表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
111/142

第13話 DAEMON CORE

なんと当作の投稿を開始してから一周年を迎えることができました!!

これもひとえに読んで下さる皆さんのおかげです。これからも「最恐魔王」をよろしくお願い致します!!

『GW-003 DAEMON CORE』


 この魔道具はある副作用がある代わりに膨大なエネルギーを生産することのできる魔道具だ。

 生産されたエネルギーは俺の体の能力を大幅に向上させ、更に体から漏れ出たエネルギーは青色の電気へ変換され相手を焼き焦がす。


「いくぞ……!!」


 地面を蹴り、とても人の目では追えない速度で俺は駆け出す。

 その速度もさることながら驚くべきは初速の速さ。俺の体は一秒にも満たぬ時間で音速に匹敵する速さへ達し勢いそのまま芭蘭の顔面目掛け拳を振るう。


 しかし相手もそんな簡単にくたばる相手ではない。

 すんでのところで腕をねじ込み俺の拳をガードする。


「ふふっ……!! 危ない危ない。どうやらその派手な姿は見掛け倒しでは無いみたいですね」


「はっ! 無駄口叩いてるとすぐに終わっちまうぞ!」


 再び加速した俺は今度は芭蘭の横を通り過ぎ、そのすれ違いざまに拳を打ち込んでいく。

 もちろん一回ではなく二回三回四回と四方八方から襲い掛かりそのすれ違いざまに何回も何回も執拗に攻撃を続ける。

 最初はガードをし直撃を避けていた奴も次第に反応できなくなり攻撃がヒットし始める。


「くっ!!」


 ここに来て奴は初めて焦りの色を見せる。

 ならばここが攻め時だ。一気に片を付けてやる!!


悪魔の雷連撃(デーモン・ラッシュ)!!」


 悪魔の如き拳の雨が芭蘭目がけ放たれる。

 その一撃一撃は奴の肉体を砕き、壊し、そして焼き焦がしていく。


「ぐ、ぐおおおおおおっっ!!」


 一秒間に百発近く打ち込まれた芭蘭は流石に耐えきれなかったのか苦悶の声を上げその場に膝をつく。

 辺りには肉の焼けた嫌な臭いがたちこめ、奴の体からは黒い煙が上がっている。


「……」


 そのまま芭蘭はピクリとも動かなくなった。

 奴の肉体は所々えぐれ、全身のいたるところから出血しており常人ならもう手の施しようのない状態だ。

 だけど。


「おい、まだ生きてるんだろ」

「あ、バレた?」


 芭蘭は俺の言葉に軽くそう返すとまるでケガなどしてないかのようにすくっと立ち上がる。


「いやあ参った参った。ここまでボロボロにされたのは初めてですよ」


「その割にはピンピンしてる様に見えるがな」


「そりゃ当然ですよ。あなたたちは私と同じステージにすらいないのです。ここまで出来ただけ上出来ですよ」


 芭蘭はそう言って損傷の特に酷い右腕を左腕で撫でる。

 すると何という事だろうか。撫でたところがまるで最初から怪我などしていなかったかのように綺麗に元通りになっているではないか。


「化け物め……!!」


 今の一瞬、魔法や贈呈物ギフトを使ったようには見えなかった。

 ということは俺の知ってる範囲外の技。奴の言う『神秘』とやらの力なのだろう。


「これでまた遊べるね。次はどんな面白いものを見せてくれるのかな?」


 気づけば芭蘭は全身を回復させており、服まで元に戻っている。

 化け物め。


「しょうがない。あまり使いたくなかったがこいつも使うとするか」


 そう言って俺が取り出したのは背中に隠していた一振りの日本刀。

 抜き放ったその刀身は紫色に怪しくゆらゆらと煌めいている。


「よかったまだ奥の手があったんですね! これで終わりじゃつまらない!」


「ぼざいてな。その口すぐに開かなくしてやるよ!」





 ◇




 その頃、陰陽京では熾烈な戦いが繰り広げられていた。


「おい虎子! そっち行ったぞ!」


「わーってるわよ! あと虎子言うな!」


 大蛇の噛みつきをすんでのところで避けた虎虎は興亀に悪態をつく。

 まだ目立った傷こそ負ってはいないが肩が上下し息も荒い。

 確実に疲労は溜まっているだろう。


 それは他の四人も同じであり状況は悪くなる一方だ。

 異常な回復力を持つ大蛇は生半可な攻撃では傷をつけることすら出来ず、頑張って頭を一つ切り落としたとしても数十秒で復活。これではジリ貧だ。


「なにか……なにか奴の頭を全て一瞬で落とせる方法はないのか!?」


 興亀の言葉に他の四象家の面々は口をつぐむ。

 多彩な技を持つ彼らだが一度に落とせる首の数はせいぜい二つ。

 それすら誰かのサポートで大蛇の攻撃を止めてもらわなければ出来ない。それゆえみんなで一斉に首を切り落とすわけにもいかない。


「一つだけ方法が、ないこともない」


 そんな中声を上げたのは虎鉄。

 彼は懐より一振りの錆びついた小ぶりの剣を取り出し言葉を続ける。


「これは拙者が賜った『準神話級』の魔道具だ。これを使えばおそらく奴を倒すことも出来るだろう」


「おいおい『準神話級』って……そんなもん扱えんのかよ!?」


 興亀が心配するのも当然。資格のないものがそんなものを無理に扱ってはどうなるかわかったものではない。


「これは拙者用に調整されておる。とはいえもちろん何回も使える代物ではない、一回きりしか使えんだろう」


「……まあこのさいなんでそんな物を持ってるかなんて聞かないわ。でもこれがあるならなんとかなるんじゃない」


「でも一回きりしか打てないんだろ? いったい誰がどうやってそんな隙を作るってんだ!?」


 一回きりしか使えない切り札に混乱する一同。

 そんな中、龍々家が冷静に発言する。


「私に、考えがある」


 その言葉に一同は言い争いをやめ龍々家の言葉に耳を傾ける。

 あまり目立った行動をしない彼だがその実力、そして知識の量は四象家の中でもトップクラスなのだ。


「あの蛇の化け物、あれはおそらく八岐大蛇ヤマタノオロチをイメージして作られたものだろう」


 八岐大蛇。

 八つの頭と八つの尾を持つ有名な怪物の名前だ。目の前の怪物と見た目は酷似している。


「みなも知っているだろうが名前は力を持っている。あれが八岐大蛇を模しているならば再現されているのは力だけではない」


「なるほど、そういうことか……!」

「ま、まあまあの案だね」


 その言葉で龍々家の言おうとしたことを理解した虎鉄と雀長は感嘆する。しかし他の脳筋二名はピンと来て無い様でポカンとしている。


「お、おいもったいぶってないで俺にも教えてくれよ」

「そうよ、わからないわけじゃないけど興亀が可哀想じゃない!」

「おい! 俺だけが分からないみたいにするな!!」


 賑やかに言いあう二人を見て龍々家は思わずクスリと笑う。

 まるで昔に戻ったみたいだ――――。口にはしないがそう思った。


「いいか、よく聞いてくれ。奴が伝承を元にしているなら必ず再現しているものがある」


 興亀と虎虎は言い合いをやめ、龍々家の言葉に耳を傾ける。


「それは、弱点だ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ