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なんども駆け落ちされた伯爵子息カールの行く末は……  作者: 星野 満


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★最終話 結婚前夜はふたりで……

※ 最終回です!(*^。^*)!

※ 2025/11/7 挿入及び修正済み

◇ ◇ ◇ ◇




──悪魔よやめろ、何をいってるんだ。ウェンディ姫はそんな令嬢ではない!



( そうかな、3人の令嬢たちを思い出せよ。あの令嬢たちだってカールの前では、いつだって微笑していたじゃないか?)



いい加減、戯言はよせ! ウェンディ姫は3人とは違う。



( ふふ、わからないぜ。よく巷では“女心と秋の空”っていうじゃないか。秋空みたいに女心はコロコロ変わるものだ )



「わああ、(うるさ)い、(うるさ)い! 今は秋じゃなくて6月だ!!」


思わず僕は両手で耳を塞いで大声をあげてしまった。



「カール様? 突然どうしましたの?」


ウェンディ姫が僕の顔を見上げた。


「あっ!」僕は我に返った。


「ああ、申し訳ありません……何だか嫌な過去を想い出しちゃって……」


僕は動揺しながらも苦笑したが、すっかり青褪めた僕の顔を見たウェンディ姫は心配そうに見つめていた。


「カール様……」

「はい何でしょう」


「大丈夫ですよ」

「え?」

「あなたが心配になさっている事は絶対にありえませんわ」

「ウェンディ……」


僕は彼女の温かで優しい笑顔に見惚れた。


「それでもカール様がご不安ならば、明日になっても()()()()()()おまじないが1つだけありますわ」


「おまじない?」


「はい、とっても素敵なおまじないですわ」


 ウェンディ姫は薔薇の花が咲いたような微笑みを続けならが僕に言った。


「今夜、ここに泊まれば良いのです。そして明日、私と一緒に教会へ行けば絶対に私は消えませんわ」


「え……でもそれは……婚姻前にまずいのでは……」

 僕は顔を赤らめた。


 ウェンディ姫はそんな僕をおかまいなしに、悪戯っぽくブルーアイズを煌めかせた。


「そうかしら? こういっては何ですけど、明日初夜でも前夜でも、たいして変わりませんわ」


 僕は、ウェンディ姫の言葉にあっけにとられた。


 

 ──えぇ……姫ったら、何ちゅう大胆なんだろう?


 まだ僕達式を挙げてないのに……それってありなんですかあぁ?


 僕はおそるおそる訊ねた。


「いや、ですけど流石に……それはちょっと……」


僕は更に心臓がどきどきして鼓動が高鳴っていく。

それと同時にハーバート様から頂いた真紅の天蓋ベッドが脳内をちらついた。



そんな僕とは裏腹に、ウェンディ姫はよほど僕が赤面したのが可笑しかったのか、にこやかに()()()()と頷いた。


「カール様。大丈夫です。さすれば貴方様が不安に思ってるような、私が忽然といなくなることは、絶対にありませんわ」


ウェンディ姫は再度、ブルーアイズをキラキラと煌めかせて言い切った。



──ああ、ウェンディ、君って人は!


僕は、少し泣きそうになったが、一国の王女にここまでいわれたんだ。


断崖に飛び込む覚悟で腹を決めた。



「わかりました。ウェンディ姫、いやウェンディ! あなたがそこまで言うのなら、男たるもの失礼に当たります。分かりました、僕も同意致しましょう!」


「わあ嬉しい!」

「さすれば、気が変わらない内に今すぐにでも!」

「え、キャッ!」


 僕は、あっという間にウェンディ姫を軽々と抱きかかえた。


「ウェンディ、僕らの寝室はどこですか?」


 僕は敢えて知ってるくせに彼女に訊ねた。


「あ、はいカール様…2階に上がってふたつめの部屋ですわ」


「分かりました!」

「あ、お待ちになって……カール様、あの……夕食は食べませんの?」


「……夕食なんて、お茶を飲みすぎて腹は空いていません。あ、君は?」


「……私もすいていませんわ」


 ウェンディは頬を染めて頷いた。


「ならば問題ない。寝室へ直行しましょう!」


「は……い。わかりましたわ」


 ウェンディ姫も恥ずかしいのか顔が真っ赤になっている。



何かが僕の中でスパークしていたのは間違いない!

僕は尋常ではない速さで、ずんずんと彼女を抱えて階段を大股で登っていった。


流石に一国の姫君ともあろう方が、ここまでいってくださったんだ!


『上げ膳食わぬは男の恥』というではないか!


僕は寝室のドアを勢いよく開けた、そのままバタンと足で閉めた。



◇ ◇



翌朝──。


いちにち早く初夜も無事に済んで、僕とウェンディは、めでたく無事に結婚式を執り行なえた。



ああ、とうとうウェンディ姫は僕の花嫁となった!



そして僕は『4番目のフィアンセにも駆け落ちされた男』というダメ男のレッテルは免れた。



その代わり王都中から『世界一の幸福男』の称号を得たと自負している!



──完──






※ あっけない終わり方ですが、いかがだったでしょうか。思った以上の長期連載になってしまいました。まさか15万字もいくとは……!

この作品は異世界恋愛、騎士カールのお話と現代恋愛の風子の2つのお話を思いついて、合体させちゃったのです。

なのでカールが主人公ですが、風子=ウェンディも主人公の立ち位置だったのです。

拙作を最後までお読み頂き、誠にありがとうございました。<(_ _)>


※ 誤字脱字報告してくれた方もありがとう御座いました。

  ポイントやいいね、ブクマをつけてくれた方、もちろん読んでくれた方も、どうもありがとう御座いました!

<(_ _)>

※ 最終話が唐突過ぎた感があるので、結婚後の番外編を書く予定です。その時はまた活動報告などでご連絡いたします!


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