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第三十一話 変わらない日常の中で

 七歳までの出暮みやは、本当に感情のない人形のような女の子だった。

 それは赤子の時からであり、産声どころか一切泣くこともなく、親は心配するほど。そのため周囲から気味悪がられ、親しい友という友は一人もいなかった。


 一緒に遊ぼうと言えば遊ぶが、顔に感情が出ていないため怖い、楽しそうじゃない、つまらないという理由で、どんどんみやの周囲からは同年代の子供達はいなくなっていった。


「うわ!? ど、どうしたんだ! 泥だらけじゃんか!」


 だがその時、唯一みやのことを気にかける同年代の子供が居た。

 それが幼馴染の明日部零だった。

 正義感が強く、子供なのにしっかりしており、最初こそ引き気味だったが、一向に離れる気配はない。

 それどころか、泥だらけのみやを見て心配している素振りを見せるほど気にかけている。


「泥団子合戦してた」

「ど、泥団子合戦?」


 雪合戦みたいなものだろうか? と思った零だったが。


「私が鬼で、それ以外の人は泥団子で攻撃するの」


 そのために泥だらけになったということらしい。

 だが、それだと。


「じゃあ、後でみやも泥団子を投げる側になったんだな」


 そういうことになると、ちゃんと遊んだことになる。

 しかし、みやの口から出てきた言葉は、零を唖然させるものだった。


「ううん。私がずっと鬼」

「そ、それっていじめじゃんか!」


 ただただみやに向けて泥団子を投げる。

 いじめ以外のなんだというのだと、零は怒りを露にして叫ぶ。


「いじめ?」

「そうだって! くそ! どいつらだ!」


 誰にやられたのかを聞く零だったが、みやは何もわかっていない様子で首をかしげる。


「なんでそんなこと聞くの?」

「なんでって……みやをいじめた奴らに注意するんだよ! いじめはよくないことだって!」


 零は、自分の服の袖で顔の泥を拭いながら言う。

 

「でも、私は全然気にしてないし。それになんで零は、怒ってるの?」

「父さんと母さんが言ってたんだ! いじめはよくない。いじめられている奴がいたら助けてやれって。頼れる男になるんだぞって」


 顔や腕などの泥を拭い終わった零は、みやの手を握り締め歩き出す。


「だから、なにかあったら俺を頼れよな!」

「……」



・・・・



「懐かしい夢だったな……」


 ゴールデンウィークが終わり、いつもの朝を迎えた。

 俺は、いつものように起き、朝食を食べ、アパートから出ていった。

 脳裏に浮かぶのは、昔のみや。

 

 先日聞いたあの声は昔の雰囲気があった。

 いや、昔の感情のないみやよりも人間味があるように聞こえた。

 となると、第二の人格は昔のみや? それとも今のみやが第二人格? 


「おはようございます!」

「ああ、おはよう。ゴールデンウィークは楽しんだか?」

「はい! いっぱい遊んで、いっぱい思い出を作りました!」


 信号待ちをしていると、いつも元気な挨拶をしてくれる少女が話しかけてきた。

 少し気分転換をしようと思ったのだが、最近は能力を使うことが多かったため自然と能力で少女を見てしまった。


「……そっか、よかったな」

「お兄さんは、楽しかったですか? ゴールデンウィーク」

「ま、まあな。それなりに楽しんだ、かな?」

「なんですかー、それぇ!」


 くすくすっと子供らしい笑みを浮かべる。

 だが、彼女はゴールデンウィークの間に大人になってしまったようだ。

 本当に、最近の小学生って進んでるなぁ……まだ十一歳なのに。


「よう! なーに惚けてるんだ?」


 大人の階段を上った小学生と別れると、つんつん頭な男が俺の肩に手を置いて話しかけてくる。

 

「いや、別に。今日からまた学校かぁって思ってただけだよ」

「もっと休みほしかったよなぁ。なんかあっという間だったからな。今回のゴールデンウィーク」


 康太としばらく他愛のない会話をしながら歩く。

 最終日には、一日中家でアニメ鑑賞をしていたようで、寝不足のようだ。


「やー! おはよう!! 今日から学校だけど、元気にいきましょうぞ!!」


 そして、みやも加わり三人仲良く学校へ。

 いつもと変わらない日常。

 だけど、そんな中で俺は、みやとどう接すれば良いのかずっと考えていた。


「いやぁ、にしても今回のゴールデンウィークは凄かったよなぁ。まさか二年の白峰先輩が女装男子だったとは」

「そうだねぇ。それと、零のお父さんとお母さんが突然来てさー」


 ゴールデンウィークの期間中で、俺は今まで知らなかったみやのことを知った。

 今も尚、もやもやしたものが消えない。

 いっそのことストレートに聞いてしまおうか? お前、二重人格なのかって。


「おーい、おーいってば!」

「ん? あ、ああ。どうしたみや」

「どうしたじゃないって。今日、お弁当作ってきたから食べてくれー!! ってあっぴるしてたのにさ」


 と、バックから水色の布で包まれた弁当箱を取り出すみや。

 

「そ、そうか。これは、昼が楽しみだな」

「お、俺も食べて良いか!」

「だめじゃ」

「おかずひとつだけでもいいからー!!」

「仕方ないのぉ。ひとつだけじゃぞ?」

「あざーす!!」


 まだ名前がぶれている。

 本当のお前は……どっちなんだ?

次回辺りから大きく進展! する予定。

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― 新着の感想 ―
[一言] ふふ・・・事案、ですかね・・・?
[一言] 小学生が!?
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