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なんども駆け落ちされた伯爵子息カールの行く末は……  作者: 星野 満


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ミケの使命と真実

※ 2025/10/5 修正済み

◇ ◇ ◇ ◇




ミケはしんみりしながら僕にテレパシーを送る。


( 風子様が亡くなった後で、遺族の人たちがお墓にやってきて、あちきら置物の猫たちに風子さまが亡くなった、いきさつを教えてくれましたんにゃん!)



「ん、異世界の人間は置物のネコにも身内の死を説明できるのか?」


(いいえ、そうではなくて、なんていうんですかね。家族の人は独り言をいっていたなんすにゃん。家族も置きネコたちも、全員で風子様の死を嘆き哀しみましたのにゃ。家族の人が帰ってから、私たち猫の置物は全員で()()()をいたしましたにゃ〜)


「へ、お通夜を置き物の猫が?」


(はい、「みゃ〜ゴォ、みゃ〜ゴォ、みゃ〜ゴォ」と歌いましたにゃ。皆一睡もしないですにゃん。あちき含め、置きネコは全員合唱ですにゃん。──もうカール様、夜中じゅう延々と続く“にゃんこの大合唱”、ベートーヴェンの第9『喜びの歌』の大合唱!と思うくらいすごかったにゃんすよ!) 



──ベートーヴェンの第9『喜び~』って何だ?


一体どんな合唱なんだ?


僕はミケの次々に話す知らない単語に面食らった。



だがミケはヘーゼルの瞳孔が見開いて神妙な表情で、僕に心の声(テレパシー)を送り続ける。


(カール様、その時ですにゃん! とうとう奇跡が起きましたにゃん!)


「奇跡?」


( はい、あちき等の鳴き声を天の神様が同情してくださったのか、あちきが突然、生身の“ミケ猫に”変身したのですにゃ〜!)


「ああ、その時変身したのか!」


( はいにゃんカール様! あちきには『生身のミケ猫』になった不思議な(いのち)でありんす。つまりあちきには大切な『使命』がありますニャン!)


「──使命?」


( うんにゃ、つまりあちきは、カール様と風子様を前世で結ばれなかった(えにし)を、この異世界で添い遂げさせるために今世界に転移してきた猫でにゃんす!──そのために“邪気の呪い猫”となったのです。そして、風子様もカレン(カール)様の後を追って、貴方様がいる異世界に転移しておりますにゃ〜!)


「え? なんと風子譲も僕の世界に転生してるのか?」


( へい、そうですにゃんにゃん!)


ミケは嬉しそうにゴロゴロ鳴いた。



「うわあ、まじかよ!」


僕は絶句した。



──墓参り令嬢が僕を追って既に転生してる?


信じられない……


ミケは前足を拡げて、とても嬉しそうにはしゃぎだした。


( カール様、お喜びくださいにゃ、風子様とあなた様はもうすぐ再会いたしますだにゃ。あちきはその日が来るまで変な虫がつかぬように、ずっとあなた様に取り憑いていましただにゃ。ほれ、カール様のフィアンセが3人いましたにゃん!)


「ああ……」


(実は3人の令嬢を駆け落ちに仕向けたのもあちきですにゃ~!)



「!?」


僕は耳を疑った!



──ミケがフィアンセを駆け落ちさせた?


僕はさーっと血の気が引いた──。


「ミケ……お前がエリーゼ嬢を含むフィアンセを、駆け落ちさせたというのか?」


僕は、じゃべりながらも、ワナワナと驚愕と怒りのせいで身体が震えてくるのがわかった。



(そうでゲスにゃあ~何せ3人ともに最初から想い人がいたから、駆け落ちさせる呪文をとなえたっす。そしたら操り人形のようにすんなりと全員駆け落ちしててくれましたにゃん。あんときはとても楽でしたにゃあ~ご!)


と、ズケズケとおかまいなしにミケは僕の腕の中で誇らしげに応えた。


「!?」


僕は、その言葉を聞いて、思わず抱きかかえているミケを、地面に叩きつけたくなる衝動にかられそうになった!



──こ、こいつが、この猫(ミケ)が、僕の不幸の原因だったのか!





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