第二話 夏休みに向けて
「ではではー、これより夏休みをどう楽しむかの会議を始めまーす」
終業式の後に、俺達は予定通りファミレスへ。
席はぎゅうぎゅうに詰めて、男子と女子で分けた。
席順は、男側が白峰先輩、俺、康太。女子側がここね、みや、あおねとなっている。
ちなみに丁度昼時だったので、皆で分けて食べられるピザやポテト、それにドリンクバーを注文した。
「いやぁ、それにしても今年の夏休みは今までと違って楽しくなりそうだな」
「だねー。中学の時は、零がいなくて全然楽しくなかったし」
「だな。一週間ぐらいこっちに遊びに来てはいたが、やっぱ一週間じゃ足りないっていうか……」
引っ越してからは、長期休みじゃないとこっちには来れなかった。
電話なんかで連絡をとっていたが、今年からはそんなことをしなくてもいい。
加えて。
「だが、今年はずっと零も居るうえに、可愛い子が三人も!」
「……三人?」
康太の発言に、白峰先輩は首をかしげる。
「それって、僕もカウントされてる?」
「ふっ、当たり前じゃないですか」
ぐっと親指を立てキメ顔を向ける。
それには、先輩も苦笑いだ。
「康太の発言は置いておいて。どうする? 遊ぶと言ってもどこに行くかだ」
「やっぱ海か!」
「定番だな」
「プールも良いんじゃないですか? 最近、新しいレジャー施設ができたらしいですし」
「あー、そういえばそうだね。温水プールとか、ウォータースライダーとかあるみたいだし。私はそっちがいいのかにゃー」
確かに、海より色んな遊び場があるところの方が楽しそうではある。
移動距離的にも考えればプールだ。
「僕も、プールがいいかな」
「うーむ、プールかぁ……ここねちゃんはどうだ?」
「美味しいものがあるところがいい」
「もちろんどちらにも美味しいものはあります。えーっと、レジャー施設の方にはっと」
あおねがスマホでレジャー施設のことを調べる。
「ほほう。定番の焼きそばからカレーライス。他のも施設限定ものまで!」
「おー! 流れるプールか……俺、一度この流れに逆らって泳いでみたかったんだよな……」
康太も康太で新しくできたレジャー施設のことを調べ、海よりそっちの方に心が傾く。
「どうする? 海か? プールか?」
今のところみや、白峰先輩、あおねがプール。ここねは、どっちつかず。俺は……どっちかっていうとプールかな。
多数決だとすれば、プールなのだが。
「……よし。やっぱ俺もプールにするぜ!」
「決まりですね。とりあえず行く場所の一つは新しくできたレジャー施設っと」
さっそくあおねはメモ帳にさらさらと書き記していく。
「水場の次は山か?」
「あー、よくありますよねー。海か山かって」
「俺はどっちかっていうと……家だな」
「いや、二択だぞ」
康太はインドアなのだが、テンションが高くなると唐突にアウトドアになってしまう。
あおねと似ているが、楽しいことをしたい奴なんだ。
「だ、誰かの家でお泊まり会、とかはどうかな?」
と、白峰先輩の提案に俺達はおぉ、と声を揃えて漏らす。
「いい提案ですね。とはいえ、誰の家に泊まるか」
「俺のところは無理だな。さすがに六人は入りきらない」
「俺のところもちょっとなぁ……」
「じゃあ、この前のようにみや先輩のところとか?」
「よいよい。いつもで泊まりに来るが良いぞ」
「言い出しっぺの涼の家は?」
ここねの発言に、白峰先輩へ視線が集まる。
そういえば何度か先輩の家に遊びに言ったことがあったが、この辺りじゃかなりでかい家だったな。
普通に庭とかもあって、リビングなんか走り回れるほど広かった。
「えっと……家族に聞いてみるね」
「すみません」
それから、わいわいと話し合いは続き、夏休みの予定は決まっていく。
あまり長居するのも店の迷惑になるということで、一旦解散。
これからが楽しみだと思いながら帰宅する。
『プールにお泊まり会かぁ……いいなー』
『羨ましいなら、そろそろ出てきたらどうだ?』
『出たいのはやまやまなんだけど』
ずっと思っていたが、外に出られない理由があるのか? ただ単純に引きこもり体質なだけだって思っていたが。
『私が出ちゃったら、騒ぎになっちゃうから』
『騒ぎ? なんのことだ』
『ほら? 私ってば神様だし。神界でも三本の指に入るぐらいの美貌の持ち主なんだよ?』
……まあ、美人だってのはわかる。
この前出会ったセリルさんと比べても見劣りしない。むしろキュアレの方が格段に上かもな。
普通だったら、視線を釘付けにできる美貌の持ち主だろうが。
『ぷっ』
『なんで笑ったの!?』
俺にとってはもはやジャージが似合う残念美人という認識なので、どうにも……。
『悪い悪い。お前は凄い美人だ、うん』
『ぐぬぬ……絶対思ってないでしょ』
『そんなことないって。いやぁ、神級の美人と同居できて俺は幸せ者だなぁ』
『だったらもっと嬉しそうにしろー!!』
明日からは、こいつと居る時間もいつもより長くなる。
もしかしたら、これまで知れなかったキュアレの一面を見れるかもな。
「ただいまぁ」
「このー! 私は怒ったぞー!」
帰ると、さっきのことで怒りの感情を露にするキュアレがお出迎え。
「ほら、新作のデザート買ってきたぞ」
「わーい」
……相変わらずちょろいな。




