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74話 いと美しき月光の携帯ドラゴン。


 74話 いと美しき月光の携帯ドラゴン。


 沸騰する。

 落ち着きを見失う。

 トクトクと、小さな音が響いて、

 グニグニと、細胞が分裂する気配がして、

 やがて、その全てが、一点に結集していく。


 パリィンッッ!!


 と、豪快に、何かの割れる音が響き渡った。

 そこにあったのは、一匹の龍。

 月光のような美しい輝きに包まれた携帯ドラゴン。


「……きゅいっ!」


 随分と気合いの入った目でオメガを見る月光の携帯ドラゴン。


 そんな龍に、

 オメガは、


「俺を裏切るのか、ルナ」


 そう問いかけると、

 月光の携帯ドラゴン――ルナは、


「……」


 何も言わずに、まっすぐに、オメガの目を見つめた。

 言葉はもう必要ない。

 いや、本当は、最初から必要なんてなかった。



「てめぇだけはぁあああ! 裏切っちゃダメだろ、ルナァアアアアアア!!」



 慟哭。

 泣き叫ぶように、喚き散らしながら、

 オメガは、ルナに向かって、


「異次元砲ぉおおおおおお!!」


 凶悪な魔力とオーラのこもった異次元砲を放った。

 全てを奪い取ろうとする一手。

 怒りにまみれたその咆哮を、

 ルナは、


「きゅいっ」


 小さくて短い両手で、器用に円を描いて、

 スパァンっと、あっさり、消し去ってしまった。


 実に手際のいいオメガバスティオン。

 それを見て、


「……はっ……はは……そうか……そうだな……一番近くて見ていたんだもんな……その上で、誰よりも『俺』を知っているんだから……そりゃ、同調させることぐらいできるわな……」


 哀しそうな声で、

 そう言ってから、


「じゃあ、ぶん殴って殺してやるよ。俺を裏切った代償を命で払え」


 はじけ飛ぶように、

 オメガは、ルナとの距離をつめた。


 あまりに強く握りしめた拳。

 深く爪が食い込んで、掌から血がにじむ。


 『そんなことはお構いなし』とばかりに、

 血染めの拳を、ルナの顔面に叩き込む。


 その拳を、ルナは、その身で受け止めた。


「きゅいっっ!」


 あまりの痛みに悲鳴をあげるルナ。

 だが、すぐに体勢を整える。

 激痛を我慢しているのが分かる表情。


「一撃ではおわらねぇ!」


 続けてオメガは、

 ルナに拳を叩き込んでいく。

 何度も、何度も。


「なんで、俺を裏切る! どうして! なんで!」


 叫びに嗚咽が混じる。

 言葉にならない悲鳴も混じる。


「くそ! くそ! くそぉお! なんでぇえ!」


 疑問を口にしていながら、

 答えを求めているようには思えなかった。

 その理由は、たった一つ。


「……く……そが……本当は…………わかってる……」


 涙のにじむ声で、

 オメガは、


「俺じゃあ、届かなかった……守ってやれなかった……くそったれ……くそ……」


 ついには、その場にへたりこんで、

 ボロボロと、大粒の涙を流す。


「なんでだ……どうして……なんで、俺じゃあダメなんだ……必死に頑張っただろ……ずっと、ずっと、ずっと……頑張ってきただろ……なのに……なんで……」


 そんな、

 うなだれているオメガの元に、

 近づいてくる二人がいた。


 一人は、センの同級生で後ろの席に座っている反町。

 一人は、センの担任をしていた時期もある教師挙茂。




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