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ブラックな職場の、ブラックな聖女による、ブラックな日記  作者: サモト


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P10 喜ばれない成功

12月18日


 やるんじゃなかった……


 最悪だ。

 本当に最悪。

 何が最悪かは、今は書きたくない。


 とりあえず、死ぬかと思った。

 黒い聖母と戦闘中、これまでの人生がよぎった。


 黒い聖母が2体いるなんて。

 何あれ、双子? 通常の2倍サイズの産卵袋に上半身が2つついていた。

 あんな個体もいるとは知らなかった。

 道理で強いわけだ。


 速攻で撤退を決めたのに、あーのー指ー揮ー官ー!

 叫びやがってええええ!

 おかげで向こうに見つかり、退路をふさがれた。


 なんだ「きゃ―――っ!」って。内股で! 女子か!

 気が動転して、思わず指揮官を張り倒してしまった。

 不可抗力です。


 ルーリエには防御役を頼んだ――のに。

 合間に、負傷兵へ全体回復魔法を連発してすぐ神力切れ。


 え? それ、今しなくていいよね?


 死ぬほどのケガでないのになぜするのかといったら「痛がる人の声を聞くと、自分も辛くて」。

 オメーは治療行為すら自分のためかよ。


 でもって、その後は連日の救護活動の疲労で昏倒ときた。

 呆然とした。

 神力豊富なルーリエのサポートをアテにしていたのだ。

 計画が丸つぶれで、半分パニックになった。


 よくがんばった自分……

 もう、神力でゴリゴリゴリ押しだったな。

 最後「オラァ―――ッ!」って叫んじゃった。外股で。男だった。


 退職金、弾んでくれないかな……

 でも勲章とか賞状なんだろうな。いらねえ。

 ラナからは『神力ゴリラ』って二つ名をもらった。もっといらねえ。


 王都に帰ったら、討伐祝いに美味しいものでも食べに行こうと、エルドを誘ってみた。

 けど、奥歯に干し肉カスでも挟まってるのかって感じの、あまり乗り気でない返事をされた。


 「自分は見ていただけだから」って……

 いや、逃げなかっただけで十分だと思うけど。

 それだけで、真っ先に逃げようとした指揮官の1万倍は働いてる。


 あと、エルドがケガしてたの、今日知った。

 ラナに教えられた。


 「ミリアに負担をかけたくないから」と、他の班に通っているらしい。

 エルド一人くらい、神力ゴリラだから余裕……とまではいかないけど、なんとかなるのに。


 知らないの、ショックだった。

 でもラナには、知らないフリしときなさいとアドバイスされた。


「あんたが一人で黒い聖母を倒したのに、

 自分はぜんぜん役に立てなくて、その上ケガの治療までされたら、

 エルドさんの立つ瀬がないでしょ」


 とのこと。


 理解したけど……なんだかなあ。

 向こうの望むようにしたのに、その結果、距離を置かれるって。

 がんばった甲斐がない。



 薬瓶のラベルにメッセージを書く流行が、兵士にまで広まったらしい。

 処方した薬瓶のラベルに「しびれました」「漢の中の漢」「抱いて」と書いて、部屋の前に置かれるようになった。


 声を大にして言いたい。

 空き薬瓶は、回収ボックスに返せ。

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