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異世界を中国拳法でぶん殴る!  作者: 犬童 貞之助
第二章 工業都市ボルドー
53/318

2-29 「血風」と「征服者」

 冒険者組合ボルドー支部、地下訓練場。


 その名の通り建物の地下にあるこの訓練施設は、様々な設備を備える。


 全面石張りの大訓練場や個人用の修練室、休憩室に医務室、果ては武器防具修繕用の簡易工房など。およそ戦闘訓練を行う際に必要なものが全て揃っているのだ。


 その中の一つ、大訓練場へロウたちはやってきた。やってきたのだが──。


「──お二人とも、凄く注目されてますね」


「野次馬がついちまったな。隠すもんでもないが」

「……はぁ」


(この分だと派手な魔法は出来そうにないな……)


 ロウはぐるりと周囲を見回しながら思案する。視線の先には野次馬、もとい冒険者たちが壁際でひしめいていた。


 それは孤高の麗人(れいじん)であるレルミナを隠れて(した)う者たちであったり。


 あるいは厳つい容姿からは考えられないほど面倒見の良いヴィクターを兄貴と(うやま)う者たちであったり。


 はたまた、異国風の雰囲気や妖しげな色気を纏う褐色少年とお近づきになりたい者たちであったり。


 お目当てとなる人物は異なっていたが、集まった目的は共通していた。


 すなわち、これから行われるであろう訓練の一部始終を目に焼き付けること、これである。


 本来ならば冒険者同士なぞ気心の知れた相手以外には不愛想なものだが、この場にいる者たちはその一致した目的により奇妙な一体感のようなものが生まれていた。


 そのギャラリーたちの一種異様な高揚感のおかげで、大人数の視線に曝されながらもロウたちの準備はつつがなく進行していく。


「ま、邪魔されるんでなけりゃ何でもいいか。じゃあ坊主、まずは俺と模擬戦と行こうか」


「ええっと、その前に。ちょっと相談というか提案があるのですが、いいですか?」

「うん? どうかした?」

「あー、壁や天井の強度の心配か? ここの訓練場は高位の物理障壁魔術で守られてるから、あの馬鹿げたゴーレムでも問題ないぜ」


「おお、それは良いことを聞きました。と、そうじゃなくて。実はこの後、人を迎えに行く予定が入ってまして。今回の模擬戦の目的が互いの実力を知るということなら、いっそ乱戦にして三人で殴り合い……もとい模擬戦としてもらえたら、時間の短縮にもなって良いかなと」


 ロウがそう提案すると周囲の観客たちに波打つ様などよめきが起こった。


 当然であろう。一部にはこの少年の異常な域にある強さは知られているが、大部分は奇妙な精霊使いの少年程度の認識なのだ。


 片やレルミナは、ボルドーで魔物被害が増えだすと毎日のように被害の多い森へと出向き、魔物たちを狩り続けている恐るべき冒険者である。


 その凄絶たる戦いぶりや、血を過剰に吸ったことでむせ返る様な臭いを放つようになった彼女愛用の武器から、「血風(けっぷう)」とまで呼ばれるようになっている強者なのだ。


 もう一方のヴィクターはといえば、ボルドーで最も有名で、加えて評判も良く、そして何より強い冒険者のパーティー「サラマンドラ」のリーダー。彼を軽んずるものなどこの場に居ようはずがない。


 そんな二人を相手に「乱戦をしよう」などと精霊使いが言ったのなら、それはもはや自殺志願者なのではないかと疑われて(しか)るべきだ。


 ロウは知らぬことだが、精霊使いは精霊魔法を放つ際、魔力や思念を精霊に伝えるため集中する必要があるというのが一般の認識である。接近戦闘では役に立たないというのが常識なのだ。


 故に、集まっているギャラリーは一様に少年へと心配そうなまなざしを向けている。だが、当人は関節の調子を確かめたり伸びをしながらも、ケロリとした表情で暢気なものである。


「フッ、クククッ。そういえば坊主は、精霊魔法だけじゃなく力の方も尋常じゃなかったな? いいぜ、面白い。『血風』もいいよな?」

「構わないよ。それとヴィクター、次私をその名で呼んだら、刈り飛ばす」


(レルミナさんこわ~。ディエラと似てるのは見かけだけだな……)

(クックック。ようやく俺の時代がきたか)

(むぅ……ロウ、私も準備は出来ているのです)


(模擬戦でお前らを使うわけが無いだろうがッ!)


 柔軟を終えたロウは、曲刀から刃や先端がつぶされた金属製の模擬剣へと持ち替える。


 チラリと様子を(うかが)えば、ヴィクターは子供の背丈ほどある円形の大盾と模擬剣、レルミナはロウと同じく模擬剣のみというスタイルのようだ。


(レルミナさんの戦い方は何となく想像がつくけど、ヴィクターはどんな感じなんだろうな? あの大盾を構えられて突進されたら、中々厄介そうだけど)


 ロウは分析しつつ訓練場の中心から少々離れた位置に陣を取る。魔力が漏れ出ぬ範囲で最大限に身体強化を行い、開始の声を静かに待つ。


「それじゃあルールを決めるか。魔術あり、精霊魔法あり、寸止めなしのぶっ叩きあり。全員身体強化してるし死にはせんだろ。異論は?」

「問題ない」

「大丈夫です。ですけど、それだけだと淡泊(たんぱく)なので、最初にぶっ倒れた人に飯を(おご)ってもらうなんてのはどうですか?」


「クククッ、いいのか坊主? ちゃんと金持ってるんだろうな」

「……問題ない」

「バッチリ持ってるので大丈夫ですよ。実は昼飯食べてなくてお腹減ってるんですよね」

「叩きのめされたときの言い訳にすんじゃねーぞ? ……お、ハーリン、丁度いいところに」


 ヴィクターと同じく燃える様な赤色を短く切り揃えた男性が青年に呼ばれ、ロウを心配そうに眺めながらも場の中央、三人の中心へとやってきた。


「審判よろしく頼むぜ。致命傷の二歩手前か意識が無くなるまでだ。模擬戦とはいえ簡単に止める必要はない」

「……今後に支障が出るような傷は避けろよ?」

「貴重な戦力だからな、当然だ」


「それでは審判を務めさせていただく。ヴィクターが言ったが、模擬戦とはいえ実戦形式で寸止めすらない。危険とこちらが判断したら素直に従って欲しい」


 三者三様に頷き、構える。正眼の構えをとる者、脇を締め腰を沈め力を溜める者、風に揺れる柳の様に備える者。


 ヴィクターとレルミナの身体から溢れだす魔力に圧され、周囲で見守る者たちの一人が、ごくりと生唾を嚥下(えんか)した時──。


「始めッ!」


 ──戦いの幕は切って落とされた。


◇◆◇◆


「──っ!」


 ハーリンの合図と同時に動くはレルミナ。振り子のように揺らいだかと思えば、次の瞬間その姿が(かすみ)の様に掻き消える!


(──ごめんねロウ。私、今手持ちのお金が少ないんだ。昼ご飯は君に奢ってもらう!)


 年下の少年になんとしても奢らせるという、微妙にさもしい意気込みとは裏腹に、彼女は雷霆(らいてい)さながらにロウへと接近。


 勢いそのまま疾雷の如く模擬剣を走らせ、ロウの腕を模擬剣で打ち据える──ことは出来なかった。


(──早いが、雑だな)


 稲妻のように接近するレルミナを一瞥(いちべつ)、狙いと軌道を読んだロウは正眼の構えから素早く腕を引いて小手打ちを回避。躱しざまに急迫ッ!


「っ!?」

()ッ!」


 少年は踏み込んだ勢いのまま模擬剣を持った腕を引き、震脚。からの逆手で掌底。

 大質量の物体同士が衝突したかのような(にぶ)い音が、訓練場に鳴り響く。


「「──ッ!?」」


 それは明らかに人体とは異なる衝突音。


 そう、ロウの掌底──八極拳(はっきょくけん)金剛八式(こんごうはっしき)川掌(せんしょう)が当たったのは、レルミナではなく彼女を背後から狙っていた円の大盾。すなわちヴィクターだったのだ。


 予期せぬ衝突だっただけに、互いの衝撃を相殺しきれず両者共に体勢を崩してしまう。


((重ッ!? 俺のバッシュ/川掌と同程度か!?))


 全力の一撃を叩き込んだにもかかわらず、互角。

 両者のけ反りながらも、互いが互いの力に戦慄する。


 他方、掌底と大盾の両方を風に吹かれた落葉のように躱したレルミナは、舞い踊るように回転蹴り。


 予期せぬ事態に体勢を崩した両者を、問答無用と蹴り飛ばす!


「隙、有りっ!」


「ふごッ!」「ぐッ」


 (むち)のようにしなる蹴りは体勢が崩れている二人に見事直撃。

 ギャラリーの近くまで吹っ飛ばされ地を転がるロウ。地べたに大の字となった少年の表情は、しかしどこか嬉し気だ。


(……身体から漏れ出ぬようにしているとはいえ、およそ人間離れした俺の身体強化についてこれる奴らがいるとはなあ。流石は戦地の冒険者……燃えてくるね)


 三日月の様に口の端を吊り上げたロウはゆらりと立ち上がる。


 審判のハーリンが少年の下へと近寄ったが、その表情を見て続行可能と判断し、何も言わずに戦闘を続けている残りの二人へと目を向ける。


「中々、しぶとい、ねっ!」

「俺を誰だと、思ってんだ?」


 ロウを吹き飛ばしたレルミナは、蹴撃に踏みとどまったヴィクターへと更なる追撃猛攻を加える真っ最中。


 しかしヴィクターは大盾と剣を巧みに操ることで、彼女の繰り出す疾風怒濤(しっぷうどとう)の連撃を弾き逸らし打ち落とす。それどころか、体勢を整え打ち返し切り返す始末である。


 真っ向勝負の斬り合いとなれば、如何なる相手であろうとも彼の優位は(くつがえ)らない。


 都市最強の一角とは、そういうものだ。


「ハッ! 息が上がってきたんじゃねえか? 『血風(けっぷう)』!」

「その名で──っ!?」


 軽口を叩く相手に言葉と刃を返そうとした瞬間、身の毛のよだつ悪寒(おかん)


 数多(あまた)の戦闘経験からくる直感に従ったレルミナは即座に攻撃を中断。突き出された大盾にしたたか打ちのめされながらも、がむしゃらに身を引きその場を退避する。


「おいおい、逃げ──ッ!」

「──れぇいッ!」


 瞬息(しゅんそく)の間を置き、大気をつんざく衝突音!


 レルミナの胴体があった位置へ気配の一切を遮断したロウの胴薙ぎが一閃し、今度は剣と大盾とが火花を散らす!


「ふんッ!」

「ぐおぉッ!?」


 が、結果までも焼き直しとはいかない。


 万全を期していたロウは短い呼気と共に小指を引くように絞り──ヴィクターを大盾ごと吹き飛ばす。


 支点力点作用点を余すところなく使うてこの原理と、人外たる魔神の膂力(りょりょく)。倍以上の体格差・得物の差があろうとも、少年はそれを(くつがえ)す。


「「「おおぉぉ!?」」」


 それを見たギャラリーは大いに沸く。


 体格、体重、武器の重量。どれ一つとっても褐色少年が勝る要素はないにもかかわらず、大木を根ごと引き抜くかのような剛撃でもって、ボルドーで最強の一角にある男を吹き飛ばしたのだ。これで熱くならずになんとする。


「野郎、なんつー馬鹿力だ」「……!」


 一方で、対戦相手たちにとっては(たま)ったものではない。


 並外れ……否、常識外れの精霊使いであるうえに、近接戦闘技術も自分たちと同等かそれ以上。手強い相手などという表現には収まらない完全なる脅威だ。もはや手の内を隠す余裕などないと、二人は同時に手札を切る。


「──ハッ! 少し本気を出していくぜロウ! 死んでくれるなよ?」


 宣言と共にヴィクターの持つ剣や大盾が赤熱したかと思えば、その現象が燃え広がるように伝播していく。彼の髪が、鎧が、衣服が、皮膚が、熾火(おきび)の様に赤く輝き火の粉を散らす。


 その様は人ならぬ炎の化身。彼自身が編み出したオリジナルの魔術「纏火(まといび)」を使ったその姿で、火の上位精霊に匹敵するような熱波と存在感を周囲に叩きつける。


「こっちも全力で行くよ、ロウ」


 対するレルミナの変化は小さい。


 彼女を中心に怖気立つ様な生ぬるい風が吹き、朽葉色(くちばいろ)の長髪が生き物のように逆立ちうねるが、それだけだ。


 にもかかわらず、見るものに恐怖や畏れを抱かせるのは、彼女から染み出す殺気が尋常なものではないからか。あるいは本能的に、ただ風が吹き出しているだけではないと感じ取るからか。


(どっちも本気になってくれたか? さてさて、魔法を使わずにどこまでやれるか……)


 ロウは身体強化度合いを現状維持。同格の相手に対し、剣術体術のみでどれほど通用するかを計るため、集中力を高め再び正眼にて待ち構える。


「「「……」」」


 開始時同様、睨み合う三人。異なるは熱風吹きすさび濃厚な血の匂いが立ち込めだした点。


 観衆の中には高まった威圧感にあてられ、ヴィクターの魔術の影響で炉の中のような熱気(たぎ)る空間となっているにもかかわらず、震え始めた者もいる。


 そんな中、観衆の一人が極度の緊張からか、腰が抜けたように倒れ込み──物音が響いたことで状況が動く!


「ッ!」


 地面が炸裂したかのような踏み込みでロウへ迫るは、大盾を前面に構えたヴィクター。


 灼熱を自在に操る彼の踏み込みは、レルミナが最初に見せた神速の奇襲にも匹敵する尋常ならざる疾さ。彼女とは違い(ほむら)を纏い大質量をもっての急接近であるため、生半可な対応は許されない。


(──レルミナさんの姿が見えない。完全に俺を狙い撃ちパターンだな。趣旨(しゅし)忘れてない? イジメですか?)


 眼球を素早く走らせ周囲を目線だけで観察したロウは、心の内で悪態をつきつつ応戦。生半可ではない一撃をもってヴィクターの突進を迎え撃つ!


「──䠞啊(せいあ)ッ!」

「くッ!?」


 逆足側から弧を描くような独特の動きで繰り出されるは、上段内回し蹴り──陳式(ちんしき)太極拳(たいきょくけん)小架式(しょうかしき)旋風脚(せんぷうきゃく)


 全身の捻れをふんだんに使った右の回し蹴りは、存分に加速して衝突。爆発音にも似た轟音を響かせて、大量の火の粉を周囲に撒き散らしながらも灼熱の突進を食い止めた。


 直後ッ!

 舞い散る火の粉を裂いて出るレルミナが、右脚を振り抜き背中を晒したロウを狩らんと急襲を仕掛ける!


「獲っ──」


(──レルミナさん、実はこれ、連続蹴りなんスよ)


 犬歯を剥き出しにし声を上げるレルミナに対し、微妙な罪悪感を覚えるロウ。


 そのまま振り抜いた蹴り足を踏み込んで身体を反り上げ、少年は逆足の蹴りに移行。身を反転させながら、渾身の回し蹴りを叩き込んだ。


「──れぇいッ!」


「だっ、はっ!?」


 空気が爆ぜるような音、そして十分な手応えと共に、ロウはレルミナを壁面まで蹴り飛ばす。


 ヴィクターの動向を確認すべく再度身を(ひるがえ)した、ところで──。


「ぶべッ!?」


 文字通りの出鼻を(くじ)くシールドバッシュ!


 赤熱した大盾の一撃により大きく体勢を崩された少年は、間髪を入れずに打ち込まれた追撃を、模擬剣にて辛うじて受ける。


「チッ」

「中々、えぐいことしますねッ!」


 なおも軽く視界が(かす)むロウは距離を取ろうと後退。しかしそれを、ヴィクターは赤熱する盾で(ふさ)ぎ煮え滾る剣で妨げる。獲物を追い詰めるが如き執拗(しつよう)さだ。


「クッハハハッ! 斬り合いは苦手か? こんなもんじゃねえよな!」

「ぐぅ……」


 魔力を込めた模擬剣でこれに応じる少年だが、虚実混交(きょじつこんこう)たる剣術盾技の前では戦闘経験の浅さが露呈し、見る見るうちに追い込まれていく。


(クソッ、熱ッ。流石、強えな。盾が崩せないと、剣と熱とで追い詰められる一方だ。崩せるような溜めなんぞ即座に潰されるし、手詰まりか。……いや、捨て身でいけば──)


 圧倒的な技量差を前にじり貧だと意を決したロウは、身一つで紅蓮の渦へ突貫。


 大陸拳法における(こう)。すなわち肩や腰を使った体当たりでもって、相手の鉄壁を崩そうとするが──。


「──当然そうなるよなあッ!」


「ッ!──()ッ!」


 それを見越していたヴィクターは、待っていましたと「纏火(まといび)」を全開にした大盾でロウを殴りつける!


 胸部に大盾を打ち込まれた少年は気合の声を上げるも空しく、(ほむら)を纏った一撃に打ち負け、大きく吹き飛び──即座に受け身を取った。


「──はあ!? てめえこの、わざとか!?」


 大盾の一撃をどうやってか軽減されたと知り、すかさず地を蹴り距離を詰めようとするヴィクター。


 されども。距離十分、溜め充分のロウ相手では分が悪かった。


「はあぁぁッ!」「ぐぅッ!」


 全力で突貫する互いがぶつかり合う刹那の間。


 ロウは突き出された大盾を下段に構えた模擬剣で(すく)い上げるように崩し、こじ開けた胴体へ()り上げ胴打ち。


 片膝立ちで、相手の下腹部を薙ぎ払う!


「ガッ……」


 ガラ空きになった腹部を打たれ悶絶する青年。


 好機と見た少年は、トドメを見舞わんと返す刃を繰り出して──。


「ほげッ!?」


 ──隙だらけとなっていた脇腹に模擬剣を叩き込まれ、再度地に転がされることとなる。


 痛みに顔をしかめつつ見上げれば、蹴り飛ばし戦闘不能にしたはずのレルミナの姿が。


「──勝負ありッ!」


「「げぇッ!? まだやれるぞ!」」

「ロウ君もヴィクターも致命傷二歩手前というには十分だ。決めたルールを反故にするとは言わせんぞ? よって、勝者はレルミナだ」


「「ぐぬぬ……」」


 無情とも言えるハーリンの宣言に抗議する二人だったが、彼のすげない返事でバッサリ切って落とされ、がくりと項垂(うなだ)れる。


「「「うおおおぉぉぉっッ!」」」


「……はぁ」


 ロウに蹴られた胸部をさするレルミナが勝ち名乗りを上げると、再び大きく沸く観衆。


(ふぅ。危うくお金をもっていない事がバレてしまうところだったよ)


 驚嘆の声を上げる彼らを眺めながら、彼女は昼ご飯を奢らずにすんだことにホッと胸をなでおろすのだった。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 主人公は目立ちたくないという割には自分から目立ちにいってるような気がします
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