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小柄な竜に恋をした、不器用な治癒術師 ~バルツクローゲン魔法学院、教師の職場恋愛物語~  作者: F式 大熊猫改 (Lika)
本編

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第十一話 竜と編入試験

 夕食前、日が落ちる寸前。中庭で数名の魔法使いと、軍人。そして校長やヨランダ達も含めた人間が集っていた。その中心にいるのはマルティン。これから魔法学校への編入試験が行われようとしている。


 その編入試験を仕切るのは、レイチェル先生。黒髪のショートボブヘアーにローブ。首には何故か犬猫に付けるような首輪が付けられており、その風貌は少女そのものだった。しかし実年齢は五十代を超えているという。


「ではこれより……校長のワガママによる編入試験を執り行う」


 ジト目で校長を睨みつけるレイチェル先生。校長は気まずそうにそっぽを向くが、どこか微笑ましい。


「さて、マルティン君、君は既に魔法を使えるという話だが……」


「君が先生? 僕と同い年くらいなのに?」


 相変わらず兄の演技が凄まじい。甘えるような声で回りの教師陣は、尊い物を見ている……と笑顔に!

 しかしヨランダにノチェ、それにマルティンの正体を知るハイデマリーは別の笑いを堪えていた。下唇を千切れんばかりに噛みしめている。


「私の姿は妖精の罰をうけたからだ。あまり教師をバカにしていると、君の身にも降りかかるぞ。なあ、ヨランダ先生?」


 ビクっと背筋を震わすヨランダ。いきなり話を振られた。レイチェル先生の目は笑っていない。恐らくだが、マルティンの正体に気付いている、と直感するヨランダ。それはそうだ、マルティンの変身魔法は違和感の塊。卓越した魔法使いならば、その違和感を拭い去って正体を見る事くらい容易いだろう。


「そ、そうですよー……真面目に受けようね! マルティン君!」


 ガッツポーズをしつつ応援するヨランダ!

 マルティンは無反応。ちょっと寂しくなるヨランダ。


「ではマルティン君。私が用意した的を狙って魔法を当ててくれ」


 パチン、と指を鳴らすレイチェル先生。すると「的」が姿を現した! その姿にヨランダ達は開いた口が塞がらなくなる。その的とは、まさにマルティンの正体、ダフィネルそのものだった。


「え、こわーい! なにあの竜!」


 マルティンの怯える演技。お前が言うな! とヨランダ達は心の中で盛大にツッコミ。他の教師陣は怯える者が大半。


 これはアカン、絶対にバレている。これはレイチェル先生の嫌味だろう。一体、どういうつもりだとヨランダ達は問い詰められている。そして校長と同じようにソッポを向くヨランダ達。


「いつでもいいぞ、さあ撃ってみ……」


 レイチェルが全てのセリフを言う前に、マルティンは手を翳して盛大に竜を吹き飛ばした! その威力は中庭の地面が大きく抉れる程。地響きも軽くした。流石にやりすぎだ……と顔を真っ青にするヨランダ達。


「これで……いい? レイチェル先生」


「……問題ない」


 レイチェル先生はマルティンを睨みつけるように。遅れて、他の教師陣は遅れて拍手をしつつマルティンを褒め称えた。その年齢で素晴らしい才能だと。


「編入試験は終了だ。おい、校長、話があるから来い」


「えっ? ぁ、はい」


 なんだか怯えるような態度の校長。いかん、フォローしなくては! とヨランダもついていこうとするが、レイチェル先生はヨランダへと向き直り、手で制してくる。


「マルティンは合格だ。安心しろ、取って食ったりしないさ」


 そのまま連行される校長。ノチェとヨランダは顔を見合わせつつ、大丈夫だろうか……と心配になってくる。


(どうしよう、ノチェ……大丈夫かな)


(取って食ったりはしないか……何かあれば食われるかもな)


 残された面々はマルティンの元へと集い、褒め称えた。頭を撫でまわす者、是非うちの研究会へ! と勧誘する者、そして……


「こんにちは、私はマルティナといいます、マルティン君」


 オズマと共に、軍人である彼女もその場に居たようだ。マルティンと目を合わせるようにしゃがんで挨拶してくる。


「マルティナ……? 名前が似てるね、お姉さん」


「ええ、貴方のご両親も……あの英雄マルティンのようにと願いを込めて付けられたのでしょう。私と同じように」


 英雄マルティン。数百年前に実在した冒険者である。当時は今よりも世は乱れており、魔王なる存在も実在していた。だがその魔王を打倒したのが、マルティンと呼ばれる冒険者。

 まさに、ヨランダが持つドラゴニアスを駆使していた冒険者である。


「これからよろしくお願いします。ご興味があるようでしたら、軍の方にも是非」


「はいっ!」


 いい返事をしながら握手を交わす二人。

 しかしヨランダはその光景を見て、ふと……


(マルティン……兄さまがその名前を使ってるのは偶然? ドラゴニアスを最初管理してたのは……兄さま……いや、まさか……)





 ※





 編入試験が無事終わり、本日は巨大イノシシの丸焼きという事もあり、寮の前の広場で夕食を摂る事に。既にあたりは空は闇に沈み、月が明るく大地を照らしている。

 イノシシの肉を切り分けているのは軍の人間。生徒達は皿一杯にお肉を受け取り、仲良しグループで食べ始めていた。


 その中で一人、周りの生徒を遠ざけるように食事をする女生徒。フェオドラだ。あのマティアスの授業で唯一の生存者。小さな口で肉を少しずつ噛みちぎりながら食べている。


「どうした、一人か?」


 そんなフェオドラに声をかけるのはマルティン君。フェオドラは目を丸くする。


「き、君……誰?」


「マルティンだ。今日編入した」


「編入? へ、へぇ……」


 どこか怯えるような態度のフェオドラ。マルティンは小さな体のくせに、フェオドラの倍以上の肉を握りしめていた。それを豪快に頬張るマルティン君。


「お前、友達居ないのか」


「うっ……まあ、私……魔法使えないし」


「なんで。ここは魔法学校だぞ」


「……親にむりやり入れられて……。私は山育ちの田舎者なのに」


「俺も山育ちだ」


 そばかすが可愛い女の子、フェオドラ。そして編入したてのマルティン。二人の様子を見守る人間が居た。ヨランダだ。


「モグモグ……青春だねぇ、ノチェ……」


「まあ、いっそのことマティアス先生と共に学ばせるのも手かもな。おい、ヨランダ、もう一口よこせ」


「はいはい」


 夜中の屋外で食べる肉は格別の味だった。

 溢れ出す肉汁が食欲をそそらせる。その場に居る大半の人間がイノシシの肉に夢中になっていた。ある一部の生徒を除いて。


「あの、ヨランダ先生……お願いがあるんですけど……」


「……ん?」




 ※




 夕食が終わり、寮へと続々と帰還する生徒達。軍人とポマさん、そして小さな妖精達が帰ってくる生徒達を確認しつつ名簿をチェック。


「……? おかしいわねぇ……ユリシアちゃん、ちょっと名簿見せて」


 ポマさんのフカフカの頭へと着地しつつ、小さな妖精、ユリシアは小さな名簿をポマさんの頭の中へと溶け込ませるように。小さな名簿はポマさんの頭の中へと吸い込まれ、それを脳内で確認するポマさん。記憶譲渡系の魔法によって、一瞬で名簿を把握するポマさん。続いて、頭に妖精を乗せたまま軍人の名簿も確認する。


「マルティナちゃん、確認終わった?」


「ええ、今の生徒で最後……のようですね。どうしました?」


 マルティナはポマの顔色を見て、何やら問題が起きたのか、と尋ねた。ポマさんはマルティナの付けていた名簿も確認しつつ、やはり居ない、と首を傾げる。


「数人の生徒が帰って来てないわ」


「了解です、捜索隊を……」


「あぁっ! そこまで大げさにする必要は無いわ、もしかしたら街に遊びに行っただけかもしれないし。帰ってきてないのは皆一年だから、きっと我慢しきれなかったのね……」


 やれやれ、と首を振るポマさん。しかし無事を確認しなければならない。当然、夜中に街に繰り出すなど校則違反。しかし、いちいち目くじらを立てていては生徒達も可哀想だとポマさんは見逃す気満々だった。しかしマルティナはクソ真面目な性格。


「ポマさん、ここは私にお任せ下さい。大事にはしません。少々お灸は据えますが。いなくなった生徒達の詳細を教えて頂けませんか?」


「んー……きつく叱ったりしちゃダメよ。多少の息抜きは誰にだって必要なんだから」


「だからと言ってポマさんを心配させるなど言語道断です。少々言い聞かせるだけですよ」


 ポマさんはいつもよりなんだか張り切っているマルティナを眺めつつ、帰ってきていない生徒達の情報をマルティナへと伝える。その生徒達は、皆ヨランダのクラスの生徒達だ。そしてその中には……


「おやおや、編入初日から違反行動とは……中々、躾のし甲斐がありそうですね、マルティン君」




 ★☆★




一方、門限を守らない、ちょっと悪い事をしている気分でスリルを楽しんでいる生徒達。なんとその中にヨランダとマティアスも居た! 


「へー、バルツクローゲンの街って夜でも賑やかなんですね」


「昔はそうでも無かったようです。こうなり始めたのは、学院が復活してからですね。街へ軍から支度金、という名目で金が流れていますから」


「支度金……?」


「平たく言えば口止めです。学院には中々に危険な魔法使いが居ましてね。夜の校舎は魔法使い達の実験場になるのですよ。それに伴い、街になんらかの被害が出ても……」


 うわ……とヨランダは顔に隠さない嫌そうな顔をする。実験が失敗して、街が消し飛んでも金で解決だ! という学院側の思惑。勿論、消し飛んでしまったら金がいくらあっても無意味なのだが。


「幸い、今のところ大事には至ってません。警備の中には魔道士も含まれていますから、何かあればすぐに対処出来るようになってますので」


「魔導士……? 魔法使いとは違うんですか?」


「あぁ、それは……」


「ヨランダ先生! 見て見て! なんか綺麗な石!」


 数人の生徒達が夜の怪しげな出店で何か買ってきた! ヨランダはその石を一目見つつ、首を傾げる。


「何それ?」


「幸せになる魔法がかかってるんだって。ヨランダ先生にあげる」


 ヨランダは礼を言いつつ、その石を受け取った。その石には何の魔法も掛かっていない。早速生徒達が詐欺にあっている……と思いつつも、あえてそれを指摘するような無粋な真似はしない。故郷から離れ、学び舎になってきた生徒達の気持ちはヨランダは誰よりも理解している。少しノチェと過ごしていた秘境が懐かしい。


「おい、お前達。あと三十分だけだ。時間になったらすぐに戻るからな」


「はーい!」


 生徒達は仲良く街の出店を見て回る。怪しげな出店はヘンテコな物ばかりで、年頃の子供達にとっては宝の山に見えるのだろう。一緒に着ているマルティンは、少しつまらなさそうにしているのも、なんだか微笑ましい。

 そんな子供達を眺めるマティアスの顔は、少し微笑んでるようにも見えた。


「マティアス先生、意外ですね。門限を破るのを認めるなんて」


「今日だけですよ。今頃、名簿を確認中のポマさんは心配しているでしょうから……帰ったら一緒に謝って貰えますか?」


「勿論。私も、もう共犯ですからね」


 生徒に貰った石を見せつけるヨランダ。マティアスの顔がほころぶ。その表情は優し気で、普段の彼からは想像もできない。ヨランダは、何の魔法も掛かっていない石の効果が、さっそく効いてきたのかもしれないと思ってしまった。マティアスのその表情を見ただけで、ほんのり心が温かい。


「ヨランダ先生、少し休みますか」


 マティアスは目についた出店で、適当に冷たい物を購入。これで自分も共犯だ、と言わんばかりにヨランダへと手渡し、一緒にベンチへと。そこに座ると、ヨランダは賑やかな出店の列が遠くなったように感じた。いや、自分の意識は今、マティアスに向けられているのだ、と感じる。


 心のどこかで感じる。マティアスの事をもっと知りたい、と。


「それで、先程の続きですが……魔道士というのは魔法を扱うには違いないのですが、そのジャンルは人を殺傷する事に特化しているんです」


「それは……戦争があったからですか?」


「ええ。アミストラは魔法に精通している国でしたから。それに対し、ローレスカはどちらかと言えば軍事国家。魔法は衰退していましたから、かなり無茶な方法で軍人に魔法を仕込んだのが始まりだったとか」


 なんとなく、ヨランダはその無茶な方法というのを察する事が出来た。魔法は、この星と同調することで行使する奇跡。しかし修行をしていない軍人がいきなり同調出来る筈もない。ならば脳内に何か埋め込んだのだ。星と同調させるためだけに、魔道具的な何かを。


「マティアス先生も……戦争で戦ったんですよね」


「ええ。何の役にも立ってませんでしたが」


 マティアスはおかしな気分だ、と自分で思う。ヨランダに自分の悩みを打ち明けたい。自分の苦い過去を共有してほしい。もしかしたら傷つけるかもしれない。二度と口を聞いてくれなくなるかもしれない。


 それでも、ヨランダに、自分の脆い部分を晒してしまいたい。


「マティアス先生?」


 すると眼前にヨランダの顔が。

 ヨランダが顔を覗き込むように、近づいてきた。肩が触れ合うほど、ヨランダの吐息がかかるほど、白いモフモフの尻尾が頬に当たる程……


「おっと、ワシは……もしかしなくても邪魔だな」


「ん? ノチェ、どうしたの?」


 瞬間、マティアスの背筋が凍り付く! そうだった! この猫が居た! 何故ヨランダと二人きりだと錯覚してしまったのか!


「ヨランダ、ワシはいち早くポマさんに不良どもの事をチクってこようと思う」


「え、なんで? それならみんなで一緒に怒られれば……」


「ワシは怒られたくないんだ。自首して司法取引を行う。ではな」


 そのまま、タン、タン、とあっという間に家屋の屋根に上るノチェ。そしてそのまま姿が見えなくなってしまった。マティアスは心の中で「ノチェェェェ!!!!」と叫んでいる。


「どうしたんだろ、ノチェったら」


「さ、さあ……」


 もしかしなくても、ノチェはマティアスの気持ちに気付いている。マティアスはそう確信した。思えば、オズマにも一撃でバレていたのだ。ヨランダが人一倍鈍感なだけで、そんなに自分は分かりやすいのだろうか、とマティアスは頭を抱える。


「それで、マティアス先生どうしたんです? 何かお悩み事でも?」


「……え、何故……そう思うのですか?」


「なんだか深刻そうな顔をしてますから。生徒達の前では、珍しく……おっと失礼。明るい表情のマティアス先生だったのに」


 自分はそんな顔をしていたのか、と今更な事を想うマティアス。

 数分前の自分の顔をぶん殴りたい。しかし一方では、全て白状してしまいたい自分も居る。


「……ヨランダ先生」


「はい」


「私は……戦争で五十六人の人の命を奪いました。中には自分よりも年下も。そんな人間が……教師などしているのです。あまつさえ……私は今、幸福を感じている」


「……で?」


 で……?


「え?」


「え?」


 キョトンとする二人。そのまま目を合わせながら、同じ方向に首を傾げる。


「戦争は終わりましたよ? マティアス先生」


「いや、そうなのですが……私は……その……罪を償わなくてはいけない気がして……」


「それなら、この星ごと木っ端みじんにしましょう」


「何を?!」


「マティアス先生が罪を償いたいというのであれば、戦争の犠牲の上で成り立っているこの世界自体が罪です。私が禁断の古代魔法を使って……」


「すみません、やめてください……」


 ドラゴニアスへと手をかけるヨランダへと頭を下げるマティアス。

 ヨランダはそんなマティアスをおかしく思い、満面の笑み。


「冗談ですよ、ごめんなさい。マティアス先生の悩みは、私では言葉が足りません。なので……ある人の言葉をそのまま伝えてもよろしいでしょうか」


「……ある人?」


 ヨランダは教師のように背筋を伸ばし、女神のような笑顔でマティアスへと語り掛ける。


「私はアーギス連邦の生まれです。ここから海をひたすら西に行った国ですね。だから、このローレスカについてはあまり詳しくありませんでした。なので、この国の歴史について調べるために、少しだけノチェと見て回ったんです」


 竜の姿で飛来したとは言えない。しかし空の上から見るローレスカは、一言で言えば美しかった。アーギス連邦は産業革命の切っ掛けとなった軍事国家。建造美だと称賛出来る部分もあるが、アーギス連邦にはない美しさがローレスカにはある。


「それでアルベルタという港町に行きました。もう人は住んでいなくて、崩壊した建物はそのまま。そんな街に……絵描きが居たんです。マティアス先生より少し年上の……お兄さんでした」


「絵描き……ですか」


「旅をしながら、戦場の絵を描いているんだとか。その人も元々軍人で、戦争で戦っていたそうです。その人に、ノチェが聞いたんですよ。何故、そんな絵を描き続けるのか。もっと美しい風景なら別のところに広がってるじゃないかって」


 竜の姿で上空から見るローレスカは緑が多く、山々も溜息が出る程美しかった。街も古き良き風情が残っていて、落ち着いて絵を描くには最適な場所が多い。なのに何故、わざわざ崩壊した建物がそのままの、戦争の傷跡を描き続けるのか。


「それは……なんと答えたんですか? その絵描きは」


「笑っちゃいますよ。売れるからだそうです」


 ガクっと肩を落とすマティアス。

 今の話の流れから言って、何か自分の悩みに助言でもくれるのかと思っていたのに。


「それで、その稼いだお金で大事な人を守りたいそうです。きっと、自分が殺した人たちは自分を許さないだろう。だから、その大事な人に許してもらうために、頑張るんだって……言ってました」


「……そう、なんですね……」


 フェイントからの、助言とは言い難い言葉。しかし何故かマティアスの心に沁みていく。

 誰かに許された所で、それが何になるのか、という疑問は浮かび上がるのに。


 でも誰からに許してもらえるのなら。

 チャイルドソルジャーだった自分は生きていていいのだろうか。幸せになっても、いいのだろうか。



「ヨランダ先生は……許してくれますか?」


 それを言った瞬間、マティアスは何を言っているんだと我に返った。

 こんな事、ヨランダの事を大事な人だと思っていると白状するような物だ。

  

 しかしヨランダは、立ち上がってマティアスの正面に立ち、その悩める頭を抱きしめるように。


「許します。たとえ誰がマティアス先生を許さなくても、私だけは貴方を許します」




 氷が溶ける。

 それが涙になって目が零れ落ちた。


 人生の半生を戦場で過ごした少年は、初めて人前でそれを見せた。


 殺してきた心が、鼓動する。



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