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最恐魔王の手さぐり建国ライフ!!〜政治に農業、時々戦争!?〜  作者: 熊乃げん骨
第一章 ○○世界における魔王国建国の経緯(いきさつ)
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第13話 新たなる仲間

「んん〜〜」


 朝日が顔に刺さる感覚で俺は目を覚ました。

 まだ体が痛むが多少動く分には問題なさそうだな。


 そんなことよりヤケに寝心地がいいと思ったらベッドで寝ているではないか!

 一週間近く地面の上で寝てたからとても気持ちよく感じるぜ。


 しかしいつまでもゴロゴロしてられない。

 現状を確認せねば。


 俺が寝ていたのは木造の簡素な部屋だった。

 家具はベッドと机のみ、宿の一人部屋といった感じだ。


「ひとまず舞衣さんを探すか……」


 俺は揃えてあった靴を履きドアを開ける。

 廊下には俺の部屋と同じようなドアが並んでいた。やはり宿なのだろう。


 俺はドアを通り過ぎ階段を下る、階下から声が聞こえるのでひとまず向かってみよう作戦だ。


 一階と思われるそこは酒場になっていた。

 二十人くらいの人たちが、楽しそうに飯を食べたり酒を飲んだりしていた。


 そして舞衣さんもその中にいた。


「あら、目を覚ましたのね。体はもう大丈夫なの?」

「ええ、それよりもこの男は誰ですか?」


 舞衣さんのテーブルにはなんと向かい側に男が座っているではないか!

 しかも金髪のさわやか系イケメン!

 ナンパか!? 俺は許さんぞ!!


「初めまして。ケビン・G・バースです。気軽にケビンと呼んでください」


 ケビンと名乗る好青年はこれまた爽やかに挨拶し手を差し出してくる。

 ぐぐぐ、なんか負けた気分だ。

 しかたなく俺も笑顔で握手を返す。


「そんな顔しないの。彼が私たちをここまで案内してくれたのよ」

「いえいえ、当然のことをしたまでです」


 ぐぎぎ、仲良さそうにしやがって。


「という事はケビンさん。あなたはあの場にいたのですか?」

「ケビンでいいですよ、私の方が年下ですからね。」


 あまり謙遜するな、俺が小さく見えるじゃないか。


「お察しの通り、僕はあの場にいました。高い魔力のぶつかり合いを感じて見に行ったのですが驚きましたよ、まさか魔法をあんなにたくさん使える人がいるなんてね」

「!!」


 俺の能力の秘密を見たのかこいつは!?

 どうする、厄介ごとに巻き込まれる前に口封じするべきか!?


「はは、そんな怖い顔しなくても大丈夫ですよ。散々礼堂院さんに釘を刺されましたからね」

「そうなんですか?」


 舞衣さんはというと「さあね」と言いながらそっぽを向いてる。耳を赤くしながら。

 可愛いお方だ。


「で? どうして俺たちを助けてくれたんだ? ただの親切心か?」

「もちろんそれもありますが、実は強い方に手を貸して欲しいのですよ」


 何やらきな臭くなってきたな。

 まあ借りがあるわけだし聞くだけ聞いてみるか。


「で、結局何をして欲しいんだい?」

「実はですね……富士山に連れていって欲しいんです」

「え?」


 俺は思わずズッコケてしまう。

 観光でもしてんのか? こいつは。


「実は私は魔力大規模感染マジカル・パンデミック以前から魔法使いで、大きな魔法使いの組織に属しています。私の組織は魔力大規模感染マジカル・パンデミック後の世界の異常について調べているのですが、その中でも特に異常な反応をしていたのが……」

「富士山ってワケか」


 彼はコクリ頷く。


「僕はそれがどうしても気になり、一人で勝手に日本に来ました。何としてでも調査したいんです」


 おそらくこの話は嘘ではないだろう。

 なぜならケビンが話している間サングラスを少しだけズラし、『共感覚(シナスタジア)』を範囲を狭めて使い、感情を読んでいたからだ。


 何を考えているかまでは分からないが、何となくの感情なら分かる。

 こいつの中に俺たちへの敵意などの負の感情は感じられなかった。


「舞衣さん」

「好きにしていいわよ。既に他の生きてる仲間たちには連絡したわ、特に急ぎでやるべきことはないわ」

「そうですか……」


 俺も魔王になるなどと息巻いたはいいが何もそこに至るまでのビジョンが思いついていない。

 ならば。


「いいぜ。民の助けをするのも仕事の内だ、手伝ってやるよ」

「民……?」


 不思議そうな顔をするケビンの隣で舞衣さんがくすくすと笑っている。恥ずかしいぜ。


 こうして俺たちの旅は金髪イケメンを加え、まだ続くのだった。

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