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第四章 お兄様VS謎の男・招待状(亡国の謎編)

遅くなってしまいすみません。

第4章スタートです!今回の章は他のよりもかなり長くなります・・・。

宜しくお願いいたします。

眉間に皺をよせ、エンブレムをじっと見据えていると、アランがサッとペーパーナイフを差し出した。


私は深いため息をつくと、差し出されたそれを受け取ると、丁寧に封を開けていく。

そこには夜会の招待状と一通の手紙が同封されていた。

私は徐に手紙を開くと、見慣れた文字に目を通していった。


[お元気かしら?

突然で悪いけど、一月後に開催する夜会に参加してほしいの。


あなた亡国について調べているのでしょ?

わたくし、良い情報を持っていてよ。


P.S

ルーカス様を絶対連れてくること!


エメリーン]


私は読み終えた手紙から視線を逸らせると、また深いため息をついた。

まったく目ざといわね。

どこで私が亡国について調べているとの情報を聞きつけたのかは知らないが・・・夜会に私を誘うなんてどういう風の吹きまわしかしら?

しかも普通に誘っても私が来ないとわかっている上で、わざわざこちらを調べてまで誘いたい夜会とはいったい何があるんだろうか・・・。

お兄様に会いたいだけ?それとも何か裏があるのかしら・・・?


私は読み終わった手紙を綺麗に折りたたむと、真っ白な封筒に押されているエンブレムに目を向け、彼女との出会い思い返した。


この手紙の主、エメリーンとの出会いはある夜会での事だった。

日ごろ夜会に参加しない私が、近場でかつ王都から五大貴族が集まるとの事で、どうしても参加しなければいけなくなった。

私は憂鬱な気持ちを隠隠し、夜会にお兄様と腕を組んで入室すると、会場にいた貴族令嬢達が一斉にこちらへと視線を向けた。

彼女達は嫉妬むき出しの表情をし、咎めるような視線で睨みつけていた。


そんな針の筵に座らされた思いで、お兄様と並んでいると、令嬢たちの視線がどんどん強くなっていく。

そっとお兄様の様子を覗うと、まったく気にした様子はなく、いつものように微笑みを浮かべていた。

私は頬を引きつらせながら、心の中でため息をつくと、お兄様の腕をそっと離した。


端正な顔立ちに、鮮麗された美しい立ち振る舞い、いつも優しい微笑み絶やさないお兄様は、貴族令嬢の間では理想の王子様として有名だった。

加えて誰にでも分け隔てなく接し、貴族によく見る気取った態度をとることもない。

そんなお兄様がモテないはずがない・・・。


次第に私がお兄様の妹だと知った貴族のご令嬢たちは、先ほどの鬼の形相はどこへやら・・・貴族令嬢らしい微笑みを浮かべながら、私へと近づいてきた。

そんな中先頭に立ち、気の強そうな目で私に微笑みかけてきた貴族女性は、鮮やかなブロンドヘアーにきつい巻き髪がわさわさと揺れ、真っ赤なドレスを身に着けていた。

その女性は私の前に来ると、宝石が散りばめられた派手な扇子を閉じ、私へと美しい礼をとった女性がエメリーンだった。

まさか前世の漫画などでよく見た、悪役っぽい令嬢をこの目で見ることになるとは思わなかったわ・・・。


私はまたか・・・と思いつつ、私は微笑みを消し、煩わしそうな態度を見せ、近づいてきたお兄様狙いの令嬢達を軽くあしらっていたが・・・エメリーンはそんな私の態度に臆することなく、しつこく話しかけてきた。

私に擦り寄る貴族令嬢が一人減り、また一人減り・・・・大抵の貴族女性は、辛辣な扱いをされるとすぐに離れていくものだが・・・彼女は違った。

あまりに食い下がってくる彼女を私は強く見据えると、


「私に話しかけてもお兄様の株は上がらないわよ!」


そうはっきり言ってやると、彼女からは想像の斜め上の返答が返ってきた。


「やっとこっちを向いたわね!!!」


そんな彼女に呆然とすると、彼女は勝ち誇ったように笑っていった。


変な子ね・・・。

私はあきれた表情し深いため息をつくが、彼女はまったく気にした様子を見せなかった。

ひたすら話す彼女の相手をしていると、お兄様が私の傍へとやってきた。

すると彼女は突然顔が強張り、口数が少なくなると、私の前から逃げ出した。

はぁ、どこの小学生の恋愛よ・・・。

逃げ出したエメリーンの背中を見つめると、私はまた深いため息をついた。


その後あまりそういった催し物に参加しない私に、思い出したかのように彼女から手紙が届くようになった。

そこにはお兄様についての質問ばかりだが、彼女の一生懸命書いた字が微笑ましく感じられ、教えられる範囲でお兄様の情報を伝えていた。


まぁ、そんなこんなで彼女とは浅い仲ではあるが、まさかそんな彼女から夜会の招待状が届くとは思わなかったわ・・・。

はぁ・・・現状亡国について何の情報も得られていないし、夜会は憂鬱だけど行くしかないわね。

彼女からの手紙はお兄様が王都へ行ってから一度もなかったが・・・、あの子まだお兄様に恋をしているのかしら・・・?。

お兄様を見ている限り、可愛そうだけど・・・彼女あまり相手にされていないんじゃないかしら・・・。


私は招待状を握りしめると、私の前に佇んでいたアランへ視線を向ける。


「アラン、参加の返事を出しておいてくれるかしら」


「お嬢様・・・夜会へ行かれるのですか?」


私はエレンに微笑みを浮かべると、軽く頷いた。

アランは私に視線を合わせること無く、わかりましたと呟くと私から一歩下がった。


「夜会には・・・また彼を連れていかれるのですか・・?」


彼・・・?誰の事を言っているのかしら?

私はアランの言葉にキョトンとしていると、


「以前パーティーに参加された際、同行を許されたガゼル様の事です」


ガゼル・・・なぜここで彼の名前が出てくるのかしら・・・?


「まさか、ガゼル様には声をかけるつもりはないわ。今回もお兄様にお願いするつもりよ」


アランは私に視線を合わせると、返事を出してきますと静かに部屋を後にした。

変なアランね。

ガゼルは私の事をあまり好きではないはずなのに、どうしてその発想になったのかしら?


アランがいなくなった部屋で私は衣装棚へと足を向ける。

さて、お兄様にこの招待状をもっていかないとね・・・。


お兄様たちがこの青い宝石を狙っているとわかってから、私は一度もお兄様と顔を会わせていなかった。

最近のお兄様は屋敷にいないことが多く、どこへ行っているのかわからないが、食事にも顔を出さない。

時折屋敷で見かけるお兄様の姿はどこか鬼気迫った様子で、声をかけれる様子ではなかった。


私は太ももに忍ばせていた青いネックレスを取り出すと、首へとつける。

衣装棚の扉をあけ、簡素なドレスへを取り出し袖を通すと、お兄様に会う為に部屋を後にした。


お兄様の部屋へ向かう途中、屋敷の廊下を慌ただしく走るメイド達とすれ違った。

あら、どうしたのかしら?

私は焦る様子のメイドを一人捕まえると、何かあったのかしらと問いただした?


「お嬢様!!あの・・ルーカス様が倒れてしまって、今御医者様を呼んでいるところなのです」


お兄様が!?

私はメイドから手を離すと、急いでお兄様の部屋へと向かった。


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