第二十話 その身は
結局、キュアレは俺よりも先に入浴を済ませてしまう。
その間に、俺は着替えてから夕食の準備をする。
今日は、色々あったため簡単なもので妥協した。
単純に白米をケチャップで赤く染めさせ、それを卵で包む。
所謂オムライスというやつだ。
いつもは長く風呂に浸かっているキュアレだったが、今日に限っては早く出てくる。
どうやら俺に気をつかっているようだ。
だったら、俺を先に入れてくれと。
「ふう……」
風呂から上がったらすぐ作れるように準備をし、俺はキュアレと入れ替わるように風呂に浸かった。
今日はずいぶんと長く浸かっていた気がする。
やはり今日はいつもより違ったことが起こったため、体に疲労感があったのかもしれない。
「よし、できたー」
「……料理、できるんじゃんか」
風呂から上がると二人分のオムライスを作っていたエプロン姿のキュアレが居た。
「簡単なものしか無理ー」
「確かに、卵がぐちゃぐちゃだな」
ケチャップライスを包む卵。
半熟な感じなのと少し焦げた感じのもので分かれており、二つとも中身が見えるほどぐちゃぐちゃだ。
「見た目は言いっこなしなし。味は普通だと思うから」
けどまあ、こいつなりに俺のことを気にしてくれているということは十分に伝わった。
俺は、キュアレと共に不格好なオムライスを運び、スプーンでつつきながら今日のことを話し合う。
「キュアレ。お前はあいつのことを知っていたのか?」
「知らなかったな。でも、ああいう存在が居るってことはなんとなくだけど予想はできてたかな」
「あいつ、俺の生命力を吸った瞬間に苦しみだしたけど……」
牛乳をぐいっと飲み、あの時のことを思い出す。
「俺の体……どうなってるんだ?」
「それはたぶん」
と、スプーンを置き。
「主神様から頂いた力の影響かもね。能力を受け取った瞬間から、零の体に影響が出ていたんだよ。あっ、悪い方向にじゃないよ? これも主神様の優しさ」
「つまり、あいつは。【欲魔】は俺の生命力を吸った時に神の力で消滅した、てことか?」
「そんなところだと思う。あの悪魔は確かに強そうだったけど、神。それも主神様の力には敵わなかったってこと」
そういうことだったのか。確かに、あの苦しみ方は尋常ではないものだった。
やはり、神はとんでもない存在なんだな。しかも、それが主神。全ての神の頂点なんだからな。
……ん? 待てよ。
「俺、大丈夫なのか?」
悪い方向の影響はないとは言うが、このままいけば俺の体はどうなってしまうんだ?
ふと、そんなことを思いキュアレに問いかけた。
「大丈夫!」
「本当か?」
「神様を信じるのです」
信じろと言われても……。
「よほどのことがない限り、零が死ぬことはない! ……まあ、今回は今までにない事例だから百パーとは言えないけど」
「おいこら」
最後のは余計だ。
そんなことを言われると不安になってくるだろうが、たく。
「だ、だって! 主神様の介入に、神が主人公と同棲! たった二つのことだけど、今までにないほど規模が大きすぎるんだよ? こっちだって、何が起こるかわからないの! 不安なんだよー!!」
……キュアレはキュアレで色々と不安なんだろう。
いつもだらだらと過ごしているのは、それを紛らわすため。
だと思いたいが、普通に今の生活を楽しんでいるようにも見えてしまっている。
「あー、わかったわかった。とりあえず、俺の身の安全は高い確率で保証されているってことで良いんだな?」
「……うん」
「今後は、命を狙われる心配もしなくちゃならないか」
俺、このまま高校生活を満喫できるんだろうか? いや、まだ学生だからマシか。
これが社会人だったら、もっとやばかっただろう。
とはいえ、きついことにはかわらない。
なんかこう、俺を直接守ってくれる護衛みたいなのがいれば。
……護衛、か。




