プロローグ
新章開幕です。
ようやくレベル二になった。
それで何が変わったか。
ここ数日で、何度か試して大体把握した。
まず今まで行為をしたということしかわからなかったのが、よりわかりやすくなった。
どこで、誰と、いつやったのか。
行為ひとつひとつに、明確に表示されるようになった。ただそれは行為の名称に集中しないと表示されない。
ここは良いところだと思った。常時、そんな明確に表示なんてされていたら、情報過多で頭がパンクしていたところだ。
そして、次に個人が何をやっているのか。
これに関しては、ふわっとしている。
最初は、職業が表示されているのだと思っていたが、俺達のような学生は無職ということになる。
だが、しっかり学生と表示されていた。
とはいえ、これは中々良い変化だ。
見た目だけでは、どんなことをしている人なのかわからないことが多いからな。
もし、モデルのスカウトだのと話しかけてきた怪しい奴を見た時、表示されているものが違っていれば嘘だと見抜ける。
他にも色々と変化はあったのだが、この二つが大きなアドバンテージとなるだろう。
「なんか五月ってゴールデンウィークが終わったら、やることないよなぁ」
試しに康太を能力で見る。
そして、あれからずっと回数が増えていないSに意識を集中させると、そこから詳細が表示される。
どこで、誰と、いつしたのか。
ここで俺が知っていることと違ったら、どう反応すればいいのか心配だったが、どうやら間違いはなかったようだ。
「そうだねぇ、五月病とかが有名だけど、それもなんかなー」
次に、みやを確認する。
これも間違いはない。
みやにあるキス全てが、俺とやっていることになっている。
「六月もジューンブライドとか梅雨だとかってあるけど、学生にはあんまりなって感じだよな」
「梅雨は学生の敵だ! 雨続きだと出掛けるにも苦労するからな! 社会人だと車を使えば良いけどよ」
今後も、俺はテスターとして過ごしていく。
いつまでやるのかはわからないが。
でもなぁ……行為に関してがより明確な詳細が表示されるようになったことで、見なければよかったってことが次々に出てくるだろうな。
例えば、ラブラブなカップルを見てたら、彼女側に彼氏じゃない者の名前があり、かつ性行為をしているなんてことだってわかる。
おそらくだが、情報は新しいものが表示される。
ひとつの行為に二人以上の場合、縦に積み重なっていく。
……うん。これは例えじゃない。実は、先日見てしまったのだ。明らかにラブラブなカップルなのに、彼女側は彼氏以外と性行為をやってるという事実を。
「なんか今日も午後から雨がざーざー降るみたいですからなぁ」
「俺は置き傘があるからいつ雨が降ろうとも心配はないぜ!」
「わしも置き傘に加え、折り畳みもある! 抜かりはないぜ!」
次はレベル三だが。
今のままでも十分凄い変化だと思うが、レベル三はどうなるのか。
「あ、そういえばさ。あおちゃんが、友達紹介するって言ってたよね」
「ああ、そういえばそうだったな」
「え? 俺、初耳なんだけど」
他愛のない日常会話がみやの発言で切り替わる。
先日、あおねがずっと拒否ってた友達がようやく折れたんですよ! と連絡をしてきた。
そういえば、ずっとあおねには多くの友達が居るってことは知っていたが、紹介されたことはなかった。
みやは、何人かと会っているみたいだけど。
「私も会ったことがない子みたいだからね。今からテンションぐんぐんに上がってますぞ!!」
「あおねちゃんの友達ってことは、女子中学生か!? ……そういえば、彼女も女子中学生だったなぁ」
と、自分が童貞を捨てた時のことを思い出しているのか。
雨雲が漂う空を見上げながら小さく笑みを浮かべる。
「まさか、また会いたいとか思ってるのか?」
「馬鹿野郎。あの子との関係はもう終わったって言っただろ? 今頃彼女は、彼氏とよりを戻して仲睦まじくやってるさ」
そういえば、あおねと同級生だったな。
さすがに、その子を紹介することはないだろうけど……いったいどんな子なんだろうな。
あおねはみや以上に謎が多い。
特殊能力持ちかもしれないし、普通の学生感がないようにも見える。
元気がよく、気も利いて、行動力もある。
出会って一ヶ月以上は経つが、まだ全然知らないんだよな。




