049 方針
改めて話をすることにした。
涙目でうずくまるジュリオを前に儂とシャルーン見合う。
「男の子にしては顔が綺麗すぎると思っていたけど本当に偽ってたなんてね」
「やはりバレてはおらんかったのだな」
「彼……彼女以外にも中性的な子はいるし、無理矢理暴くわけにはいかないもの」
それを見破った儂の眼はさすがというべき所じゃの。
「女だとばれたら大問題になったりするのか?」
「退学にはなるでしょうね。ただバレずに卒業できたら問題なしとなるわ。かつて卒業してから女だったことを公表した人がいて、お咎めはなかったと聞いているわ」
過去に同じことをした人がいるのか。
それはまた豪胆というか。隠し通せたことが凄いな。
「う、うん……、だから僕も卒業までは隠し通したいんだ」
ジュリオのまっすぐな視線にシャルーンは頷く。
シャルーンはジュリオの手を掴み、絡むように体を密着させる。
「男子からのアプローチにうんざりしてたし、今からお付き合いとかしちゃう?」
「ひ、姫殿下!?」
「ふふっ、冗談よ。でも私はすぐにでも嘘彼氏が欲しいのよね。あなたの顔、すごく綺麗だし、顔に引かれて付き合ってみたって方向性にすれば」
「は、話が急すぎて……さすがに困ります!」
「それもそうね。さすがにお付き合いは決闘会に優勝してからの方がいいかしら」
シャルーンはジュリオから離れ、儂の方を見る。
「よくジュリオが女の子って分かったわね。着替えでも覗いたの?」
「うっ」
経緯を思い出し、言い淀んでいると察したのかジュリオがはっきりとした口調で声を出した。
「クロスがいきなり僕を女だろって言って、ベッドに押し倒して胸を触ってきたんだ。そのまま服もはぎ散られて、あられもない姿にされて」
「……あなたそれはちょっと」
「間違ってはおらんが弁明させてはもらえんか!」
「間違ってないんだ」
シャルーンが幻滅したとも言わんばかりの眼をする。
女なのに男と偽っておったんじゃから仕方ないだろう。
「逆に男が女と偽っておっても同じことをしたわい!」
「そういう時はどうやって判別するのよ」
「女に胸がある分。男には陰茎があるからな。掴んで上下に○いてやれば分かるじゃろ」
「そ、それ以上は言わなくていいわよ!」
「うぅ……、男の子の世界怖いよぉ」
ジュリオは股間を押さえ、涙目で訴える。
うーむ、ジェネレーションギャップという奴か。このあたり儂ももうちょっと学ばないといかんのかもしれん。
「あの……クロス、姫殿下」
「シャルーンでいいわよ。同じクラスだし、同じ秘密を共有した中だから」
「わ、分かりました。ごほん、分かったよシャルーン、これでいいかな」
「うん、宜しくねジュリオ。末長く仲良くしましょうね」
話が繋がるようになって良かった。これで儂が決闘会に出ることは無くなったといってもいい。
しかしジュリオは困った顔をしていた。
「何か決闘会に出て、優勝することが大前提なんだけど、僕は強さに自信がないというか……。決闘会まで2週間しかないんだよ」
「クロス、そのあたりはちゃんと考えてるの?」
「抜かりはない。儂を信じろ」
「じゃあ大丈夫みたい。良かったわね」
「そんな軽く信じていいの!?」
まぁジュリオの育成については2パターン考えてある。
問題なかろう。
「明日から薬担当も来るし話を通しておこう」
「薬担当!? なんか凄く嫌な予感がするんだけど……」
「ふふっ、今日は三人で晩ごはんを食べましょうか。カフェを案内してあげるわ」
「……大丈夫なのかなぁ」
今夜はシャルーンお勧めの学園内の食堂で夕食を取ることになった。
さすが王族や貴族が通う学校の食堂。かなりおしゃれの様式となっており、居心地が悪かったが飯の美味さが抜群じゃった。
社長や里のみんなに食べさせてあげたい味じゃったな。
◇◇◇
王国解放軍【エンティス】
それはフィラフィス王国内で活動する過激派のテロ組織である。
首領であるイワフルを筆頭にかつて王国に滅ぼされた国ドルフィン自治区の独立を目指し、危険な活動を繰り返した結果王国の重要警戒対象となっている。
王国の監視の目をくぐって今日も無数にある拠点な中で作戦会議を行っている。
エンティスの首領イワフルと数人の幹部は状況を把握しあった。
「さて、準備は整いつつある。」
王国を狙う革命軍は数多い。
しかしエンティスが重要警戒対象になったのは首領がイワフルに変わってからだ。
鋭い感覚と知性に優れ、王国を手玉に取ってきた彼の手腕による所が大きい。
「次の狙いはどうするんです? 何個か候補があったと思いますが」
幹部の質問にイワフルはにやりと笑みを浮かべた。
「ダミーも含めて狙いは分散させてるが、俺達が本気だってことを王国の奴らに知らしめる必要がある」
幹部達がざわつき、各々見合う。
「王国の未来を潰すか」
「そうなると……」
「ああ、王立学園しかねぇなぁ」
危険な組織の魔の手が少しずつ迫っていた。





