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ブラックな職場の、ブラックな聖女による、ブラックな日記  作者: サモト


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P1 黒日記

12月1日


 大聖女様から直々に「神力に濁りがある」と心配された。

 終身刑宣告なみのショックだ。


 神力が濁るとまずい。非常にまずい。

 光魔法の効果は落ちるし、黒く染まるほどになれば療養所行き。

 そしてその療養所、入ったが最後、二度と出られないというウワサがある。

 早いところ対処しないといけない。


 神力が濁るのは、聖女の資質である『献身と慈愛の心』が足りないせい、らしい。


 ……知らんがな。


 私は『献身と慈愛』という単語が、ヘドが出るほど嫌いだ。

 世間の10分の1の薄給で人を癒したくないし。

 見も知らぬ人間のために、愛情深く祈るなんて無理だ。


 つまり、私はすでに聖女失格の性根なのである。

 それは見習い聖女として神殿入りした10歳の時から変わらない。


 ……なんで今さら濁っちゃったかね。

 濁るなら、10歳時点でなっていて良さそうなものなのに。

 今と昔で、何が変わったのだろう?


 考えた結果、ひとつ仮説に行き着いた。

 昔より、心が濁ったんじゃないか。


 大人になると、知識と知恵がつく。

 目を逸らせばよかったものが、はっきり見えてくる。

 世の中の汚さや、ずるさや、理不尽が。


 無能な上司が、優秀な部下に責任を押しつけて逃げるところとか。

 評価されるのは、努力した人間ではなく、声の大きい人間だったりとか。


 げんなりすることが、多々ある。


 子供の頃は、腹立つ人間のことは「ブン殴りたい!」だった。

 23歳になった今は「呪い殺してえ……」だ。

 きっと、こういう黒い心が濁りの原因なんだろう。


 昔、誰かから「怒りは紙に書くといい」と聞いた。

 書くことで感情が整理され、すっきりするのだとか。

 この日記を書くことで、他人に殺意を覚える機会が減ることを期待している。


 で、今日のムカつきポイント。

 『回復薬R202瓶色変更会議の開催可否検討会議』って、何?

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