036 結社壊滅編~侵入~
「小僧の財布から抜き取るわけにはいかんしな……」
料金の支払いというのはやはり相互の同意を持って行われる必要がある。
小僧は銃弾を受けて気を失ってしまった。
ならば……。
「おぬし達、この小僧の雇い主……いや雇い主の会社の社員じゃな。依頼人の車券代と郵送料を代わりに払ってもらうぞ」
二人の猟兵はお互いを見合い、にやり笑い、儂に向かって導力銃を向ける。
「死ね」
ぱぱぱぱっと魔力弾を発射される。
儂も若者と同じように倒される……はずもない。
当たり前じゃが若返って動体視力も飛躍的によくなり、反応関係は200歳時代よりも俊敏になっているように思える。
こういった銃弾系は正直止まってみえるほどの感覚で刀で弾くのも容易と思える。
敵の銃弾を一本の刀で全て弾き、一気に肉薄。
猟兵の1人の体を斬り裂く。
「安心せい。儂ほどの熟練者になると切らずに斬ることができる」
普通は剣で斬ったら血を吹き出し死んでしまうが、儂の斬撃は人を切らずにダメージだけを与えることができる。
どんなに激しく斬っても死ぬことはない。
未来ある若者に対して殺生はしないと決めているからな。
ただ痛みは十二分にあるし、死なないだけどで大けがはするし、正直死んだ方がマシと思うほどの痛みだったりする。
「なんなんだ、おまえは!」
至近距離で無数の銃弾をぶち込んで来るが、問題なく弾き返す。
儂の黒太刀は玉鋼にオリハルコン、そして何十年に少量しか獲れないヒヒイロカネを混ぜ合わせて打っているため防御性能も非常に高い。
刃こぼれなどせんぞ。儂の鍛冶技術も200年の経験よ。
もう一人の猟兵も乱射してくるのでつい斬り裂いてしまった。
「しまった。つい、普通に斬って気を失わせてしまった」
これでは金を回収できないじゃないか。
仕方ない、施設の中にいる奴らから回収させてもらうことにしよう。どうせ同じ会社の奴らがおるんじゃろうし。
猟兵は儂が斬ったから問題ないとして、4人の若者はこのまま放置しては命に関わる。
無限収納バッグに納めたヒーリングサルブを使用し、若者の傷を癒やした。
導力銃は弾が体内に残らない魔法弾で良かった。
さて行くとするか。
施設の入口はシャッターで固く閉ざされているが。
「フン!」
太刀を振れば問題なく斬り裂くことができる。
儂の持つもう一本の太刀は錬金術製であり、妹のルーナが作製した錬金術で作られた太刀である。
黒太刀よりも威力が下がるが錬金術で作られたせいか魔力の伝達に優れており、非物質系の敵を倒すのに優れている。
機械式の太刀ということでまだ完全に慣れてはいないが、時代の先進化でこっちが主流になるのかもしれないな。
小太刀はあくまで予備。なので基本三本の刀を持ち歩いておる。
「な、なんだっ! 敵襲か」
「運び屋だが代わりに代金を!」
「王国騎士団が攻めてきたぞ! 全員戦闘配備につけ、機械人形や猟犬も出せ!」
「だから運び屋だというのに」
問答無用で赤色の鎧を来た猟兵達が向かってくる。先ほどの黒の猟兵とは違うようだ。
銃を持ったり、大剣を持ったり、搦め手なども使用してくるが。
「猟兵団など過去に数百は潰してきたからのう。手口など知り尽くしておるわ」
「ぐわああああっ!」
「ぎゃああああっ!」
雑魚が100人、200人いようと相手にならぬ。
儂の相手になるはずもない。
「お、おい! おまえ達は世界で屈指の猟兵団なんだろ! 何をやってるんだ」
「うるせぇ、相手がおかしいんだよ!」
赤の鎧を来た猟兵に黒の鎧を来た猟兵がいる。
赤は黒に雇われているってところか。上下関係って感じではなさそうだ。
「全員で囲め、相手は一人だぞ!」
「何て動きだ。まったく見えねぇっ!」
「なんで刀振ってるだけなのに後ろのやつが吹き飛ばされるんだっ!」
剣を突き出す空圧で弾を撃ち出して遠距離攻撃としてぶっ放す。
視認しづらいから避けるのは至難の業だ。
「がるるるるるるうっ」
ほう、調教された猟用魔獣か。
猟兵団がよく使っており犬だったり鳥だったりその猟兵団の特色による。
「ま、変わらぬがな。散れ」
「きゃうん!」
今度はどしんと音がして、前を向くと巨大な機械人形がこちらに向けて砲を向けていた。
機械人形まで導入しているとはどんな会社だ。
猟兵団も抱えているみたいだし、軍事会社じゃろうか。
機械人形は別の世界で何度か見たことがあるが、この世で見ることはなかった。時代が追いついてきたということか。
実弾、魔法弾をこめて撃ち込んでくるが攻撃の速度、威力は人が出せる領域を超えていない。
近づき、刀を振るえば簡単に斬り裂くことができる。コスト削減のために防御は捨てているという印象。
10頭身ほどの巨大機械人形が大型の剣を持って出てきた。
脚部のバーニアを吹かせて、力任せに大型剣を振ってくる。
「これも、大したことないがな」
片手でそれを受け止める。
やはり機械人形など力は強くても技術はさほどでもないから弱いな。
ずばっと大剣を真っ二つに斬り裂き、そのまま跳躍して真ん中から機械人形を断つ。
「なんで機械人形の攻撃を受け止められるんだよ!」
「団長を呼べ! 俺達じゃ相手にならねぇ!」
機械人形が数十秒でスクラップになったのを見て、残った傭兵が後ろに下がっていく。
これはもう業務妨害だろう。慰謝料と迷惑料を貰わねばならん。
出入り禁止……じゃない配送屋の利用禁止措置をしても良いだろう。
施設の中は機械仕掛けになっており、外見の廃墟とは思えないくらい、最新のものが使われている。
軍事施設、いや実験施設なのかもしれない。
そのあたりは儂が調べることではない。運び屋の儂のやることは料金の徴収と警告のみよ。
さぁ……奥へ進もうか。
金を回収するために!





