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39話 タイムリミットは20年。


 39話 タイムリミットは20年。


 神々しい虹色のオーラに包まれるグリム。

 先ほどまでの段階で、すでに、けた違いの強さだったが、

 さらに、重たく、強くなる。


「……ここでなら、私は、少しだけ自由になれる」


 そうつぶやいてから、

 グリムは、

 まっすぐに、センを見つめて、


「さあ、センエース。私を殺せ」


 殺戮要求を受けたセンは、多角的にドン引きしながら、


「……いや、ちょっと無理かなぁ……」


 素直に不可能宣言を決め込んでいく。


 が、そんなセンの戯言を気にするほど、グリムのノリはよくない。


 良くも悪くも、彼女のスタンスは常時機械的。


「タイムリミットは20年。その間に、私を殺せなければ、君の持つ銀の鍵は、効力を失う」


「……」


「救いたい世界があるのだろう? ならば、こんなところで、私に負けているようでは話になるまい。死ぬ気で私を超えろ。君の可能性を見せてくれ」


「……また20年コースか……しんどぉ……」


 フラつきながら、そう言いつつ、

 センは立ち上がって拳を構えた。














 ★










 ――長きにわたって、全てを積んで、『本物の真理の迷宮』の『最奥』にたどり着いた才藤零児を待っていたのは、ソルという名の混沌だった。


 全てを飲み込む無貌。

 最強の無。


 『すべての絶望を乗り越えた英雄』の『全て』を賭しても、

 ソルには勝てなかった。


 膨大な力。

 圧倒的な闇。



「……いい線いってたんだけどなぁ……」



 『ズタズタに刻まれた才藤の体』を抱きしめながら、

 ソルはつぶやく。


「君なら『あるいは、もしかしたら』って……思ったんだけど……」



「……がはっ……ごほっ……」



 死にかけの才藤は、最後の力を振り絞り、

 ソルをにらみつけ、


「……終わりじゃねぇ……」


 歯を食いしばり、

 血走った目をさらに充血させて、


「……絶対に……諦めねぇ……」



「それって、そうであることを願ったからだよね、きっと。君は、自分の願いに縛られて、がんじがらめになっているマリオネット。だからダメだったのかなぁ。でも、それがないとここまでこられなかった気もする……わからないね。わからないんだ……私にも……どうするのが正解で、どうすればたどり着けるのか……」



「ごちゃごちゃ……うるせぇ……お前は、この手で……殺す……あいつらを……俺の大事なものを……全て奪ったお前を……俺は絶対に……絶対……」


「もうすでに死んでいるのと変わらない……というか、なぜ死んでいないんだろうと不思議に思えるほどの大ダメージを負っていながら、それでも、気合の入った目でにらみつけてくる君の根性には、正直、尊敬の念すら覚えている。……けれど、足りない。結局、足りない。君ですら、まだまだ足りなかった……」


 そこで、ソルは遠くを見つめながら、


「ハッキリとわかったよ。諦めないだけじゃダメだってこと。英雄という称号だけじゃダメなんだ。数字とか根性とか、それだけじゃダメだ……『もっと』いる……もっと別の何か……」


「……ゆるさ……ねぇ……俺の全部を奪ったお前を……俺は……絶対に……」


「――なかなか良質な執念だ。憤怒……執念……あるいは、それが足りなかったピースか? いや、それだけでも、まだ足りない気がする……もっと……なにか……」



「必ず殺す……絶対に殺してやる……俺のことは殺せても……俺の……この執念だけは……殺せねぇからな……」



「……いいね。かっこいいよ、才藤零児」


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