれた薬瓶が、どちら宛かで喧嘩したらしい。
……まあ、そうなるよな。
ラベルメッセージが流行り出した時、いつかこういう騒ぎが起きるだろうとは思っていた。
ルーリエは、無意識に相手の喜ぶ言葉を選ぶタイプだ。
一応、ラナは誤解を招くメッセージを書くものじゃない、と注意したらしい。
が、案の定「わたし、そんなつもりはなくて……」と、お得意の責任回避が始まった。
それでラナは強硬手段に出た、というわけだった。
ラナに、妙なことを言われた。
「あんたのところ、大丈夫?」
何を? と思った。
私はラベルにメッセージなんて書かない。
「エルドさん、まだ救護室通ってるわよ」
だれの救護室かは、聞かなくても想像がついた。
打ち身程度の傷を診る、慈愛あふるるところなんて一つしかない。
嫌な想像がよぎった。
……けど、保留している。
確かな証拠もないのに疑うのは、良くない。
エルドが、何か病気を抱えている可能性だってある。
問題が深刻であればあるほど、人には言いづらいものだ。
私も、神力が濁っていることをエルドに相談できていない。
まずはエルドに通っている理由を聞いてからだ。




