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第三話 テラスで三者会談

「ただいまぁ」


 少し疲れた様子で、涼は帰宅する。

 靴を丁寧に脱ぎ、揃える。

 そして、スリッパを履いたところで、リビングから妹の楓が姿を現す。


「おかえり、兄さん。なんだか沈んでるね」


 一瞬にして、今の体調を見抜いたことに涼は苦笑する。


「あはは。ちょっと今回の試験に自信がなくて」

「そうなの? 兄さんにしては珍しいね」


 涼はいつも万全を期して、テストに挑み、満足の行く点数をとっている。そんな涼が、心配することは珍しいのだ。

 

「今年は、いっぱい遊んだからね。まあ、そういう時もあるんじゃない? それに兄さんの成績だったら、少し落ちたぐらい大丈夫じゃない?」

「そう、だと良いけど」

「そうだよ。ところで、兄さん。聞きたいことがあるんだけど」


 スマートフォンを操作し、とある画像を涼に見える楓。

 

「これ、零くん?」


 写っていたのは、誕生日会の時の零だった。

 丁度フライドチキンを食べようとしている姿をこっそり撮っていたようだ。


「うん。なんだか、この人から熱い視線を感じちゃったんだけど。もしかしてこの人」


 いったい何を言うつもりなんだ? と身構える涼。

 少し溜めてから、楓の口から出てきた言葉は。


「ロリコンだったりしない?」


 涼にとっては予想だにしないものだった。


「そ、そんなことないと思うよ? 普通に楓が変なことを言うから見てただけじゃないの?」


 零がそんな人ではないと信じている涼は、笑顔で返答する。

 楓は、そうなんだ、と静かに呟きながら零の写真をじっと見詰める。


「じゃあ、ホモだったりしない? もしくは変わった性癖を持ってるとか」

「さ、さあ。そこまではちょっと。というか、どうしたの? 急に零くんのこと聞いてきて」


 好奇心旺盛だということを知っている涼は、今度は零に興味を示したのかと思いながら楓に問いかける。


「うーん。なんていうのかな……面白い人だなぁって。それに、この人凄いモテるでしょ? 誕生日会の時だって、あんな美の化身軍団を連れてきてたし」

「確かに、零くんの周りには自然と人が集まるイメージがあるけど……」


 それも個性的な者達ばかり。

 涼も、押し潰されないようになんとか接しているが、誰もかれも個性が強すぎて、戸惑ってしまうのだ。


「あれは、完全にラブコメ主人公だよ」

「ら、ラブコメって」


 いつもながら楓は、どこか別の何かが見えているんじゃないかと思うことを言うため、昔から涼はたじたじだ。


「まあ、退屈しなさそうだよね。良い友達を持ったよ、兄さん」


 そう言って楓は、階段を上っていった。



・・・・



「で、これは何の集まりなんですか?」

「さて、何の集まりだろうね」

「零様。今日は、裏の者達について意見を言い合うための会談ですよ。しかも、東と西の代表同士が集まるという大変珍しいもの」


 俺は、霧一さんに呼び出されてとある喫茶店のテラス席に座っている。

 今日は、心地よい気候で、まさにお茶会日和と言ったところか。

 なにをするのかまったく聞かされていなかった俺は、セリルさんも呼び出されていたと聞いてますます驚いた。

 

「それはわかったんですが、俺ってどういう立ち位置なんですか?」


 二人は東と西の退魔士の代表だってことは理解した。

 だが、俺は? 


「君は、第三勢力と言ったところかな。最近、君の活躍は東にも西にも轟いている。是非、この会談に参加してほしかったんだ」


 だ、第三勢力か。

 俺が特になにをしたってことはないと思うんだが。なんていうか、あっちから来て、それをどうにかしたってだけで。

 とはいえ、完全に裏に関わっているからまったくの無関係ってことはないんだよな。


「私も、零様がいなければこの会談は成立しないと思っております。というか、零様がいないのなら私もここには来ません。絶対」

「というわけだ。西との関係を良好にしたいと思っている東としては、君が必要不可欠なんだ」


 まあ、こっちとしても世界を護るためってことなら。


「そういうことでしたら、俺も参加します」

「ありがとう。では、さっそくだが最近の【欲魔】達の動きについてだが、ここに昔の行動パターンをまとめた資料と現在のものがある」


 あ、これはマジのマジだ。

 俺は、霧一さんがテーブルに置く資料を手に取り眉をひそめる。


「ところで、こんな目立つところで堂々と会談してていいんですか?」


 今さらだけど。

 周囲には、他にも客が居る。こんなところで、裏の話をしてたら絶対怪しまれる。


「ああ、心配はいらないよ。なにせここは僕達が経営している喫茶店だからね」

「あ、そうなんですね」

「それに、今ここに居るのは全員裏を知ってる者達ばかりだ。会談のためにセッティングしたのさ」


 霧一さんがそう言うと、他のテーブルに座っていた客達がにこやかな笑顔を見せる。

 当然店員達も。


「本来なら、誰も近寄らないような密室でやるべきなんだろうが。今日は天気が良いからね。外で優雅にお茶をたしなみながら……ね?」

「……そういうことでしたら」

「理解してくれたようだね。じゃあ、続けるよ。資料を見比べると今の行動パターンは明らかに」


 こうして、東と西の退魔士に俺を加えた会談が始まった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 楓ちゃんは何か警戒してるのかな?
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