P12 本当に辛いことは誰にも言えない
12月27日
王都に帰って来た。
凱旋パレードで、アホ指揮官は誇らしげに手を振っていた。
部隊は9割方、死んだ目をしていた。精神的には大敗だ。
昨日のつまらない祝勝会でつまらない顔をしていたら、知らないやつが、
「元気出して! 笑顔笑顔」
「楽しくないときでも、笑うと楽しい気分になりますよ!」
などと言って、感情を上書きしにきた。
うっせーわ!
なんだ、元気出せって。元気に在庫なんてあるわけないだろ。
笑え? 私には落ち込む権利もないのか?
カチンときたので「あなたの顔面にパイぶつけたら笑えそうです」と返しておいた。
二度と話しかけてこなかった。
本人が前向き教を信仰するのは自由だが、人に強要するな。
人の心を殺しに来てるも同然だ。
私は現在、後向き教なんだよ。
今日の、エルドのご両親と食事会は楽しかった。
私たちの帰還を祝っての晩餐会。
食卓には、私の好きな物がたくさん並んでいた。
エルドが事前にリクエストしてくれたらしい。
誰かが自分のために用意してくれる食事というのは、とても幸せだ。
肉類を自粛しているので、半分しか手をつけられなったのがとても残念だった。
食事の席で、エルドは、本当は私が一番の功労者だということを、ご両親にそれとなく話してくれていた。
ほっとした。
エルドは、討伐成功のお祝いをしようと言っても乗り気じゃなかった。
討伐の場で、見ているしかなかったことを引きずっているのかと心配していたけど、もう立ち直ったようだ。
ずっと気になっていたケガのことを聞いてみた。
打ち身程度で、大したことはなかったらしい。
拍子抜けした。
ラナが通っているといっていたので、骨折でもしていたのかと思った。
「こんな程度でミリアを煩わせるのは、本当に悪いと思って」
いや、私でなくとも、それで救護班を頼るのはどうかと……
っていうか、その程度は救護班も追い返せよ……
いやいやいやいやいやいや。
こういう思考だから、私は慈愛が足りないって言われるんだろうか。
なんでもかんでも効率重視の合理主義が、良くないのかもしれない。
黒い聖母の呪いで、私の神力はさらに濁った。
ろくな防御もできずに、2体と戦うハメになったのだ。
当然の結果と言える。
最悪だ。
持っている神脈石は、前は灰がかっている程度だったのに、今ははっきり灰色。
どうすれば晴れるのか、だれか教えて欲しい。




