表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

887/941

25話 クソめんどくせぇ男


 25話 クソめんどくせぇ男


「無様な恥を積み重ねて、俺は今日にたどり着いた。だから、本当ならつぶれてしまうほどの恥をかいても、俺は明日を求めて歩き出すことができる」


 文言だけで見れば、それなりに、

 カッコいいと思えるような言葉ではあったが、

 しかし、全体を理解した上で聞くと、

 とんでもないヘタレの悲鳴にしか聞こえない。


 ――ただ、どれだけヘタレたセリフであっても、

 ひたむきに投げつけられると、なかなか無碍にはできないもの。



「……なぜ、わたくしではダメなのでしょう?」


 女としてのプライドをズタズタにされたアルキは、

 こころの痛みを訴えるように、そうつぶやく。


 センは、より誠意のある態度で、


「ダメじゃねぇよ。俺は、ちゃんと、あんたにも惹かれている。俺という男は、童貞力がハンパじゃねぇから、女を見る目が厳しくなっている。そんな俺の厳しい目を惹いているあんたは、間違いなくすげぇんだ」


 アルキを傷つけることが目的ではないので、

 センは、まるで、地雷原でも歩いているかのように、

 徹底して慎重に言葉を選んで整えていく。


「……では、なぜ……」


 彼女の疑問に対し、

 センは、


「……」


 一瞬だけ歯噛みした。


 あまりにも無様な話になるから、出来れば言いたくはない。


 だが、相手の本気に対し、本気をぶつけるしかない今、

 センは、顔を真っ赤にして、恥の重ね掛けをしていく。


「ちゃんと……恋愛がしたいんだ……鬱陶しい厄介ごとを、全部、ぶっとばして、世界を救い切ったあとで……『決戦兵器として必要だからお情けで』という理由ではなく『一人の男として魅力があるから』という理由で、歪みのない、まっすぐな好意を持ってもらって、その上で、お互いを理解して、そうやって、ちゃんと関係を結びたい……だから、今みたいな状況は、嫌なんだ……」


「私をバカにしないでください。お情けや打算で純潔をささげるほど安い女ではないつもりです」


「あんたがどう思うかはどうだっていいよ。これは、一から十まで俺の問題。俺のクソみたいなロマンティックが止まらないだけ。俺はセックスがしたいんじゃない。恋がしたいんだ。その延長線上で、童貞を捨てたいんだ。性欲を解消するだけなら風俗にいけばいい。童貞を捨てるだけなら数万稼げばことたりる。けど、そうじゃねぇ。そうじゃねぇんだ」


「まるで、乙女のようなことをいうのですね」


「否定はしない。だが、想いは変えない。それに、何をどう言い繕おうと、あんたはけっきょく、俺に同情しているだけ。可愛そうな俺を憐れんでいるだけ……違う、そうじゃねぇ……俺が必死に積んできた覚悟は、そんなに安くねぇ。傷を舐められたくて、頑張ってきたわけじゃねぇ」


「わたくしの、この胸の高鳴りを、同情などという言葉でくくられるのは心外です。この世で最も気高い男に一目ぼれした。そんな、わたくしの純情をバカにしないでいただきたい」


「一目ぼれか……嬉しいよ。本気で、俺を好きになってくれたというのなら、それは、とても喜ばしいことだ。けど、きっと、その感情を向ける相手は、俺じゃなくてもよかったはずだ。仮に、俺と同じことをやってきたイケメンがいたら、あんたは、そっちを選ぶはずだ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ