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第二十七話 前日の男子会

「でさ、姉さんが」

「はいはい。どうせ、またお姉ちゃんが俺の下着を買ってきたとかそういうのだろ?」

「なんで、わかるんだ?!」

「マジだったのかよ! てか、それ完全に母親の域だろ!?」


 かむらとの勝負を明日に控えた土曜日の昼時。

 俺は、また慶佑に呼び出され、康太と共に愚痴を聞いていた。ちなみに、集合場所は康太の自宅。

 愚痴を聞き始めてもう一時間は経つが、いまだに慶佑の愚痴は止まらない。

 

「マジなのか? それ」


 康太が、漫画を読みながら適当に言ったことが本当だった。

 俺が、そのことを問いかけると康太も漫画を読むのを止めて真面目に耳を傾けている。


「マジなんだよ……あれは、五日前。俺がいつも見たいに自室で勉強していた時、姉さんがいつも通り部屋に入ってきたんだ」

「パンツを持ってか?」


 康太が聞くと。

 ああ、と慶佑は短く答える。


「で? どんなパンツだったんだ」

「男の下着なんて微塵も興味ないけど、お前の姉さんのセンスがわかるかもだからな。俺にも聞かせろ!」

「そう思って穿いてきた」

「穿いてきたのかよ」


 いったい誰得なんだと言わんばかりに、慶佑は自分のズボンを下にずらし、姉である優菜さんが買ってきたというパンツを見せる。

 黄色いラインが入った黒いボクサーパンツだった。

 ……なんていうか、うん。


「案外普通だな」

「ああ、普通のボクサーパンツだな。けど、それをあの美人な優菜さんが買ったって言うだけで、捉え方は変わってくる」

「どう変わるって言うんだよ」


 ため息を漏らしながら、慶佑はズボンを直し、康太を見る。

 

「おそらく、優菜さんはちょっと大人な慶佑を見てみたいと思ったんだ。ほら、ボクサーパンツってなんかイケイケな奴とかが穿いてるイメージないか?」


 そうか? まあ確かに、イケメンとかが穿いているイメージはあるが……それといかにもヤンキーっぽい奴。

 

「だからなんだって言うんだよ」

「つまり、優菜さんは……」


 無駄に緊張感のある空気を作り、俺達の視線を集めさせる。

 が、そんな中で俺はコンソメ味のスナック菓子を食べ、コップに入ったコーラで喉を潤した。


「慶佑のもっこりを見たがっているという啓示を出しているんだ!!」

「……いや、なんでだよ」


 これには、慶佑同様俺も突っ込みたくなる。


「姉さんが、そんなのを見てどうするっていうんだよ」

「きゃっ! 弟の息子ってあんなに成長してるんだ……って思いたいんだと」

「お前さ。高校生になってから、ひどくなったな。元からひどかったけど」


 まあ、高校生になって結構すぐに童貞を捨てて、M属性に目覚めたからな。

 こいつは、俺達よりも先に進んでいるんだ。

 変な方向に。


「最近は、近所の兄ちゃんがプレイしてるエロゲーを横から観ることが多くなってな……」

「おい、高校生」


 と、俺は康太のカミングアウトに突っ込む。


「しかも、結構姉ものが多くて」

「おいこら。姉さんを狙ってるんじゃないだろうな?」


 さっきまで姉の愚痴を言っていた慶佑が一瞬にして目付きが変わる。それを見た康太は、にやりと笑みを浮かべた。


「ふん、本性を現したな! シスコン!!!」

「だ、誰がシスコンだ!! 純粋に家族の心配をしてるだけだろ!?」


 ……こういう男同士の時間も悪くない。

 最近は、キャラが濃い女子達と関わってきたせいもあって、余計にこの時間がある意味心地いい。

 

「どうせ、お前。姉さんを鬱陶しがってるように見えて、姉さんラブなんだろ!?」

「ち、ちげぇし!!」

「更に、姉の体をおかずにオナってる!!」

「勝手な妄想をするな!!」


 結構ヒートアップしてきたな。

 そろそろ止めるか。


「おい、康太。その辺にしておけって。想像だけで、そういうことを言うもんじゃないぞ」


 でもまあ、あってるんだけど。

 再会した時に見た時よりも、回数が確実に増えている。しかも、昨日夜遅くにもやっていたようだ。

 

「だってよぉ! あんなエロくて! 美人で! 弟ラブな姉が居るこいつが羨ましくてしょうがねぇんだ!!!」


 知ってはいたが、物凄い嫉妬である。

 涙まで流して……俺は、康太の肩に手をポンポンとタップする。


「泣くなって。お前だったら、きっといい出会いがある。慶佑もとりあえず落ち着こう。な?」

「あ、ああ」

「お前が、姉のことを大事に想ってることは理解したから」


 微笑みながら言うと、慶佑は反発せんと口を開くが、ぐっと言葉を飲み込み髪の毛を乱暴に掻く。

 

「……姉さんは、緩すぎるんだよ。昔からよく騙されやすくて、勘違いさせやすくて」


 今度は、愚痴というよりも純粋な心配。

 大切に想っているからこそ、愚痴が多くなってしまうのだろう。


「でも、優菜さんの周りにはいい人ばかりなんだろ?」

「そう、だけど。よくあるだろ? 外面はいい人だけど、中身はってやつ。通ってるのが女子大っていうのが、せめてもの救いだけどさ」


 けどさ、と慶佑は一度置き。


「男友達がいないってわけじゃないんだ。この前だって、高校時代の友達同士で集会があったそうだし」

「それは心配だな。よくあるパターンとしては、酔ったのを良いことにホテルに連れこんで」


 こいつは、落ち着いたのにこれか。近所にそういうものを持ってる仲良しが居るせいか変に知識を蓄えていく。

 俺もその人の影響で、多少の知識は得ている。

 今思えば、小学生に何を教えているんだと。当初は、へーこんなことがあるんだー程度にしか思わなかったが。


「それはないな。普通にバーボンをロックで飲んでも平気な顔してるぐらいには酒に強いから」

「うお、マジか。バーボンって結構アルコール度数高い方じゃなかったか? それをロックって」

「酒に強いって豪語してた女友達に引かれていたからな。自分からは飲まないから姉さん自身も驚いていたよ」

「す、すげぇ。あの優菜さんからは想像できない……!」


 よくあるパターンだ。

 普段食べない、飲まないものを実際摂取してみると意外といけるとか。全然平気だったとか。

 見た目からは予想がつかない。あんなにふわふわしてる人が、バーボンをロックで……物凄いギャップだな。


「ちなみに、炭酸が苦手なんだ」

「お、可愛い」


 こんな感じで、慶佑の姉トークをしばらく聞き、いいところで切り上げて、そこからはゲームをしながら馬鹿騒ぎをした。

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