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68話 頼もしすぎる天才。


 68話 頼もしすぎる天才。


 ――その日の夜、

 トウシは、


(グールでも、なんでもええから、とにかく神話生物、出てきてくれんかなぁ……)


 などと思いながら、

 夜の学校を散策していた。


 その途中で、


(……ん? ああ、宝箱か……)


 宝箱を見つけたトウシは、


(んー……別に、いまさら、強化パーツとかいらんなぁ……)


 時空ヶ丘で発見できるアイテムに関しても、

 すでに、それなりの知識があるトウシは、

 いまさら、1パーセントや2パーセントの上昇など無意味、

 と、宝箱をスルーしようとしたのだが、


「……ま、めちゃくちゃ手間ってわけでもないしのう」


 などとつぶやきつつ、

 雑に、足で、宝箱を蹴り開ける。


 しかし、中には何もなかった。


「くそが……スカかいっ!」


 宝箱を蹴り飛ばして、

 神話生物の探索を続けようとした、

 その時、

 トウシの携帯が鳴り響く。


 出てみると、

 薬宮が、ひどく慌てた様子で、


「た、たすけてくれ! 田中!!」


「とりあえず、落ち着け。なんやねん」


「ミレーが、急に消えた! たぶんやけど……神話生物関係の何かにさらわれたんやと思う!」


「……はぁ……」


 トウシは、鬱陶しそうに溜息をついてから、


「……了解……」


 そう言ってから、携帯を切り、

 先ほど蹴飛ばした宝箱を見つめる。


(まさか、あれがトリガーやないやろなぁ……)


 などと心の中でつぶやきつつ、

 自分の中にいるソンキーに、


(……『どこにさらわれたか』とか、そういうの分かる?)


 と尋ねると、


(先ほど、お前が宝箱を開けのと同じタイミングで、無限ループ型の異空間が出現した。そこに、脆弱な魂魄の一つが囚われたのも確認している。おそらく、紅院美麗だろう)


(……やっぱ、ワシのせいかい……)


 先ほどよりも深いため息をついて、

 トウシは、そのまま救出へと向かった。



 ★



(――むり……ロイガーと同等かそれ以上のバケモノ……私一人では絶対に勝てない……)


 異空間の中で、ツァールと対峙した紅院美麗は、

 ツァールの撃破を一瞬で諦めて、


(逃げる……とにかく、全力で……ここから逃げのびて、『田中トウシ』と合流できれば、余裕で勝てる……)


 トウシの強さは尋常ではない。

 ツァール程度の化け物は瞬殺してくれるだろう。


 ゆえに、彼女は、


「サポートスキルON! ソーラーフレア!」


 逃亡用の魔法を使う。

 一瞬だが、太陽のような光を放ち、

 相手の目をくらませるスキル。


 そして、そのまま脱兎。


 とにかく必死に逃げようとしている、

 そんな彼女の前に、


「……ん、ああ、おったおった」


 彼が登場する。


「田中トウシ! やった! 勝った!」


 トウシを発見するや否や、

 グっと拳を握りしめて歓喜をあらわにする紅院。


「助けにきてくれてありがとう。本当に、助かったわ。私一人では、どうしようもない化け物がいて――」


「感謝の言葉も、状況説明も必要ない」


 そう言いながら、トウシは、

 亜空間に手を突っ込んだ。


 グググっと、亜空間から引きずりだした、その手は、

 ツァールの首を掴んでいた。


「うっ……ぐぅ……」


 今にも窒息しそうになっているツァール。

 そんなみっともない化け物を横目に、

 トウシは、


「お前が言うバケモノってのは、これで間違いないか?」


「……ぇ、ええ……」


 自分では手も足も出なかったツァールを、

 まるで、虫ケラのように扱うトウシに、

 紅院は、改めて、頼もしさと、一縷いちるの恐怖を覚えた。


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