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最恐魔王の手さぐり建国ライフ!!〜政治に農業、時々戦争!?〜  作者: 熊乃げん骨
第一章 ○○世界における魔王国建国の経緯(いきさつ)
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第17話 指輪

 魔道具作成の修行を始めてから3日。俺の魔道具作成能力はメキメキと上昇していった。


 最初は魔道具を作るとすぐに魔力が枯渇してしまい移動にも支障が出るのであまり修業が出来なかったが、ある魔道具を作ったことによりそれは解決した。


 それが魔力変換機マジック・コンバータ魔力貯蔵瓶マジックポーションだ。


 魔力変換機マジック・コンバータは腕輪型の魔道具であり、外気に満ちている魔力を吸収、変換し自分の魔力にすることが出来る。

 これにより俺の魔力回復速度は劇的に上昇した。

 しかし、それに伴い魔力歩行マジック・ムーブに消費する魔力では回復する量が消費する量を上回り無駄が出来てしまう事態が起きてしまった。


 そこで活躍したのが小瓶の形をした魔道具、魔力貯蔵瓶マジックポーションだ。

 こいつは自分の体に貯めきれなくなった魔力を液体に変え、貯めておいてくれるという優れ物だ。


 この二つを作ったことにより移動中は魔力を貯め、休憩中は魔力貯蔵瓶マジックポーションの液体を飲みながら魔道具作成をするというルーティーンが出来た。


 この時俺は既に一日に二十個もの高位魔道具ハイ・アイテムを作れるようになっていたが、そのほとんどを廃棄していた。これは舞衣さんに管理できない量の魔道具は危険だと言われたからだ。

 残していいと言われたのは俺が常に身に着けておける物だけだった。


「ふひひ、こりゃあいいデキだぜ……」


 プラモとかの細かい作業が好きな俺は魔道具作成にハマりこんでしまっていた。そうすると自然に作ったものへの愛着も沸くもんだ。

 なるべく廃棄したくない一心で徐々に量より質を重視し、なおかつ身につけれる物ばかりを作った結果、俺は全身魔道具まみれになっていた。


「あんたやりすぎ」

「へへ……」


 全身ゴテゴテの俺を見て舞衣さんが苦言を呈す。


「そんなんじゃ移動もままならないでしょうが」

「そう言われると思ってこんな物も作ったんですよ!」


 俺は銀色の小さな指輪を取り出し、見せつけるように効果を発動する。


換装チェンジ!!」


 俺の呼びかけと共に身に着けている魔道具が光だし、それが収まると別の魔道具へと変わっていた。

 これこそ俺の自信作「魔道具換装器アイテム・チェンジャー」だ。

 原理は作った俺にもよく分からないが、どうやら異空間的なところに魔道具を収納しているみたいで、そこに自由に魔道具を出し入れ出来る。

 容量の限界はあるものの身に着けてる魔道具も含めればかなりの量を持ち運べるぜ。


「はぁ、こんな物まで作るなんて。次元干渉しちゃってるじゃない……」


 褒められると思ったのに呆れられてしまった。

 悲しい。


「あ! そういえばもう一つ自信作があるんですよ!」


 俺はさも今気づいたかのようにある物を取り出す。

 実はこれを渡すのが本命だ。頑張れ俺。


「これは……」

「へへ、綺麗でしょ」


 俺が取り出したのは白金色に輝く指輪だ。

 今まで作った中でもとびきり綺麗に出来た自信作だ。

 しかも俺の思いつく限り最高の防御能力が付与されている。


「俺ばかり魔道具を持つのもなーと思って舞衣さん用に作ったんです! 舞衣さんはもう強いからいらないかもですけど、ほら転ばぬ先の杖っていうか」

「わかったわかった。貰うから少し落ち着きなさい」


 おかしい。

 シュミレーションだとスマートに渡せてたはずなんだが。


「ようするにプレゼントって事でしょ? きれいな指輪ね。大事にするわ」


 そう言って指にはめる舞衣さん。よく似合ってるぜ。


「名前は『災厄より守りし指輪リング・オブ・イージス』。大事に使ってください」

「ええ、あんただと思って大切にするわ」

「っっ!!」

「ふふ♪」


 顔を真っ赤にする俺を見て笑う舞衣さん。


 やれやれ。まだまだ敵いそうにないな。






 ◇






 出発してから4日目。

 生い茂る樹海を抜け、とうとう俺たちは目的の富士山のふもとまで辿り着いた。


 すると先導していたケビンが立ち止まり、俺と舞衣さんもそれに倣い足を止める。


「僕の入手した情報によると、大量発生した魔獣のせいで道は荒れ果ててるそうです。足元に気を付けてください」

「了解。まあ今までも整備された道では無かったけどな」

「ふふ、それもそうですね」


 俺の軽口に笑って同意するケビン。

 こいつともだいぶ仲良くなったな。


「とはいえ山頂からは何かヤバい魔力を感じるわ。今までの様にはいかないと思うわよ。


 警戒を緩めない舞衣さん。確かに向かっている途中も薄々と感じていたがここまで近づくと肌に突き刺さるほどの魔力を感じる。

 これは間違いなく放っておいてはいけないモノだ。


「お二人とも、ここまで付き合っていただいてありがとうございます。」

「つってもよお、一緒に走っただけであんまり役に立ててないと思うんだけどなあ?」


「そんなことはありません」


「どういうことだ?」

「本来であれば樹海に入った段階で魔獣に襲われるはずでした。しかし僕たちは襲われるどころか一度も魔獣を見かけてすらいない、なぜだか分かりますか?」

「そりゃあ……運が良かったんじゃないのか?」


 そんくらいしか思いつかないぞ。


「違います、答えはあなたです。魔獣たちはあなたが怖くて出てこなかったんですよ」

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